プロット

文字数 1,422文字

起)咲間いちご。散歩や旅行が大好きな、いたって普通の中学一年生の女の子。放課後はいつも学区内を散歩することが日課。けれど実は、散歩が趣味なのは楽しいからだけじゃない。三年前にいなくなってしまった隣の家の高校一年生(三年前には中学一年生)、「リン姉(リンねぇ)」を探すためだ。中学生一人の散歩で見つかるわけがない。現実的にそう思ってはいるけれど、この日課をやめることは出来なかった。ある日いつものように散歩をしていると、落とし物……赤色の巾着袋を道端に見つける。中身を見てみると、そこにはカラフルなドロップが沢山入っていた。その夜、ドロップを持ち帰ったいちごの目の前に、白いネズミが現れる。

承)何とネズミは喋り出し、「ベリー」と名乗った挙句に「自分は魔法使いの使い魔だ」と言い始めた。ただでさえネズミが話すことに驚くいちご。「魔法使いと言えばネコでしょう? それに白って、普通黒じゃない」。驚くいちごをよそに、ベリーはいちごが拾ったドロップについて語り始めた。・そのドロップは「マジカルドロップ(魔法の落とし物)」と呼ばれ、魔法使いの落とし物であること。・過去にわけあってマジカルドロップが人間界に点在すること。・これを舐めている間は人間にも魔法が使えるが、中身のドロップを使い切る前に拾い主が落とし主の魔法使いを探して返さなければならないこと──。
信じられないしありえないと断るいちご。リンねぇを探す毎日なのに、まして落とし主の魔法使いを探すなんて出来ない。「この巾着袋は明日交番に届ける!」と言い切って、いちごは何か言いかけていたベリーを追い出してしまった。しかし、次の日の学校で事件が起きる。

転)学校の生徒が数人、姿を消してしまったのだ。「いなくなった生徒は皆学校でアメを舐めて怒られていたこと」「それからその直前に、魔法のような不思議なことが彼らの周りで起こったこと」を噂で聞くいちご。ランドセルの中の巾着袋にひやりとするが、ありえないと否定した。しかしその日突然、授業中に皆の時が止まってしまった。そしていちごの友だち・花が謎の黒猫に攫われそうになる。よく見たらいなくなった生徒たちも、黒猫の側で眠ったまま宙に浮いていた。いちごと花、黒猫だけが時を止めていない。何で生徒たちを、尋ねたいちごに黒猫は告げた。「こいつらがマジカルドロップの持ち主だからだ」。いちごはハッと気づく。他の生徒のことは分からない。けれど、きっと花は、放課後交番に届けようといちごが持ってきた巾着の中身を、こっそり一つ食べてしまったのだ。「授業が退屈」と思って無意識に時間を止める魔法を使った結果、持ち主が花だと誤解されてしまった。ベリーの言うことは全て本当だったのだ。花を助けたいいちごは、ドロップを使って魔法で対抗し、黒猫を退ける決意をする。するとまた突然ベリーが現れ、いちごを手助けしてくれる。

結)黒猫を退けたいちごとベリー。花を含めた生徒たちは無事だったが、黒猫は「また来るわ」と宣言して消えた。「近頃ドロップの持つ魔法の力を狙って奪う人間がいる」と説明してくれるベリー。忠告を聞かなかったいちごはベリーに謝る。あのままだったら花はきっと連れ去られ、姿を消していただろう……リンねぇのように。大切な人を失う辛さを思い出したいちごは、他の人が危険に合うのなら、自分がこのドロップを引き受けると決意する。こうしていちごと、不思議なアメをめぐる生活が幕を開けた。
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