『コワモテとシンドウ』 プロット

文字数 2,640文字

『コワモテとシンドウ』 プロット

・コワモテなのに教頭? 小学生のシンドウ? 変わり者2人がコンビを組んだ!
・あげパンから、強盗まで。なんでも解決します


■起
 「教頭先生って、普段なにしてるか知ってる?」


 私立小学校の教頭、コワモテ クマオは、その強面ゆえに児童達から怖がられていた。
 「教頭先生こんにちは……きゃー!ころされるー!」
 「違うんだ!逃げないで!逃げないで!」

 昔は俳優で、悪役ばかり演じていたコワモテは、何かあるとついつい「腹を掻っ捌きます」といった物騒な台詞を使ってしまい、他の先生たちに怒られる。
 「コワモテ先生は、まず子供が好きにならないとねぇ」。そう言われるコワモテ。だが本当は子供が大大大好き。
 どうにかして子供達に好かれたい、怖がられたくないと、毎日手鏡を持ち歩いて笑顔の練習をしたり、『子供に好かれる本』を読んだり、いつも努力しているのだが……なかなか上手くいかない


■承
 ある日、3年A組の教室でトラブルが。通りがかったコワモテが事情を聞くと、給食のあげパンがなくなってしまったのだという。「ここで事件を解決すれば子供達に好かれるはず!」と、調べ始めるコワモテ。
 だが、「給食のおばちゃんに金を渡した」「あげパンのきな粉を売人に」等と、映画の知識なのかトンチンカンで、教育上よろしくない推理ばかりするコワモテ。
 
 「見てらんないよ」と、現れたのは隣の3年B組の児童、シンドウ マイキ。見事な推理であげパンの在りかを突き止めるシンドウ。彼は小学生にして天才的推理力を持つ探偵なのだった

 悔しいコワモテは、それからも校内で起きた小さなトラブルを解決しようと奮闘する。
 「席替え毎回前になる事件」「クラスのカメ脱走事件」「ジャングルジム落書き事件」。
 だがどの事件でも、後から現れたシンドウの推理力が上回り、コワモテはイイところを見せられない。
 
 時々、コワモテの俳優時代の知識がヒントになって、事件解決に役立つこともあるが、生意気なシンドウとは喧嘩ばかり。
 それでも校内では、『天才シンドウとコワモテ教頭の名探偵コンビ』等と囃す児童も現れる。そんな中、本当の事件が発生する。


■転
 理科室の人体模型が動くという噂を調べることになった、コワモテとシンドウ。口喧嘩しながらも、調査を進める2人。
 シンドウの推理によって、5年生児童のいたずらであることが発覚。またもシンドウに先を越されて、悔しがるコワモテ。

 児童2人の臨時担任 本村は、彼らを激しく叱りつける。本村のあまりの勢いにコワモテは、「言いすぎだ!」と本村を叱責。
 だがその迫力に、本村だけでなく児童2人まで怯えてしまった

 この件の以来、余計に児童達から怖がられるようになってしまったコワモテ。それどころかPTAには、教頭が生徒を怒鳴りつけたと、間違った情報が伝わり、クレームが鳴りやまない。
 コワモテは、校内の事件解決も、子供たちに好かれることも諦めてしまう。

 ある夜、物音に気付いたコワモテが理科室にいくと、そこにはシンドウがいた。
 「先生、遅いじゃん」。これまでのことも気にせず、けろっとしているシンドウ。
 「何やってんだ? もう解決しただろ」
 「違うんだよ。この人体模型、すっごく重いんだ。5年生が2人係でも動かすのは無理だよ」
 不思議がるシンドウ。一緒に調べ始めるコワモテ。

 と、その時、謎の男2人組が現れる。
 男達は、近くで起きた強盗事件の犯人。学校に逃げてきて、人体模型が置いてある大きな台の中に隠れていたのだ。
 人体模型が動く噂は彼らのせいで、5年生児童は肝試し気分で理科室に忍び込んでいただけだったのだ。
 
 咄嗟にシンドウを逃がそうとするコワモテ。だが背後から殴られ、2人はロープで縛られてしまう。


■結
 殴ったのは本村だった。彼は、強盗の仲間だったのだ。彼が激しく児童を叱ったのは、仲間の居所がバレるのを恐れたからだった。
 教師でありながら犯罪に加担する本村に、怒り心頭のコワモテ。だが、児童達を怖がらせたことがトラウマになり、本村や強盗達に強く言い返せない。

 そんな時、シンドウがふと呟く。「先生は、先生らしくいればいいんじゃない?」
 
 思いがけない言葉に、コワモテは俳優時代を思い出す。主演を張っていた映画、だがその強面のせいで、共演者や子役が泣いてしまい途方にくれた過去。
 そんな時、監督に、「お前は、お前らしくいればいい」と、悪役として見出された過去。

 覚悟を決めたコワモテ。
 「うちの児童を、シンドウを守る」。
 コワモテは、これまで以上の鬼の形相を見せる。そして俳優時代に演じた様々な悪役を全部足したような、迫力満点の演技で男達に凄んだ。
 あまりのコワモテの迫力にたじろぐ男達。
 
 今度は、シンドウが怖がらないようにと、とっておきの笑顔を見せるコワモテ。が、その顔を見た男達は更に怯える。
 コワモテにとってはとびきりの笑顔。だが、その顔は、とてつもなく怖~い表情だった。

 「こいつ、本当は教師じゃなくて、もっと凄い事件を犯したとんでもない奴だよ!」と勘違いする男達。

 と、シンドウは、その間にちゃっかりロープを外した。「簡単な科学だよ」と摩擦を使ったシンドウ。

 「こいつはただの教師だよ!」と怒り狂う本村は、コワモテに向かって殴りかかる。
 もうダメだ!という時、突然本村の目がくらむ。
 コワモテがいつも持ち歩いていた手鏡。それが落ちているのに気付いたシンドウ。機転を利かせ、鏡で光を反射させたのだ。
 すぐにコワモテのロープもほどくシンドウ。

 「この学校で悪さぁするやつは、地の果てまで追いかけて、何するかわかんねぇぞ!」
 過去一番の大迫力で、本村も強盗達も戦意喪失。

 騒ぎに駆け付けた警備員たちによって、本村達は捉えられる。
 コワモテも捕らえられそうになるが……。
「違うよ、教頭先生はボクを守ってくれたんだ。先生らしくね」
 シンドウの言葉で誤解は解ける。

 コワモテは、シンドウの前で恐ろしい表情を見せてしまったことを悔やむ。だが、シンドウは全然気にしていない様子。
 生意気なシンドウ。だが、彼だけは一度も、コワモテを怖がったことはなかった。そんなシンドウを心の底では気に入っていたコワモテ。

それからも2人は、口げんかをしながら、校内の事件を解く。天才小学生と、強面教頭先生のコンビの誕生だ!


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