これからも
文字数 534文字
忙しい、わざと忙しく過ごしている日々の中。
もう、あなたのことは忘れたの、電話で言った。あなたのことを見向きもできないほど、仕事がたくさんあるから、と言った。
本当はね、まだずっと心の中に残ってる。でも、もう見ても仕方ないでしょ、終わったんだから。二人、別々の道を歩くことにしたんだから。今はただ、あなたの幸せを願ってる。
今でもね、わかるの。あなたが私の幸せを願ってくれていること、どんな別れ方だったにしても寄り添って歩いた日々は消えないから。
もう、いくつのことを胸に刻んできただろう。消えない笑顔も涙も。そして、今、また胸に刻もうとしている。
仕事帰りの駅までの道、ふいに腕をつかまれた。
抱きしめられて、ぶん殴ろうとしたとき、あなたの香りに包まれたの。
一瞬、時が止まってあなたの肩越しに時計が見えた。24時50分。
「なにも、こんな深夜まで働くことはないだろう」一言、あなたは言うと声を震わせた。
また、一緒に歩いて行こう、言葉にしなくてもわかるんだ。あなたの言いたいことは。だって、何年一緒にいたと思ってんの。
絡み合った糸は、一度抱きしめ合っただけで、いとも簡単にほどけた。
一つ、約束ね。私は笑って指を立てた。
「過去の話はしない、未来の話をしよう」
あなたは笑ってうなずいた。
もう、あなたのことは忘れたの、電話で言った。あなたのことを見向きもできないほど、仕事がたくさんあるから、と言った。
本当はね、まだずっと心の中に残ってる。でも、もう見ても仕方ないでしょ、終わったんだから。二人、別々の道を歩くことにしたんだから。今はただ、あなたの幸せを願ってる。
今でもね、わかるの。あなたが私の幸せを願ってくれていること、どんな別れ方だったにしても寄り添って歩いた日々は消えないから。
もう、いくつのことを胸に刻んできただろう。消えない笑顔も涙も。そして、今、また胸に刻もうとしている。
仕事帰りの駅までの道、ふいに腕をつかまれた。
抱きしめられて、ぶん殴ろうとしたとき、あなたの香りに包まれたの。
一瞬、時が止まってあなたの肩越しに時計が見えた。24時50分。
「なにも、こんな深夜まで働くことはないだろう」一言、あなたは言うと声を震わせた。
また、一緒に歩いて行こう、言葉にしなくてもわかるんだ。あなたの言いたいことは。だって、何年一緒にいたと思ってんの。
絡み合った糸は、一度抱きしめ合っただけで、いとも簡単にほどけた。
一つ、約束ね。私は笑って指を立てた。
「過去の話はしない、未来の話をしよう」
あなたは笑ってうなずいた。