第1話

文字数 434文字

今年はコロナ禍のせいで、随分豆を食らっちまった。
毎年、帰っていないはずの親父たちが居やがったし、
自粛生活の鬱憤をこんな時代だからって、全部オイラにぶつけてきやがる。
いったいオイラが何をしたって言うんだ。
最近は桃太郎だって、話し合いに応じてくれるのに、あいつ等は……。
節分の日限定で「鬼はそと~」って何なんだ。
普段は見向きもしないくせによ。

しかし、お多福のやつは、どこの家でも歓迎されてるなあ。
あのにやけ面には嫌気が走るよ。

人間どもは、どうしてあの顔に騙されるんだろうか。
どうも人相だけで判断しやがる。オイラだって笑うと可愛いんだよ。
ただ人間の前では笑っちゃいけないって教えを守ってるだけよ。

でもな、今年はマスクが当たり前になったおかげで、
お多福のマスクしたオイラの仲間が大活躍よ。
お多福の顔した鬼がこれから暴れ出すぜ。

人間なんて優しそうな顔に、こっろっと騙せれる愚かなやつよ。

さて、明日はたくさんのお多福のお面が捨てられてるだろうな。
また、お多福マスクで一儲けするか。


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