第1話

文字数 240文字

ぼくの為に何を捨てる事ができる?
いつもあなたが尋ねるその質問
あなたが安心できるように
よく眠ることができるように
間違えないように
いつも答えていたでしょう
暗闇の中で震えるあなたが
精一杯こちらに手を伸ばし尋ねた質問に
答えようとした時
もう何も持っていない事に気づいたの
だからどうしようもなくなってついには
「私」と言ったの
そうするととても恐ろしくなった
あなたは暗闇に灯す明かりも持っているし
ここから出ていくための靴も地図もあるのに
私だけ何もないから
あなたがここを去ったらもう私も残らないから
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