会員番号2~後編~

文字数 2,245文字

ー樹海、司の部屋ー

「大事な話って何だ」

背を向けて立っている司に人間姿のシラタマが話しかけると司は振り返り口を開いた。

「桜井天さんに惚れたか」

「惚れたかって何だよ」

「好きかってことだよ」

「俺が?冗談言うなよ」

「これを見たら冗談言うなよって言えないだろ」

そう言って司は水晶玉をシラタマに向け映像を見せた。

「……」

「なぜ、桜井天さんにキスをした」

「俺にもわからないんだ、なぜキスをしたのか」

「俺はわかる、なぜお前が桜井天さんにキスをしたのか」

「わかるなら教えてくれよ」

「桜井天さんを守りたい、だから抱きしめキスをした」

「守りたい…大学には和歌が居る、和歌に会ったらその言葉を聞いて俺は桜井天さんを守りたいと思った」

「シラタマ」

「わかってる、諦めろって言うんだろ」

そう言ってシラタマは司の部屋を出ていき天が居る部屋に戻った。

そしてシラタマはベッドに近づき眠っている天の姿を見つめた。

「俺は…」

シラタマが口にしたその時、天が目を覚まし互いの目が合った。

「シラタマさん」

身体を起こし天が目を向けるとシラタマは何も言わず天を抱きしめた。

「諦めることなんてできない」

「……」

「君を好きになってしまった」

「……」

驚いた顔で天が見つめるとシラタマは天の前で人間から灰色ハチワレ猫のシラタマに変身した。

「猫ホストのシラタマです」

「シラタマさんが猫…」

「桜井天さん、俺と付き合ってください」

「シラタマさん…」

天が言いかけたその時、司が現れた。

「司!」

シラタマが見つめると司は天に近づき話しかけた。

「すみません」

そう言って司は天の唇を奪い眠らせると天の身体を支えながらベッドに寝かせた。

「桜井天さんがここに来た記憶を消した」

「司」

「シラタマ、暫く仕事を休め」

「……」

「桜井天さんは俺が自宅に運んでおく」

「……」

「わかったのか」

「仕事を休めだろ、暫く休むよ」

そう言ってシラタマが背を向けると司は天をお姫様抱っこしその場から消えると天の部屋の中に姿を現した。

その後、司は天をベッドに寝かせベッドから離れるとその場から消えた。

それから暫くして天が目を覚ました。

その時、インターホンが鳴った。

「誰だろ」

ベッドからおり急いで玄関に向かうと天はドアを開き悲しげな顔で立っている和歌に目を向けた。

「和歌…」

「謝りたくて来たんだ」

「……」

「大学に行きにくくなったよな、ゴメン」

「何の話をしてんだ?」

「……」

思わぬ天の言葉に和歌は驚いた。

「何だかわからないけど眠いんだ用事がないなら」

「わかった、帰るよ」

「大学で話を聞くから」

そう言って天がドアを閉めベッドに向かうと和歌は家を離れていった。

そこへ眼鏡をかけた久保菜々が現れた。

その後、久保菜々は鍵がかかっていないドアを開き中に入ると靴のまま天が眠っている部屋に向かい中に入りベッドに近づいた。

「第2幕の始まりだ」

そう言って久保菜々はスマホをセットし録画ボタンを押すと天に覆い被さった。

「第2幕は君の部屋で」

「……」

声で目を覚ました天は覆い被さっている久保菜々に驚き話しかけた。

「誰ですか?」

「俺のこと忘れちゃった、これなら思い出すかな」

そう言って久保菜々が天の唇に唇を重ねたその時、天の記憶がよみがえった。

「……」

「思い出したかな」

「……」

「カラオケ屋では邪魔が入ったけど、君の部屋なら邪魔が入らない」

そう言って久保菜々が抵抗する天の身体を奪おうとしたその時、灰色ハチワレ猫のシラタマが現れた。

「痛い目に遭ったのに諦めないヤツだな」

「……」

天から離れ振り返った久保菜々は灰色ハチワレ猫に話しかけた。

「お前が喋ったのか?」

「俺が喋った」

「……」

驚いた久保菜々はベッドからおり灰色ハチワレ猫を見つめた。

「嘘だよな」

「動画を全て消し桜井天さんに近づくな、もし近づいたらお前の命を奪う」

「桜井天さんに近づかないし動画も消します」

そう言って久保菜々はスマホを持って部屋を出ていった。

「シラタマさん」

ベッドからおり天が近づくと灰色ハチワレ猫のシラタマが話しかけた。

「天さん、俺は本気であなたのことが好きです」

「俺も好きです」

「本当に?」

「猫姿のシラタマさんを見たときは驚いたけど今は人間姿のシラタマさんも猫姿のシラタマさんも好きです」

「天さんの願いは?」

「できるならシラタマさんと付き合いたいです」

「聞いてたか、司」

「……」

誰かに話しかけるシラタマに天が驚いた顔で見つめるとスーツ姿の司が現れた。

「水晶玉で聞いてた」

「司、俺と天さんは本気なんだ」

「……」

灰色ハチワレ猫のシラタマから目線を天に向けると話しかけた。

「桜井天さん、あなたの願いは何ですか?」

「シラタマさんと付き合うことです」

「シラタマの本当の姿を見て言ってますか」

「はい」

真剣な顔で天が見つめると司がシラタマに向かって話しかけた。

「桜井天さんの願いを叶えるために樹海に戻って願いを叶えろ」

「良いのか?」

「桜井天さんが望むなら俺は反対しない」

そう言って司がその場から消えるとシラタマは灰色ハチワレ猫から人間姿のシラタマに変身した。

「行こうか」

「はい」

差し出されたシラタマの手を握り天はシラタマと共に樹海に向かい天の願いを叶えた。

そして天は他のメンバーにも認められ猫ホストの一員になった。

「司さん、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

「行ってきます」

樹海から大学に通い授業が終わると天は急いで樹海に戻り司の手伝いを始めた。

1時間後、自宅に戻ると天はシラタマとの愛を育んだ。
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