第1話

文字数 1,763文字

『ミヤの長い旅~大魔法使い、ついてきます~』

起)転校してきたばかりの小学四年生、少女ミヤは新しい学校になじめず、体操服袋を荒れた空家に投げ込まれてしまう。探しに行ったミヤは突然穴のようなものに吸い込まれ、気づくとそこは見たことのない魔法の世界だった。巨大な化け蜘蛛の巣の真ん中に落ちてきてしまったミヤが咄嗟に巣に引っかかっていたネックレスを握ると、そこには美貌の大魔法使い『メアシィ』の魂が封じられていた。天然だが実力は凄まじいメアシィの助けによって、ミヤは蜘蛛を倒すことができる。
 メアシィの封印を解いたことでミヤはメアシィに取り憑かれてしまう。実体を持てないメアシィはミヤに魔法使いになって自分の体を取り戻してほしいと頼む。メアシィの苦しみを感じ、家に帰る方法を探すミヤは魔法使いになってメアシィの願いを叶えると約束する。

承)メアシィはミヤに魔法を教えてくれるが、なかなか上手くいかない。そこでミヤは魔法学校で魔法の基礎を教えてもらうことになる。大魔法使いメアシィは一見優美なのに中身は天然で子供っぽく、ミヤは周りの人には見えないメアシィに振り回されっぱなしだ。魔法が大好きなメアシィが暴走しそうになるのを抑えつつ、大魔法使いの力でちょっぴりズルもしながら学校を楽しむミヤ。異世界から来たミヤには魔法の才能があまりないものの、努力によって基本的な魔法が使えるようになり、使い魔の『クゥー』も仲間になった。しかし隠れて練習していた伝説の大魔法が先生に見つかり、大さわぎに。本当のことを言っても信じてもらえないだろうと、ミヤは学校から逃げ出す。
 帰る方法を探そうと大図書館を訪れたミヤは、古い歴史書でメアシィが遠い昔に戦死したという記述を目にする。メアシィに真相を聞けずにいるミヤ。その頃大図書館に兵士たちがやってきてミヤは『メアシィが封じられていたネックレス』が王国の宝物庫から盗まれたものであると知る。ネックレスを奪われないように逃げるミヤ。逃亡生活は辛く、ネックレスを返してしまいたいとも考えるが、メアシィとの約束を思いなんとか踏みとどまる。

転)ミヤはかつてメアシィが暮らしていた家にたどり着いた。メアシィは家族や仲間がもういないことを悲しむが、結界で守られたその家で、ミヤはしばらく穏やかな時間を過ごす。
 ところがミヤがふさいだはずの結界の出入口を通って追手がやってくる。追手はミヤと同じくらいの年の少年で、強大な魔法でミヤを追い詰める。ミヤもメアシィも家に被害が及ぶのを気にして力を出し切れない。しかし少年の力は凄まじく、メアシィの家は壊されてしまい、ミヤもピンチになる。
 そこに現れたのは別の魔法使いで、少年を追い払いミヤを助けてくれる。メアシィは警戒するが、助けてもらえたことにほっとして魔法使いに色々話してしまうミヤ。そして案の定、目が覚めるとネックレスは奪われていた。魔法使いはメアシィの力を狙う悪者で、少年は魔法使いの弟子だったのだ。

結)ミヤはクゥーの力も借りてネックレスを取り戻そうとし、阻止しようとする少年と激しく戦う。メアシィの力がないミヤは押されるが、少年がメアシィの家を壊したことを思い出して力を振り絞り、伝説の大魔法を発動させる。自分も帰る場所に辿り着くために努力してきたミヤは、メアシィの帰る場所を壊されたことがどうしても許せなかった。伝説の大魔法を目にした魔法使いは降参し、ネックレスを返してくれる。しかしそれは罠で、突き落とされたミヤはネックレスを握ったまま、塔の上から真っ逆さまに落ちていく。
「メアシィ、助けて!」
 ミヤは地面にぶつかる直前で誰かに抱き止められる。温かい腕の中で目を開けると、それはミヤの強い想いに応えたメアシィが一時的に実体化した姿だった。ミヤが驚き喜んでいると、メアシィはある提案をする。実体化できた今のメアシィなら、メアシィの消滅と引き換えにミヤを元の世界に送れるかもしれない。もう十分ミヤは頑張ったし、一時的にでも肉体を得られたのだから満足だ、と。
 しかしミヤは迷わず申し出を断った。約束は果たせていないし、ミヤが大魔法使いになればきっと元の世界に帰る魔法も使えるようになるのだから。
 そしてミヤはまた実体のないメアシィと、大魔法使いへの道を歩み始めたのだった。
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