企画書

文字数 6,755文字

 アイドルを夢見る少女たちの中で成功を掴める者はごく一部に過ぎないーー。 華やかなステージと裏腹に、芸能界の闇は果てしなく暗く、そして深い。 

 夢を掴めなかった元アイドル達。ある者はもと居た日常へと帰還するが、それが出来ずに悲惨な末路を辿る者たちが後を絶たないことは、周知の事実である。そのような境遇を”アイドルの墓場”と人は呼ぶ。


 だが——、この世界のその暗黒が、更なる奈落、極限の”地獄”へと続いていることを知る者は数少ない。その”地獄”にまで堕ちた少女たちは、その全てを、命までも奪われ利用される。その”地獄”に堕ちた少女たちは、誰からとなくこう呼ばれたーーー。 


”少女くのいち”と……。

 

 

  

①グループ名:『少女くのいち解放戦線‼』

②メンバー構成

 ・ギターボーカル:紗季(さき)  

 ・ベース    :遥音(はるね) ※バンドリーダ

 ・ドラム    :友香(ともか)

 ・リードギター :心菜(ここな)

 ・キーボード  :怜亜(れあ) 

③メンバーの特徴


 1.紗季(さき)

   ・性別:女

   ・年齢:17才

   ・外見/容姿

     ‐長く艶やかな黒髪。凛として涼しげな美貌。すらりと引き締りかつ

      女性的なプロポーション

     ‐強い眼差しの中に時折見せる優しさ…

   ・性格

     ‐アイドル時代はお姫様のように純真無垢でおっとりとした性格で

      あったが、全てが変容。仲間たちの未来を第一に考え、運命を

      切り開くために、誰よりも強くあり続けないといけないと考え、

      常に精神を限界まで張りつている。自身を後回しにする

      自己犠牲的性格は、両刃の剣の如き危うさはらむ。

   ・副業

     ‐レースクイーンやキャンペーンガールなどを転々としている。

     抜群のスタイルと美貌で周囲が息をのむほどの色香を漂わせるが、

     「愛想がない」、「目が恐い」などの理由から敬遠されてしまい

     長く続かない。本人は実はその評価にかなり凹んでいるらしい。


   ・”少女くのいち”としての、かつての忍務内容

     ‐ターゲット企業や組織に変装して潜入。高い運動能力・戦闘能力

      を駆使した特殊工作を実施していた。暗殺の経験こそないが、

      要人拉致などの忍務は幾度となく遂行した。

   ・得意技

     ‐バイクの運転(自らレースに参加できる腕前)

     ‐居合道、空手

   ・武器

     ‐改造バイク(鋼鉄製のカウルは、拳銃の弾丸も跳ね返す)

     ‐鋼鉄のトンファー(バイクのフレームに偽装。警察さえ気付かない)

 2.遥音(はるね)

   ・性別:女

   ・年齢:18才

   ・外見/容姿

     ‐お姉様的キャラ。髪はウェーブのかかったブロンズ。ややたれ目の

      優しい美人顔。メンバーの中では最も女性的な体系。 

   ・性格

     ‐感情を制御する術を身に着けており、どのような状況でも常に

      落ち着いて対処できる。

      交渉や会話スキルが高いが、それ以上に聞き上手。メンバーの

      精神的主柱である。

   ・副業

     ‐司書や秘書など知的業務の派遣社員として働くことが多い。

   ・”少女くのいち”としての、かつての忍務内容

     ‐政治家や大企業トップなどのVIPへの”営業活動”を行い、

      彼らをマインドコントロールして、”組織”に有利な契約を締結

      させる忍務を多くこなした。”営業活動”とは所謂”枕営業”を

       意味するものだであったが、彼女は得意の催眠術を駆使して

      自らの身を守っていた。

   ・得意技

     ‐催眠術、読心術、洗脳術

     ‐交渉術、作戦立案遂行(チームの作戦は常に彼女が指示)

   ・武器

     ‐催眠術の効果を高める特殊なコンタクトレンズや宝飾品

     ‐ギターの弦に見せかけた鋼鉄のワイヤー

 3.  友香(ともか)  

