第1話

文字数 3,184文字

  桜を見ながら税金を五千万飲んで食ったって話題や、大嘗祭というご利益もクソもない極限宗教行事に二十億以上使ったって話、ローマ法王がやって来て、いつからカトリックが平和の宗教になったんだい? 最近の報道を見て、ハッピイな国だからしょうがないかと笑っていた。ちなみに税金は親が死んでも子が払わねばならぬ最強の借金である。(三ヶ月以内に遺産放棄すれば別だが)自己破産しようが何処までも追いかけられる史上最強の借金。そのうち誰か暴動でも起こしてくれる事だろう。
 日本の政府が言うのは「中国やロシアの脅威」らしいが、公平に世界を見れば、アジア諸国にとって日本や韓国のようにアメリカの支配下に置かれる方が危機である事は間違いない。
アメリカ統治下における国家総ボケの一〇〇年の真っ只中に生まれてきてしまったんだからしょうがないのだが。


あら? メールがきてるぞ。誰だ?
 烏骨鶏からであった。(本人の名誉の為、偽名にしても良いのだが、書いているうちに混乱するのであえて烏骨鶏とする。別に意味はない)ちなみに烏骨鶏は私が大学生時代にバンドで遊んでいた頃の取り巻きの女である。
 烏骨鶏は同じバンドのドラマー大山椒魚(当たり前だが偽名)の彼女であり、当時私が付き合っていた女の友達でもあった。奴らは高校生の頃から付き合っていて、卒業後、子供が出来て一九の時に結婚した。だが、子供が一歳にもならぬ頃、父親が違うことが発覚、別れた。
 それから約三〇年何をしているかも知らなかったのだが、偶然見かけたフェイスブックで私は大山椒魚との再会を果たす。無精髭と髪は伸びるだけ伸びてまるで浮浪者のようにも見えるが、知らない人間からすれば、何かを悟った聖人のように見えなくはない。不細工な外人二人とのトリオバンドと三〇位のブス女達とバンドをしてたり、楽しそうである。よっぽどロックが好きというより、他に楽しみもないのだろうってのが正直な話。
 ある日、大山椒魚は烏骨鶏とフェイスブック上で友達になっていた。時間は全てを思い出話に変える力があるのだろうか? 。やり取りを見ていると、恐らく烏骨鶏からの友達申請であったと思われる。それは後述するメールのやり取りから察せられるはずだ。
ちなみに烏骨鶏は生まれたばかりの男の子を連れ、数年後再婚。某大企業のサラリーマンの夫人におさまって現在二〇年らしい。フェイスブックの投稿を見ると高価な香水購入やイベント参加、外食と随分、裕福そうである。高校を出てから一度もまともには働いていないのに、チャッカリ普通の主婦に潜り込む辺りは見事である。

