埋め尽くしたい

小さい頃はずっとテレビを見ていました。今はずっとyoutubeを見ています。変わったと言えば変わりました。でもたぶん何も変わっていないと思います。youtubeを見ている時、私の中は何かで埋まります。埋め尽くされるというほどではないですが、間違いなく何かで埋まっていきます。youtubeを見ていると他のことはできません。youtubeを見ていると嫌なことは考えられません。楽しいことも考えられません。昔のことも思い出しません。未来のことも想像しません。ふわふわ浮かぶ風船の周りを砂が埋め尽くしていくようです。風船は動かなくなります。風に吹かれて当てもなくさまよう風船ががっちりと固定されるのです。それは私に安心感のようなものを与えます。どこにもいかないという安心を与えてくれます。私は心を砂で埋め尽くしたいのだと思います。そうすれば動かなくなる。固まってしまう。楽しいことも考えられないけれど、嫌なことも考えません。私は心を固めたいのだと思います。

何もしていないときはふわふわしています。あてもなくさ迷います。思い出したくないことを思い出します。考えたくないことを考えます。不安になります。後悔します。怒りがわきます。何もしないのに、何も起こっていないのに僕の風船はふらふらとさ迷います。みたくない景色を僕に見せます。別のものを映したくなるのです。なんでもよいです。一面の砂でよいです。一面の雪でもよいです。なんでもよいです。

僕の心に砂を運んでくれるもの。昔はテレビでした。今はyoutubeになりました。未来では何に変わっているか分かりません。でも結局は何も変わっていません。僕は砂が欲しいのです。砂で埋め尽くしたいのです。

終わり