   ・性別:女

   ・年齢:16才

   ・外見/容姿

     ‐ボーイッシュなスポーツ系美少女。赤毛のショートヘア。常に明るい

     表情で、彼女の輝く肢体は色気よりも元気さという魅力を放つ。 

   ・性格

     ‐友情と努力と真っ直ぐな心を長所に持つ健全少女。”地獄”と呼ばれた

      環境下でさえ、彼女は元気とユーモアを忘れずに、周囲を和ませ

      そして励ます。年上の紗季ですら、いつも彼女から勇気をもらう。

      仲間たちの中心で輝き続ける太陽のような存在。

   ・副業

     ‐エセ高校生。生徒データを改竄し潜伏、運動設備などを勝手に利用。


   ・”少女くのいち”としての、かつての忍務内容

     ‐有名人や富裕者層と援助交際を行い、隠し撮りなどで弱みを握り

      ”組織”に協力するように恐喝することを忍務としていた。しかし当然

      それに従う性格ではなく、身の危険を感じた時には、当て身で相手を

      気絶させたり、持ち前の俊足で逃亡したりしていた。

   ・得意技

     ‐スポーツ全般。とにかく足が速く身が軽い。運動能力はチーム内で

      最も高い。ただし勉強はあまり得意ではない。

     ‐二本の棒を武器とするフィリピン武術『エスクリマ』を修得。

      理由は「必要以上に相手を痛めつけずに済みそうだから」とか。

     その技術はドラム演奏にも活かされている。

   ・武器

     ‐二本のスティック状のスタンガンで、攻防一体の戦闘を行う。


4.心菜(ここな)  

   ・性別:女

   ・年齢:15才

   ・外見/容姿

     ‐『可愛さは正義』を地でいく猫耳系メイド少女だが、そのあどけない

      瞳には危険な光を宿している。髪型はボブカットを好むが、それ以外

      にも色々な髪型を試したいらしい。 

   ・性格

     ‐チームで一番年下のせいか甘えん坊で悪戯好き。何にでも興味を持ち

      首を突っ込むが、その無邪気な性格でよく自らを窮地に追い込む。

   ・副業

     ‐都内の某メイドカフェに生息中。学校には行っていないが、

     「大学生のお兄さん達に教えてもらうから全然こまらない」らしい。


   ・”少女くのいち”としての、かつての忍務内容

     ‐「家出少女」を名乗り、SNSや出会い系経由などで大企業の中堅社員

      等と接触。薬物で昏倒させ機密情報入手する忍務を主としていた。

      彼女が多用した「心菜ったら今日家出しちゃって、今晩泊るトコが

      ないんだ…」というセリフは、一部の趣味の社会人達に絶大な威力を

      もつ殺し文句だった。ただ実際には、自宅に入室早々、ターゲット

      の男たちは薬物で眠らされてしまっていたのだが。

   ・得意技

     ‐ネコ被り。猫撫声。大人に甘えること。

     ‐自分が誰よりも可愛いと潜在意識のレベルから信じられること。

     ‐相手の気持ちや事情を考えずに行動できる。

     ‐どんなに世話になった相手にも爪を立てることができる。

   ・武器

     ‐手甲鈎+薬物

     『心菜を怒らせると毒の爪で引っ掻いちゃうぞ!』が戦闘合図。

      相手からすればたまったものではないだろう。

 5. 怜亜(れあ)  