これからはダイレクトメッセージ上での実際のやりとり。かな使いで変なところもあるが、人なりを感じてもらう為、そこは原文にて。

「こんばんは??大山椒魚血圧上げてますね。あれはね、誰のゆうことも聞かないから、親に連絡したが良いのとちがう? 父親ね」(烏骨鶏)
…… って昔別れた男の父親に連絡とってどうするつもりだろう? 普通世間ではそれを「余計なお世話」という。はっきり言ってやるべきだろうか? …… 待てよ、これは面白い話が聞けるやもしれぬ。
「何で大山椒魚を気にするんだ? 」(私)
「前とあまり変わらない… 父の仕事をスッポかした頃に何日か行方不明になった。家族で心配して探したんだけど知らない居酒屋で大山椒魚から連絡があった事を思い出した?? 皆んなでこれでもかって心配した方が大変だった様な… 前と似たような心境の様な感じがしてね…。前はプロドラマーをするって言うことをきかなかったから、今度は辞めたいのかな? と思ったりね…????」(烏骨鶏)
 相変わらず直情的な文章である。そもそもお前だって友達の紹介で入った保険会社を二日目には逃げ出したではないか。似たようなバカップルだったのだが。
それがどうした? と思っていると連続して送ってきた。
「フンコロガシさん(私の別称、別にあだ名でも源氏名でも何でもない)もスナックで楽しそうね! 夜中の3時は後が大変そう…?? 私は飲めないけどお店で話すのは好きですよ?? 」(烏骨鶏)
 全く脈略も何もない文章だが、数年前に私が博多の友人と飲んでいる時の画像の事だろう。
「ウツボカズラ(昔、私が付き合っていた女の別称、烏骨鶏の友人)のFacebook少しでもやってくれたらなぁ… 幸せなんだろうか??? なんか話した? 」(烏骨鶏)
「誰と? 」(私)
 もう三〇年経ってんだぞ、付き合っていたとはいえ、ジジイと婆さんになっている人妻が何を語るってんだ? 私は返信する。
「スナックには何年も行ってないぞ」(私)
「2017年の写真やね。ウツボカズラとは話さないの? 」(烏骨鶏)
「話しようがないぞ」(私)
「ちなみに大山椒魚はなんて? 」(私)
「そうなのぉ?????FacebookやLINEにも観えるけど?? 私はちょっと話せたけど、ウツボカズラは機嫌が悪いかな?? 」(烏骨鶏)
「迷惑がられる 」(私)
「大山椒魚は何年か前にFacebookで住所を教えてもらってバターサンドのお菓子やラム??や塗り薬を送ってあげた?? 」(烏骨鶏)
「ウツボカズラが… そうなの?? 」(烏骨鶏)
 おいおい、散々な目に合わせた元旦那に仕送りかい! 
「家庭もあるだろうしね」(私)
「息子ね」(烏骨鶏)
「再婚相手に血の繋がりがない息子は旦那は厳しいかもよ?? 」(烏骨鶏)
 そうか、ウツボカズラは連れ子と共に再婚したのか。別に知ったからといって何も感じないが。
「フンコロガシさんは楽しく過ごしてるの? 」(烏骨鶏)
21:25
 途中、面倒になったので酒のつまみを探していた。しばらくしてメールに気づく。
「大山椒魚ほど楽しそうじゃないな」(私)
「大山椒魚は周りがよくしてくれるから楽しいよね」(烏骨鶏)
「なんか大山椒魚のFacebookを観ていると当たり前のようになってるような気がします??
 」(烏骨鶏)
「します… 」(烏骨鶏)
 おいおい、大昔に裏切ったのはお前だぞ。どうしたら不幸な大山椒魚を非難出来る?
ちなみに結婚する前にも烏骨鶏は何度も浮気をして大山椒魚を悲しみのどん底に突き落としていた。結婚後、自分の子供ではないと知り、とうとう決断した大山椒魚。あいつなりのけじめだったのだが。
します…… って何をやらかそうと言うのだ? 。馬鹿な女程、他人の不幸は蜜の味なのだろうが、自分はしょうもない承認欲求の為、裕福や幸福をまき散らす。ところが似たようなレベルの集うネットにおいて、それは不快以外の何物でも無い為メクラいいねが付く程度である。そしてバカ女程、自分に正義があるように書けば皆同調すると考えている。それ程世間は馬鹿ではなく、見透かされているとも気づかずに。
「何をするの? 大山椒魚の事は放っといた方がいいぞ。すぐ死ぬような数値でもないし」(私)
「そうなんだね。皆んなに甘えてるし、バンド演奏宣伝なんやね?? 」(烏骨鶏)
 はあ? そんなに浮かれて、お前の脳みそは三〇年静止しているのか? 五〇のジジイが楽しんでドラム叩いているだけではないか。自分がそこに存在しない事が気に入らないのだろうか? って女には基本「反省」「自己劣化認証」ってのが無いのだろう。
この時代に知り合ったババア達は皆、口を揃えて「あの頃が人生で一番楽しかった」と言うのだが、そもそもお前の自力じゃねえぞ。
旦那がどんな人かは知らないが、何不自由なく養ってくれる優しい人である事は間違いあるまい。一生働く気のないセックスしか出来ない一〇人並みの女を生かしてくれてるだけでも感謝しろよって話だ。
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