その1

文字数 633文字

来たよ。
ノックもせずに扉を開けたのは、幼馴染の結愛。俺、神崎龍弥と北峰結愛は家が隣同士で小さい頃から一緒に遊んでいた。
んじゃ、早速ゲームするか。
俺たちの共通の趣味はゲーム。高校生になった今でも、俺の部屋で対戦したり共闘したりしている。
先に言っとくけど、負けねぇから。
今回は私が勝つ!
そう言って、いっつも負けるのは誰だよ?
ぐぬっ…!
結愛は不満気に頬を膨らませ、すとん、と俺の隣に座る。ベッドを背にもたれかかっていた俺の肩に、サイドで結んだ結愛の髪が触れる。
とにかく、今日は負けない。さぁ、丸尾カートするわよ!
コントローラーを手にした結愛は、俺の方に向き直り、キッと見上げた。俺は体を起こし、首を屈めて結愛を見た。
マルカーの申し子と言われた俺が、ささっと片付けてやるよ。
〜30分後〜
どうしてなのよ!なんで勝てないのよ!
結愛は顔を真っ赤にして、目にはうっすらと涙を浮かべている。
あれれ〜?結愛ちゃーん。ヘッタクソだねぇ〜。
まさか緑甲羅に当たるとは…。ミラーにも対応出来てないし…おまけにスタートダッシュもイマイチでしたねぇ?
…っ!
もういい…!
龍弥の…バカーーーっ!
いや、なんでだよ。なんで俺のベッドに入ってんだよ!ふて寝しないのコラ!
頭まで毛布をすっぽり被った結愛は、完全に籠城体制だ。
…ったく。お前はいつもそうだよな。ゲームに負けたら勝手にベッド潜って…。
お布団、臭い…。
結愛ちゃんも臭い。
布団から顔を出した結愛の頭上に手を差し出す。
はい、出ておいで。
嫌って言ったら…?
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登場人物紹介

神崎龍弥

高校生。陸上部主将。彼女は出来ないのではなく、いらない。幼馴染の結愛がお嫁にいけるか心配でならない。

北峰結愛

龍弥の幼馴染であり、陸上部マネージャー。将来の夢は龍弥のお嫁さんになること。

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