   ・性別:女

   ・年齢:16才

   ・外見/容姿

     ‐無防備さが魅力(?)のヒキコモリ系美少女。いつも疲れて眠そう

      な顔をしているが、実はメンバーの中で最も睡眠時間が長い。

               -髪の毛はボサボサでオシャレもしないが、気が向くとごく稀に

      ネットアイドルの活動をしたりする。その人気は絶大。

   ・性格

     ‐面倒なこと、疲れること、痛いこと、汚れることが人一倍嫌い。

      当然戦闘も嫌い。逃避癖があり常に安逸を求める一方、

      知能が極めて高く、チームの情報力の要を担っている。

   ・副業

     -無職のヒキコモリ。たまに懸賞などに応募し小遣い稼ぎをする。


   ・”少女くのいち”としての、かつての忍務内容

     ‐凄腕ハッカーも顔負けのハッキングをするかと思えば、

       書き込みでターゲットのサイトを炎上させるなど、ネット上を

      跳梁跋扈し、対抗勢力を混乱に陥れる役目を担っていた。

   ・得意技

      ‐ネットからの煽動、敵対サイトの炎上、F5攻撃、など

      ‐アイドルユニット時代は皆とダンスをする程度の体力はあったが、

     後のヒキコモリ生活でそれが限りなくゼロになってしまった。

   ・武器

     ‐射撃爆撃能力を持つ『零戦型武装ドローン』編隊を自在に操る。

      これによる遠方からの攻撃は脅威だが、怜亜本人の体力を使用

               する接近格闘技の戦闘力もまた「ゼロ」である。



④代表曲

《デビュー曲》



タイトル:『愛の大量殺戮現場』

             (作詞:紗季、作曲:遥音、編曲:怜亜)

  



「目で殺すな」と言われたって そんなのゼッタイ無理無理!

純情(ピュア)な笑顔で迫られたら 私の心もドキドキ!

(でも)許されないの 優しい恋は

(だから)私のまわりは、死体!死体!死体!死体!死体!死体!!


 I know! 愛の大量殺戮現場で 今日も 白い花が散るの

 I know! 愛を求める切ない想いさえ(けが)す 風に吹かれて



 夢に向かって翔んでるキミ なんで近づいてくるの?

 私のハート燃えてるから あなた黒焦げになるよ

(だから)頼んでないの 慰めなんて

(だって)あなたの言葉は、

 イタい!イタい!イタい!イタい!(>_<)!遺体!


 I know! 愛の大量殺戮現場に 今日も 白い灰(こなゆき)が舞い降りるの

 I know! 愛の届かぬ悲しい恋の未来が 見えているから



 お金があればヤレるなんて 誰が教えてくれたの?

 幼く歪むその唇 二度と開けないでくれる?

(そうよ)聞きたくないの 心の声を

(だって)あなたはいつでも、

 「シタイ!」、「シタイ!」、「シタイ!」、「シタイ!」、「シタイ!」、

 「シタイ!」


 I know! 愛の大量殺戮現場で 今日も 白い血(ちしぶき)が飛び散るの

 I know! 愛を知らない悲しい恋の涙が 叫んでいるの


 I know! 愛の大量殺戮現場で 今日も 白い花が散るの

 I know! 愛を求める切ない想いさえ(けが)す 風に吹かれて




《2曲目》

  タイトル:『 ”原罪” 進行形!! 』

                                                 (作詞:紗季、作曲:遥音、編曲:怜亜)


        美貌は罪、優しさも罪

       生きてるだけで、罪!、罪!、罪!


     (なんて)誰が言ったの?

       (ずっと)無邪気なままで

       (もっと)生きなきゃけないの?


  あなたに見えない 悪い心を 私は持ってるの

  うつむきがちな 涙の裏側 目覚める誰かがいる…


  でもね、”原罪” なんて知らない!

  文句あるなら 神様に言ってよ!

  ”罪”の無い 女の子なんか いはしない!


  そうよ、 "原罪"なんて知らない!

     胸の鼓動は 高鳴り続けるのに

     どうして……?


  だから、”原罪” なんていらない!

    話あるなら 死んでから聞くから…

    時計の針 もう誰にも止められはしない!


  "原罪" なんて意味ない!

    逃げ場所なんか ありはしないから…


 駆け上がる坂道 止まれば堕ちていくだけ!!  





         (※2曲ともロック調。メロディラインのみ筆者作成済)



⑤舞台コスチューム


 ・彼女たちの舞台衣装は、壮麗豪華な和服を現代風にアレンジし、

  ミニスカートにしたようなファッション 。

 ・インナーとして黒いメタルファイバーの全身網タイツ

 ・黒革のナックルグローブ

 ・黒い金属板で覆われたメタルでロックなブーツ

 (ステージ衣装は、彼女たちの戦闘装束でもある) 


 ・ダークトーンを基調としながらも、メンバー一人ごとにデザインが異なる。



  1)紗季(さき)

