第1話

文字数 628文字

「イタミを知ってるか?『タンポポ』っていうのは今まで見た中で1番の映画だった」

パリの師匠から教わった映画。こういうのも逆輸入というのでしょうか。

宮本信子演じるタンポポの「まずい」ラーメン屋さんを「うまい」人気店にするために男たちが奮闘する、というメインの話の周りに、食にまつわる色濃いエピソードをコラージュ的に散りばめた作品です。

「食と性と生と死。この循環が人間なんだということをここまで見事に表現した作品は他にない」

師匠はそう言って何度もこの映画の話をしていました。どうやら1度しか見ていないらしいのに、大変なディテイルまで覚えていました。DVDを見つけてプレゼントしたら本棚の一番上に神棚のように(?)飾っていました。

この話の最後に、ラーメン屋は行列のできる店に生まれ変わるわけですが、安岡力也が山崎努の肩を掴んで言います。

「やったな、俺たち」

「うん、やった」

そして努さんはダンプを運転して立ち去る(そしておそらく帰ってこない)というエンディングです。


第1回公演を終えて、私たちがしみじみと充実感に浸っていた時に思い出したのはこのセリフでした。

夫婦で決心してからの半年間。出会い、喜び、悲しみ、苦しみ、無力感、希望、緊張、高揚感(順不同)そのほかたくさんの思いが込み上げてきました。

「やったな、俺たち」

「うん、やった」


でもダンプを運転して立ち去ったりせずに、ちゃんと第2回公演を実現させますので。

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