第1話

文字数 1,584文字

拝啓、誰かさんへ。

今は2180年7月8日。私は明日死にます。
そのため遺言状も兼ねてこの文章を書いています。
しかし、私の身内は全員バラバラになってしまい、連絡も取れません。
というより、今いる場所(元々は日本という国だったみたいですが、その名前すら今はありません)、電波も連絡を取る機器すらも無く、誰にも連絡できません。

今、私は福岡の港町の宿にいます。
明日、ここから東京に飛行機で輸送され、その後、家畜のように血抜きをされるみたいです。
骨はきれいに洗われ、首飾りなどの装飾品になったり、粉々に砕かれ、高カルシウムパウダーとして色々な用途になるみたいです。人肉はというと、血抜きをされた後、様々な国に郵送され、人肉としてそのまま食料となったり、家畜の餌となったりするみたいです。

これを読んでる方(いない可能性が高いですが)はなぜ日本という国が無くなったのか?
また、なぜこんなことになっているのか知っていると思いますが、経緯を話すことで、明日の死に対する恐怖を出来るだけ正当化するために、順を追って書いていきたいと思います。
私の知っているだけではありますが、少し説明しますね。

2130年頃、日本の人口はついに120万人未満になりました。
きっかけは様々ですが、大きな出来事として2つ挙げられます。
第一にこれは100前ごろから言われていたと聞きますが、少子高齢化が加速したためです。
政府も色々政策をしてたみたいですが、馬鹿な政治家しかおらず、全ての政策がお金を捨てるだけの中身の無いものとなり、今では出生率が0.001%ぐらいらしいです。
そして、2つ目の出来事が2111年に起こった地震です。これが、日本という国が無くなった要因でもあります。
この年、人口は6000万人ほどいましたが、3月14日に起こった、第1区から第5区(昔の関東あたりです)での地震により、1万人程亡くなったと言われています。そして4月11日に第7区から第10区(こちらは関西のあたりです)でも大きな地震がありました。3月の地震から一月も経っていないにも関わらず、第7区から第10区でも地震・・・
予想通り、日本という国は大打撃を受けました。大きな都市がある2つの地域が機能しなくなったのですから。

しかし、これだけで日本という国自体が無くなりはしません。
この2つの地震でせいぜい3万人程度が亡くなりましたが、この後のある出来事で今の現状になります。

そう。バルカ帝国の日本侵攻です。今やアメリカを抜いてバルカ帝国は世界第1位の経済大国であり、昔存在した中国、韓国、台湾、北朝鮮がアメリカ、ロシアに対抗するためにバルカ帝国になったらしいです(2080年頃、この国を巡ってかなり大きな戦争をしていましたが・・・)。
そして、今回の地震で日本はまずバルカ帝国に復興支援を頼みましたが、次の日、核による東京、大阪の壊滅。現在、核爆弾は様々な大きさ、破壊力のものが存在し、ピンポイントで東京・大阪を壊滅させたそうです。
「ありえない、、、そんな急に、、、」と思われるでしょうか?
そもそも、関東・関西で起こった地震自体、本当に自然に起こったことなのでしょうか?

そして現在、日本の血をもつ私たちは選別され、使える人間はバルカ帝国へ、その他は死へ。
その選別は至ってシンプルです。子孫を残せるか残せないか。
様々な計測を行われ、選別されるのです。
そして私は子孫を残せない、あるいは妊娠する確率が低いため、処分されることになったのです。
ただ、生き残る日本人も残酷なものです。なぜなら、子供を産むためにしか利用されないから。
利用できなくなったら・・・そのあとは言わずもがなでしょうか。

この記述は誰かに読んでほしいと思って書いていません。
自分の理性を保つために書いています。
こんな世の中に、世界に生まれた自分自身を呪いながら、明日私は死にます。


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