    ‐槐×黒の地を合わせ、上に金糸唐獅子牡丹をあしらったミニスカ着物

    ‐戦闘担当である紗季のブーツは重厚で、グローブも手甲に近い。

     正面切っての戦闘時には顔全体を西洋の仮面(芸術的なデザイン)で

     隠している。

  2)遥音(はるね)

    ‐紫×白×紺の地を合わせた露出の多いデザイン 

    ・顔にはアラビの踊り子のような薄いベールとティアラがかかる。

    (カメラの画像認識を歪める効果がある)   

  3)友香(ともか)

    ‐黄×橙×黒の地。渡世人の脚立のようなイメージのショートパンツと

     短いマント。一番動きやすそうなデザイン

           -戦闘時には忍者的な布の覆面で目から下の部分を隠す。

  4)心菜(ここな)

    -ピンク×白×黒の地。定番の和風メイド服。

    ‐潜入時にはゴスロリなアイマスク

  5)怜亜(れあ)

   ‐緑×黒の地。袖なしミニスカート。和服調だが、メンバー中で最も

    未来的なデザイン。初音ミクを意識している可能性もあり?

   ‐戦闘時にはバイザーのようなウェアブルディバイスを装着




⑥バンドの歴史


◇今から約2年半前のこと。業界最大手のプロダクション

『ST☆PETs社』(※)の門を叩いた夢見る5人の少女たちがいた。

 無垢で純粋なその瞳に映っていたのは、叶うはずのない未来…。


(※)上場企業でもあるST☆PETs社の社名の由来が、

  ”Seven trumpets(黙示録のラッパ吹き)”であることは、

  一部の関係者以外には知られていない。



◇少女たちは『コメッツ・テイル』という5人組アイドルユニットで

 デビューするが、申し訳程度の活動しかさせてもらえぬまま解散。

 信頼していたマネージャーからの囁き。

 「なまじっかアイドルとして売り出すより、お前たちの容姿には

  別の使い道がある…」



◇お決まりの破滅コースを強制されながらも、夢をあきらめず

 歯を食いしばって耐え抜いた彼女たちが最後に落とされたどん底、

 それは、”少女くのいち”と彼らが呼ぶ犯罪実行部隊に組み込まれ

 ることだった。


◇長期にわたる狂気じみた訓練の末、5人の少女たちはそれぞれの

 特性に合致した忍務(ミッション)を与えられ、犯罪に手を染めていく。



◇心も体もボロボロに傷付いていく彼女たちの頭上に、やがて一本の

 ”救いの蜘蛛の糸”が降ろされる。それは謎の人物から彼女たちへの

 独立資金融資の誘い。



◇5人は、自分たちと同じ境遇の少女たちを救うため、ロックバンドと

 して独立し、ST☆PETs社の悪事を日の当たる世界に暴露する

 ことを決意。


 ⇒既に第一級の犯罪者となってしまっている自分たち自身にとっても

  それが自殺行為であることは、当然ながら理解している。それでも

  決意した道。


  ・元マネージャー(刺客)

     :ば、馬鹿な…、全てを暴露することがとってどういう

      意味かわかっているのか?自分たちの手がどれだけの血に

      染まっていると思っている?お前たちは既に、第一級の

      犯罪者なんだぞ!      

  ・紗季:全ての戦いが終わって目的を果たしたら、私たちは

      法の裁きを受ける。それで死刑になったって構わない。

      でもそれまでは――、どんなことをしても生き延びる。

      立ち塞がる敵たち(あなたたち)を、例え何人殺してでも…



◇紗季たち5人は苦難の末、ST☆PETs社を脱走()ける。

 だが巨額な借金を背負わされた彼女たちには最早自由などない。

 彼女たちの悲痛な決断すら、大人たちの卑劣なシナリオの上で

 踊らされているだけであることを、少女たちは知らない。



◇『少女くのいち解放戦線‼』の旗を掲げ立ちがる少女たち。

 だがそんな彼女たちの前に刺客として送られてきたのは、

 洗脳の限りを尽くされ、凶悪な”少女くのいち”となり果てた、

 かつての仲間たちだった。死の”舞踏”(ステージ)が始まる―—。





                               以 上

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