第1話
文字数 444文字
ほんの少しだけ先の未来の話・・・。
今以上にストレスが溜まる社会になり、少子高齢化が進む中、人々の「癒し」はペットへと向かった。
犬は大丈夫だった。
しかし、猫は違う。
人々から「癒し」を求められる程に、彼ら側にストレスが溜まった。
そんな中で現れたのが、モフモフ職人だ。
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ボクは緊張していた。
今日、ついに、念願のモフモフ職人さんの元に弟子入りするのだ!
「お願いいたします!」
五十代のごま塩頭のベテラン職人さんが、こちらをチラッと見た。
「おう」
職人さんはタバコらしき物を口にくわえていた。
「モフモフ職人はタバコはNGじゃ・・・」
「ごらあああっ!」
職人さんは怒鳴った。
「よく見ろっ!」
見直すと、それは駄菓子のココア・シガレットだった。
「す、すいません!」
「お前みたいな新入りに、諭される事してる訳ないだろうがっ!」
「すいませんっ!」
イラついている職人さんに、ボクが言った。
「あの、何とお呼びすれば良いでしょうか?」
「あっ、親方だろう、親方!この世界ではっ!」
長い一日になりそうだった。