如月真琴

文字数 2,830文字

ここは如月真琴の執筆スペースです!

良い子にしてないとプレゼント貰えませんよ!

12月24日、クリスマスイブ――。

某秘密基地にて、作戦会議。

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では、私は関東地区を配って回るよ。

イブブルー、君は関西地区をお願いしていいかい?

んんwwww了解でござるwwww

レッド殿も気をつけるでござるよwwwww

イブグリーン、君は九州地方を頼むよ。

終わり次第ロシアへ向かって欲しい。

ぐぼーー!! ぐぼぼーーー!!(了解した)
イブクイック、君には東北地方と北海道を頼みたい。

魚類の君にとって厳しい任務になると思うが、よろしく頼む!

あいよー。

(なんで俺だけ頭痛治しそうな名前してんだ?)

では諸君、またクリスマスの夜に会おう!!

子どもたちの夢を守るため、イブレンジャー、出勤だ!!

◇ ◇ ◇

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――シュタッ。

これで350件目だな。どれどれ――空也(くうや)くんか。

プレゼントのリクエストは何かなー?


『お金持ちのイケメンをください』――すげぇ願いだ!!

そういうのは七夕でやれよ!!

うーん……誰かいるのぉ……?
おっといかんいかん。

あまり騒ぎすぎると起こしてしまうな……。


良い子の寝姿を邪魔してはいけない。

しかし困ったな……これは叶えられそうに無いぞ……。

ずりっ……ずりっ……。

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むっ! 何奴――!!

もしやクリスマス悪人か……!?

説明しようッ! クリスマス悪人とは、クリスマスの夜に便乗して空き巣を働く輩のことである! 怪人とかじゃなくて普通の悪人なので、戦わずに警察を呼んで対処するぞ!

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ずりっ……ずりっ……。
なんだ。ただの畳か――。
…………。




って怪しいだろーーーーー!?

どうしてスリ足で畳が移動してんだよ! 正体を現せッ!!

ぷるぷる……ぼく、わるいたたみじゃないよ……。
きぇえええええええええしゃべったあああああああ!!
…………。
なんだ、気のせいか。

―ー私も年の瀬かな。イブレンジャーのリーダーを務めてもう5年になるが、ちっとも待遇は良くならないし、これ以上の出世も望めない。はぁ……。

それは大変だね……。
畳に励まされたっ……!!
◇ ◇ ◇

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まぁ本当は顔を明かせない決まりなんだけど……。

こうでもしないと、このアイコンを一回も使わずに終わりそうだし。

なんだ、君もサンタだったのか……。

私はイブレッド。正真正銘のサンタ代行者だよ。


さぁ、ここは私にまかせて君は帰りなさい。

ううん、それは出来ない……。

あなたのことはお師匠様から聞いている。


――あなたたちは、いい加減時代に取り残されていることに気付いて。

あまりにも遅すぎる。もう不要な存在なのよ。

な、なんだと……!?

わ――我々が遅いはずがない!

去年は誰がプレゼントを配ったと思っているんだ!

ほとんど私たち、参多の忍が配っているわね。

あなただけ気付いていないみたいだけど、

真面目に働くサンタなんて、もはやあなたぐらいのものよ。

馬鹿な……! そんなはずが無い……!!

イブブルーもイブグリーンもイブクイックも真面目に……イブピンクは彼氏が出来たから今年は不参加だったが……他の奴らまで一緒にするんじゃない!!

さっき、波打ち際に揚げられていたイブクイックとすれ違ったんだけど。
イブクイックぅーーーーーーーー!!
『ぼくが居たこと、忘れないでくださいね――』
イブブルーなんてただの似非コスプレイヤーだし、

イブグリーンなら喜々としてエルフの村を襲いに行っているわ。

うごごごごごご……!!

し、仕方ない。こうなれば私だけでもサンタとしての任務を全うしてみせる!

仲間は後から増やせばいいだけのこと! これが友情システムだ!

だから――あんた一人じゃ遅すぎるんだってば。
やってやる、やってやるぞおおおおおおお!!

でもしまったあああああ!!

この家のプレゼントがまだだったあああああ!!

それなら、こういうのはどう――?
これは……手鏡か?

これがイケメンなのか……?

目が覚めたとき、これを握りしめていれば彼はイケメンに会えると思うわ。

ほら――こういう機転もあなたには足りない。

うーん……むにゃむにゃ……。

王子様、どこぉ……。

なるほど……。

ってくそっ、こんなことしてる場合じゃない。


早くしないと、クリスマスが明けてしまう!!

煙突メーカーあああああああああ!!
うるさいよ。
◇ ◇ ◇

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ここの夜景、綺麗だね……。
うん、そうだね!

カイトくんと来れて、本当に良かった!

イブピンクぅーーーーーーー!!

助けてくれえええええええ!!

おっと、何だい君は!?

イブピンクちゃんとのデートを邪魔しないでくれるかな!?

こ、こんなダサい男しらない――!

変質者よ! 警察呼びましょう!

イブピンク貴様ぁあああああああ!!
あんた――いつまで子供の夢を守るとか言ってるのよ。

その前に、アンタも彼女作れっつーの。

ぐはっ
◇ ◇ ◇

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…………大丈夫かい?

