第1話

文字数 1,023文字

君は雨がきらい?

お父さんにきいたら。
「会社に行くまでに、服がぬれるからイヤだな」
お母さんにきいたら。
「せんたく物が、かわかないからイヤね」
お姉ちゃんにきいたら。
「かみがたがくずれるし、スカートにどろがはねるからいイヤよ」
お兄ちゃんにきいたら。
「野球のれんしゅう、中止になっちゃうからイヤだね」

君は雨がきらい?

でもね。
雨って大事なんだよ。
雨がふったあとの、木や草や花を見てみて。
ものすごくキラキラしてて、
よろこんでいるでしょう?
雨は、花のお父さん、お母さんなんだよ。
雨がなければ、かがやきがない。

そしてね。
雨ってさわやかなんだよ。
雨がさってから、大きく息を吸ってみて。
おもかった空気が、
どこかにいっちゃっているでしょう?
雨は、香水やさんなんだよ。
雨がなければ、大地のにおいがわからない。

さらにね。
雨っておもしろいんだよ。
雨がおちている、水たまりを見てみて。
ひとつぶおちるたび、
まあるいもようをかいているでしょう?
雨は、絵かきさんなんだよ。
雨がなければ、じめんに絵はえがけない。

それでね。
雨ってたのしいんだよ。
雨のしずくが、かなでる音をきいてみて。
からだがうごきだすような、
リズムがきこえない?
雨は、うた唄いさんなんだよ。
雨がなければ、音楽はならない。

それから。
雨ってオシャレなんだよ。
雨がふる中で、まわりをよく見てみて。
いろんな色やもようの、
花が咲いているでしょう?
雨は、デザイナーさんなんだよ。
雨がなければ、動く花は見られない。

だけどね。
ほんのちょっとこわいものがあるんだ。
空からのびる、ひとすじの光。
きれいだとはおもうんだけど、すぐあとに音がどどーんってなるでしょう?
まるで、りゅうのなき声みたい。
雨がなければ、なんて、おもってしまう。

とはいえね。
雨ってきれいなんだよ。
雨のあと、太陽をうしろにして空を見てみて。
はれた空がプレゼントをくれる。
いつもってわけにはいかないかな?
雨は、けんちくかさんなんだよ。
雨がなければ、七色の橋はかからない。

さいごにね。
雨ってねっしんなんだよ。
雨の中に、じっと目をこらしてみて。
いつも見かける鳥や猫がいないかわりに、
かえるやかたつむりがいるでしょう?
雨は、学者さんなんだよ。
雨がなければ、動物は生きていけない。

だからね。
雨ってすごいでしょう?
雨がふると、おおきなダムに水があつまる。
それはボクらのための、水になる。
必要でしょう?
雨は、みんなの大切なモノ。
雨がなければ、だれも生きていけない。

ねぇ、君は雨がきらい?
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