プロット

文字数 1,449文字

【起】
真締(マジメ)中学に通う二年生の岩清水(いわしみず)こと。入学してから友達がおらず、生まれつきの鈍くささと引っ込み思案も相まって、周りから「イワシ」と呼ばれクラスの最底辺にいた。雑用を押し付けられるのは日常茶飯事で、自分はここから抜け出せないと諦めていた。
ある日、ことは昼休みに、クラスの女王的存在である内藤未来から「屋上にいるサイキョートリオに声を掛けてこい」という「遊び」を命じられる。
ことは「遊び」の誘いを断れずに屋上へと行き、おそるおそるサイキョートリオに声を掛け、対面する。……が、実際は三人も友達がおらず、クラスに居場所がないので各々暇を潰していただけだと発覚する。
「友達は欲しいけど誰も自分に近寄らない」と言う三人と話し合い、ことは「友達同盟」を結ぶことに。最強三人と最弱一人の、いびつな友達関係が誕生した。

【承】
一年の斎賀響介(さいがきょうすけ)、二年の最上強(もがみごう)、三年の左京勇美(さきょういさみ)。
三人は知力的最強、怪力的最強、権力的最強と、三者三様の「最強伝説(という噂)」を持ち、全校生徒から恐れられていた。
偏差値とプライドが高い、眼鏡と白衣をまとう響介。怪力で長身、強面で無口な強。真締中学理事長の息子で派手な金髪イケメンの勇美。
相性が悪い響介と勇美が喧嘩したり、それを止めようとした強が物を壊したりとめちゃくちゃな「友達」だったが、ことは誰も自分を「イワシ」扱いしないことに気づく。
今までは誰かに命じられるがまま動いていたことだったが、「友達」のために何かしたいと思い、三人にお揃いのキーホルダーを用意したり自ら遊びに誘ったりして仲を深めていった。

【転】
数ヶ月後、サイキョートリオと会っているはずのことが笑顔でいる事に怪しんだ未来は、後をつけて屋上を覗く。そこにはサイキョートリオと仲良くしていることがいた。未来は所属している新聞部に駆け込み、サイキョートリオの証拠もない嘘を垂れ流す。
次の日、学校の掲示板に、三人の「最強伝説」にしてはやり過ぎている内容の学級新聞が張り出された。三人は職員室に呼び出され、対応について会議が開かれた。結果、昼休みや放課後は先生の目が届く場所で監視されるようになり、楽しみが奪われてしまう。
「こんなの今まで何回もあった」と言う三人に対して、ことは今まで仲良くしてもらった三人を助ける決意をする。
昼休みの時間、ことは放送委員の仕事で放送室を訪れた。本来は音楽を流すだけの仕事だが、マイクのスイッチを入れて、学校新聞の内容が嘘である事、噂のような怖い人物ではない事を必死に訴えた。

【結】
ことが話した内容は瞬く間に学校に広がり、大騒ぎになった。ことは職員室に呼び出され、先生に大胆すぎる行動を叱られる。
しかし途中で三人が乱入してくる。驚いたことの横で、三人は「俺たちがやるように仕向けたから、こいつは悪くない」と庇った。
その後、「どうして嘘をついてまで一緒に怒られたの?」と言うことに「友達ってこういうものだ」と笑う三人。大切な友達ができたと喜ぶことの後ろで、三人は人知れずほくそ笑む。
翌日、次なる嘘をでっちあげようとしている新聞部と未来の写真が貼られた「サイキョー新聞」が、響介の作戦と強の労力、勇美の財力によって刷られ、学校の屋上からばらまかれたのだった。
「こんなの今まで何回もあった。けどな、それで黙ってやられてるようじゃサイキョーなんて言われねぇんだよ」
「最強伝説」は、あながち噂だけの存在でもなかったのかもしれない……。
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