駆ける詩人

文字数 358文字

キジムナーは困っていた。人々のオソレが汚れてしまっている。

自然をオソレるからこそ自然破壊という愚行をせずにすむのである。

オソレは自然を守る霊妙な装置である。その制御によって人類を含め生命は保持されるのである。

キジムナーを感知できる人間が存在していない。

人類の過剰欲望は雑音となって森に浸透している。

アオバヅクさん。なぜこの清流にいつも居るの?

キジムナーさん。悪の欲望雑音が繊細な僕の聴覚を汚すのです。なので清流の音でケガレを祓っているのですよ。

やはりそうでしたか。

キジムナーはかつて多くの森に存在していた。しかし今は悪の過剰欲望雑音に苛まれアオバヅクと同じように清流の傍にしか存在できずにいる。

慎ましく静かに存在する。それを幸せというのである。

キジムナーは真実を語る。

詩人は駆ける。真実の森を自在に駆けるのであった。



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