第1話 プロローグ
文字数 507文字
私たちは地下に下り、重い鉄の扉を開けて中に入った。
年末になるとファイル整理の仕事がある。管理が不要になった案件ファイルを廃棄するのだ。国内事務グループの潮田真希 に頼まれ、受付の私もファイル廃棄の仕事を手伝うことになった。
破棄すべきファイルの案件番号が記載されたリストを手に、地下室の書庫から廃棄するファイルを取り出し、廃棄用の段ボールに入れていく。ファイルは案件番号順に棚に格納されているので、見つけることはたやすい。リストを手に次々とファイルを取り出し、番号を再確認し、段ボールに入れてゆく。
ふと見ると真希がファイルを手にしたまま固まっている。何かを読んでいるようだ。あれだな。真希は引っ越しの準備で荷物を段ボールに詰めているときに、ふと手にした卒業アルバムを読みふけってしまうタイプだな。
いじわる心をくすぐられた私は、真希が気付くまでじっと真希の方を見ていることにした。真希は真剣な表情をしている。なかなか私の視線に気付かない。何をそんなに真剣に読んでいるのだろう。
「志穂 。すごいの見つけちゃった。これ見て」
ようやく私の視線に気付いた真希は、いたずらっぽい顔をしながら私にファイルを見せてくれた。
年末になるとファイル整理の仕事がある。管理が不要になった案件ファイルを廃棄するのだ。国内事務グループの
破棄すべきファイルの案件番号が記載されたリストを手に、地下室の書庫から廃棄するファイルを取り出し、廃棄用の段ボールに入れていく。ファイルは案件番号順に棚に格納されているので、見つけることはたやすい。リストを手に次々とファイルを取り出し、番号を再確認し、段ボールに入れてゆく。
ふと見ると真希がファイルを手にしたまま固まっている。何かを読んでいるようだ。あれだな。真希は引っ越しの準備で荷物を段ボールに詰めているときに、ふと手にした卒業アルバムを読みふけってしまうタイプだな。
いじわる心をくすぐられた私は、真希が気付くまでじっと真希の方を見ていることにした。真希は真剣な表情をしている。なかなか私の視線に気付かない。何をそんなに真剣に読んでいるのだろう。
「
ようやく私の視線に気付いた真希は、いたずらっぽい顔をしながら私にファイルを見せてくれた。