ないしょのひみつ

文字数 1,600文字

 ためいきまじりにおままごと。おままごとはわたしのだいすきなこと…だったはずなのに。わたしにいもうとができるまでは。ママはいもうとにつきっきり。トイレやあそび―わたしがひとりでできることまで―ママがてつだっている。ともだちには「わたし、めんどうみてあげてるのよ。」なんてはなしてるけど、わたしはなんだかじぶんのこころがあかちゃんにもどってしまってるようなきがする。
 そんなある日、わたしのスマホ―ママがもってるのとはちがうボタンつきのおもちゃ―がひかっている。わたしはなぜかだれもみてないことをかくにんするみたいにしてそれをみた。するとなんとメールがとどいてるじゃないの!「さみしい。だれかたすけて。」そうかかれている。まぁどうしよう。でもこれはおもちゃ。へんじをすることもできない。だからといって、ママにいうのもなんだか…。これはこどものだけのひみつのようにかんじたし、ママにたよるのはなぜかしたくなかった。どうにかしてこのこをすくわないと。でもどうしたらいいの。そんなこんなでつぎのひになってしまった。おきてすぐにみるとなんとそのメールがきえているではないの!このことでこころのへんかがあらわれた。じぶんだけがあのこをたすけられるんだ。じぶんでもおどろくぐらいやるきがでていた。でもさて、どうしようかしら。わたしは、いてもたってもいられなくなって、だいどころ―おままごとセットーにむかった。もちろんたべられないし、そのこにとどくともおもわなかったけれど、このだいどころであのこにむけてごはんをつくることにしたのだ。いつものおあままごととはちがって、じぶんのためでなく、あのこのために。でもいつもとかわらないこともあった。それは「おかえりなさい」「ちゃんとてをあらうのよ」といったこえかけだ。ママがわたしにするみたく。まず、えいようがたりてないのではとおもったので、サラダをつくることにした。トマトに、レタス―ハンバーガーのぐをぶんかいしたーをお皿に盛る。トマトみたいにまっかなほっぺになってげんきになってほしいとねがって。つぎに、さかなをぐりるにいれる。しおコショウをわすれずに。さかながげんきにおよぐようにあそべますようにとそうぞうしながら。ごはんはおにぎりにした。しろとくろのおりがみをでつくった。わたしはおさらにもられたごはんよりもおにぎりがすきだった。ママがいそがしそうでもわがままいってつくってもらう。おにぎりのほうがじぶんにじかんをかけてもらえるからだろうか。おりょうりってだからしあわせをかんじられるんだとおもう。つくってくれるママもそれをつたえたくてまいにちわたしにつくってくれてるのかな。ぐはうめにした。ママが「どうしてうめはすっぱいかわかる?」といったことがあった。りゆうをきくと、「うめはしわしわでしょ?たくさんのひとのつらいこと、かなしいことをきゅうしゅうしたの。それでこんなかおになっちゃったし、なみだみたいなあじなのよ。」って。だからこんどはわたしがうめをたべてあげてうめのつらさからたすけたい。だからできるだけうめをえらぶようにしている。さいごにあついおちゃをいれた。これはほんもの。ままにはないしょ。やけどしたらあぶないとおこられるだろうから。すごくつかれた。でもなんだかこころがじゅわぁとあたたかくなるのもかんじた。
そのよ、ふしぎなゆめをみた。おんなのこがえがおでおにぎり、サラダ、おさかなをほうばっているのだ。そのこはたべるにつれてぐんぐんとおおきくなって、そしておとなのすがたになっていく。そのすがたは…。ママだった。
 よくあさ、だいどころのあかりがついていた。そっとのぞくと、テーブルにふせてねむるむすめがいた。テーブルの上には、おにぎりが3つおさらにならべてある。「きょうもこのこによいことがありますように。」そうつぶやいて、そっとブランケットをかけた。
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