第1話

文字数 1,867文字

「ちょっと待ってて?」

ランチとディナーの間。僕に賄いを小千さんが作ってくれる。カウンター席に座って待っていた。土曜日と日曜日のアルバイト。

「どうぞ?」
「いつも奴やぁ~♪」

応えると、少しだけ笑顔で迎えてくれる小千さん。もう晴れてはいるけど、幼馴染みの友達は二人そろってのダブルデートらしい。賄いを食べ終わった頃。

「コンビニ行ってくるよ?」
「自分のも作ればいいじゃん?」

「地域密着型の貢献だよ。此はね。たぶんね?時間までデザート食べて来なよ?」

少しだけ笑顔で置き傘を眺めてた。

「何か変なのっ♪」
「こういうのでいいんだよ。飲食店は」

宝探しみたいな?雨に濡れて泣いている傘。僕のがどれか忘れていた?伝え泣いている傘を、手持ちで一度抱えてから、これでしょ?って。手渡してくれた。何も無かったようにして。コンビニに自転車に股がり向かう小千さんの背中をチラ見して。有名な洋菓子店に向かった。

「マルゲリータ頂戴?」

どういう事?って一瞬、勘ぐってしまうけど?有名な洋菓子店の店員さんは、洋食レストランでアルバイトをしている僕を知っていて?逆に?アルバイト先のお勧めを伝えてくれた。いい感じのオーダーを済ませなきゃ。

「ジャンルがひっくり返る程の?強がりな違い?」

その場で呟きながらオーダーと一緒に席も探し始めた。やっぱり気になる。店員さんは僕の事、知らないディナーの時間には居ない。小千さんは振り向きもしてくれない。納得がいかない。傘がひっくり返る程の突風は如何?いいんじゃない?今?

「思っていたより良いお店ね?」

伝えた僕の言葉。それは本当に強がりな僕の。洋菓子店の店員さんは苦笑いをしていた。

「ピザ釜の向き合い方と材料選び。洋菓子店のは、オーブンだけどね。たぶんね?似て非なる者ってね?」

以前、伝えてくれてた事を思い出して。何だかちょっとだけ反省した。有名なタイプのチョコレート菓子。階段に繋がる壁を思い出して。また叫びそうになって堪えて伝えた。

「ダージリンティーのセットでお願い致します」

ちゃんと選んでオーダーした。小さな声が届いていた?苦笑いをした店員さんがショーケースの扉を開けてセットを用意してくれた。その後、笑顔が返って来たかもしれないのは偶然かもしれない。

アルバイト先の店舗に帰ると、小千さんは既にディナーの準備をしていた。

「オールレンジを意識すると公共性の観点から独自性が認められなくて、権利には値しないんだ。マルゲリータは素晴らしく誰もが本当は作っていいんだ。でもそれは?僕のマルゲリータは他のとは違うけどね?」

僕のマルゲリータは他のとは違うけどね?って伝えた後「むふふっ」ってして。僕を見てた。アフォなのかな?って苦笑いを返した。

「どうかな?また来てくれれば?いいんじゃない?」

苦笑いをしながら厨房に向かう小千さんは伝えてくれた。洋菓子店の店員さんは来てくれるお客様だったんだ。と。かもしれない?と思ってちょっと反省してディナー迄の準備を手伝った。夜にシフトは入っていないけど。チョコレートの有名店のは、お互い様でしょ?って思ったら、ちょっとムカついて来た。

「忙しい子だね?」

思いながら、楽しませてくれる。ピザ生地は既に出来ている。次はサラダと付け合わせ野菜の準備。トマトペーストも追加で。

「コンビニで何食べたの?」

厨房を覗き伝えた僕はちょっと期待した。小千さんは振り向いてくれながら笑顔をくれ応えてくれた。

「冷蕎麦の~稲荷。入ってる奴。何で?」

さらっと返事がきて。全然、出しているメニューに無い食事。やっぱり、聴かなきゃ良かったと研究熱心ですよ?とかあるじゃん?そういうのっ!!勘違いしちゃった。

「ダージリンティーのセットは?美味しかった?」

キモすぎて?ごめんなさいしそうになって。でもあるお返事は?ちゃんとしなきゃって。

「いつもより、楽しませてくれるセットだったよ?」
「キャハハッ♪そっか。良かったね?」

知ってるの?とチクった?あの店員さん?面白くない。僕だけ余所者、扱いじゃん?

「ぁ。帰れ。帰れ。時間だ。警察官さんに捕まっちゃうからっ!!急いでっ!!急いでっ!!
「お疲れ様です~っ♪」

ゆっくりしてから帰宅準備をしていた。バックヤード内の椅子に座って。伝えてくれた後は急かす言葉はない。

「お疲れ様です」

静かに再び伝えた言葉。誰に伝えたのかは?分からない。僕だけ余所者のセットを頼んじゃった?急いで帰らなきゃ。僕だけのセットは?分からないけど?一先ずにアルバイトだから。再びの時間だ。帰れ。伝えられた言葉に従って。お家に向かった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み