こんなところで座り込んだりしたら、風邪引くよ?

もう放っておいてくれ……。

私は消えない傷を負ったんだ……サンタなんてやっている場合じゃない。

そっか。あんたもその程度だったんだ――。

ピンクちゃんに彼女作れって言われてヘコんだんだ。

所詮アンタの子供の夢を守るっていう使命はその程度――か。

そうだよ……どうせ俺はモテない男だよ。

だから、せめて子供には優しくしようと思ったんだ……。

――素敵だよ、その夢。

嫌いじゃないよ。

そ、そうか……!!

へへへ……そう言ってもらえるとちょっと元気出たぜ。

でもサンタの真似事はおしまいにしましょう。

これからは私たちにまかせて。あなたはあなたのやり方で、近所の子供たちにプレゼントを配ってあげればいい。――その方が、喜ばれるしモテるわよ。

そっか……そうだよな。

俺はサンタ業界が縮小したものとばかり思っていたが、

お前らのような連中に仕事を奪われただけなんだな。


すげぇ悔しい。もうサンタを名乗ることさえ許されないんだな。

…………。ごめんなさい。

私にも私の仕事があるから、これ以上長居は出来ない。


――じゃあ、またいつか。来年も会えるといいわね。

――シュタッ、シュタタッ!!
畳のまま移動するのシュールだからやめない!?
――ごめん、イブレッド。

さっきは彼氏の前だから、ちょっと言い過ぎちゃった。

イブピンク――お前――。
イブレッド殿wwww拙者目が覚めたでござるよwwww

世界回るなんてブラックなことしないなら、ご近所サンタやるでござるwww

イブブルー、すまん……お前の本心に気付けなかった。

これからは近所の子どもたちを喜ばせるサンタになろうぜ!

ふんごごーーー!!(何かをやり遂げた顔)
イブグリーンまで……!!

お前ら……こんな仲間を持てて、私は幸せだよ……!!


最高のクリスマスだ!! またイチから頑張ろうぜ!!

◇ ◇ ◇

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ピーポー、ピーポー。

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そうなんです!!

怪しい畳が街中を走るのを私は見たんですよ!!

警察を呼んだぞ! もう逃さないからな!
あ、あ……やべぇ……めっちゃピンチだ……。

わるいたたみじゃないよ……ぷるぷる。

トホホ……もうクリスマスはこりごりだよーーー!!
おしまい。

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登場人物紹介

忍サンタ

○アザミ

性別:女


近江国参多さんたの地に現存している参多流忍者の一人。

事実上消滅した甲賀流や伊賀流とは違い、現代を生きる忍者である。


彼らの主な仕事は「指定された場所に荷物を届けること」。

いわゆる運び屋稼業といえよう。

普通の運送業者と違うのは、桁外れな足の速さと隠密性。

スピードが重視される現代において自然と頼られる存在となった。


彼らは任務中、依頼人以外に顔を知られてはいけない決まり事があり、

闇に紛れながら任務を遂行する。

注文したばかりの商品がすでに家に届いている場合、それは参多流忍者の仕業だ。

裏で大手運送会社と業務提携を結びながら、したたかに生きている。


クリスマスイブの夜にはサンタに代わり、善良な子供たちに

一族総出でプレゼントを届けてまわる役目がある。

修行を積んだばかりのアザミにとって、

今年のクリスマスが初めての仕事だった――。




能力名:魔人忍法タタミガワリ

他者から一枚の畳にしか見えなくなる能力。

つらい修行の過程で魔人能力を発症する忍者は少なくない。

アザミもその一人なのだが――あまりにシュールな能力を得てしまい、

周りの忍者から逆に心配されている。


能力を発動している間、アザミの姿は一枚の畳として認識される。

使う場所にもよるが目立たたないほうが難しい。

絶対に顔が割れないという意味では有用な能力なのだが……。

アザミ自身はこの能力をとても気に入っている。




戦う動機:初任務を遂行するため。




イラスト:ジュエルセイバーFREE

作者:如月真琴

【名前】イブレッド


【性別】男性


イブレッドは改造人間である!   サンタ業界は少子高齢化に伴い、深刻な人手不足に陥っていた。このままでは世界中の子どもたちにプレゼントを配れなくなる……そんな中、全ての子どもたちに夢を届けるため、5人のサンタ候補生が改造手術を受けたのだ。彼らは祝日戦隊イブレンジャー!   たった5人で地球上の全ての家に一晩でプレゼントを届けてしまうヒーローなのだ。


しかし、プレゼントを届ける道中にはいつも危険が待ち構えている。今日もクリスマスに恨みを持つ魔人たちの妨害を受けながら、イブレッドは子どもたちを起こさないよう静かにプレゼントを届けに行く。がんばれイブレッド!    がんばれイブレンジャー!


【能力名】煙突メーカー


厳重なセキュリティに守られた家でも、即座に煙突を作って侵入することができる能力。煙突の発生と消失は彼の思うままに操作でき、幅やサイズも自由自在に変えられる。さらに、改造手術によって超高速での移動が可能となっている。ただし、気をつけなければプレゼントを潰してしまう。


【戦う動機】子どもたちの夢を守るため。


【イラスト】イラストAC様


【作者】ヤドナシ

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