第2話

文字数 1,068文字

今日はこのまま帰るしかなさそうだ。僕ランドセルを背負うと仕方なくリョウと下校した。

家に帰ると僕は図書室で借りた本を取り出してみた。『幽霊と話す方法』この本はどうやら図書室の本ではないらしい。誰かが図書室に置いて行ったのだろうか。僕は表紙を眺めた。ブルーの表紙で絵などは無い。ただ白い文字でタイトルが書いてあるだけだった。

表紙をめくると注意書きがあった。『この本は捨てたり破いたりしてはいけません。大切に扱うこと』捨てたら一体どうなるのだろうかという好奇心がわいてきたけれど僕は先を読み進めることにした。

『幽霊と話す方法。まずは心を落ち着けて深呼吸しましょう。』さっき学校でちらっと見たところだ。僕はページの半分くらいのところを開いてみた。『幽霊と仲良くなってきたら聞きたいこと聞いてみましょう。なぜ幽霊になったのか、なぜそこにいるのか、あなたの聞きたいことを聞いてみましょう。』

幽霊と仲良くなっている…。僕はもう少しページを戻ってみた。『幽霊とおたがいに自己紹介をしたら今度は幽霊を観察してみましょう。どんな服装をしているか、どんな顔をしているのか。』観察の前にまずは幽霊を見る方法を教えてくれよ。と思いながらさらにページをさかのぼった。

『幽霊は実はあなたの前にいます。心を落ち着けて集中すれば必ず見えます。』そんな事で見えるのか。それじゃ集中するたびに幽霊が見えてしまうじゃないか。全く適当な事ばかり書いてある。僕は本を閉じて宿題に取り掛かった。

次の日僕は日直だった。日直は放課後残って日誌を書かなければならないことになっている。チャンスだ。今日こそ放課後に出る幽霊を見てやる!本当に幽霊がいるなら…だけど。

僕は放課後を待った。リョウは他の友達と先に帰って行った。日直はもう1人いたけれど
「僕が日誌を書いておくから先に帰ってもいいよ。」と言ったらすぐに帰った。こういうのをゲンキンというのだろうか。さてこれで準備は出来た。いよいよだ!僕は適当に日誌を書き終えると教室の一番後ろに立った。

僕はあの本の通り深呼吸した。そして心の中で「幽霊さん、幽霊さん。そこにいるなら出てきて下さい。僕は有田サトシといいます。」と唱えた。

教室をじっと見渡す。特に変わった様子はない。夕暮れの教室はしんと静まり返っていた。ひどく静かだ。静か過ぎる。いくら放課後だといっても他に残っている生徒も先生もいるはずなのに。

その時後ろで音がした。僕は教室の一番後ろに立っている。誰も教室には入ってきていない。僕は背中にじわっと汗をかきながらゆっくり後ろを振り返った。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み