愚かな女の独り言

文字数 1,059文字


 あなたを信じていた。
 ううん、信じていたかった……。
 自尊を翳して嘯くヤンチャなところが好きだった。
 自信に満ちているあなたが眩しかった。
 まるで希望しか見えていない少年のように……。
 あの言葉──「俺に任せておけ」──そう聞こえた。
 あの言葉──「俺について来いよ」──そう聞こえた。
 だから信じた。
 信じ続けていたかった。

 だけど、嘘だったのね。
 信じてきたのに、結局は嘘だった。
 おかげで、私は失望のドン底。
 孤独な部屋で泣き崩れた。
 独りで食べるカップ焼きそばも味がしないわ。
 ……美味しくない。
 全然美味しく感じない。

 あれだけの自信を吐いていながら、いざ本番となった途端に一変。
 ……根性無し。
 一緒に積み上げてきたものを投げ捨てて、台無しにしてくれたわよね。
 おまけに必死と足掻く私の顔に、一転してペッと吐き捨てた。
 これまで信じてきた想いを嘲笑うかのように……。
 それでおしまい。
 私達は御別れ。
 酷いのね。
 騙していたの?
 あの自信満々な言葉、全部嘘だったの?
 私の気持ちを惹くために……。

 夜食、美味しくない。
 美味しく感じない。
 ……あなたのせいよ。

 胸を締め付けるのは、あの最後の酷い仕打ち……。
 あなたは、それで知らんぷりにサヨウナラ。
 見捨てられた私は尻拭い。
 酷い仕打ち……。
 きっとあなたは、私の事なんか知った事じゃないんでしょうね。
 ふふ……ふふふ……なんだか可笑しくなってきちゃった。
 自分が無様で……滑稽で…………。

 あなたなんかゴミ溜めでくたばればいいのよ!
 わたし、もうあなたなんか見たくない!
 二度と信じない!
 出会わなければよかった!

 ごめん、嘘。
 私は、これからもあなたと付き合うでしょうね。
 それしかないもの。
 あなた無しの生活なんて有り得ないもの。

 だけど、ひとつだけ訊かせて?
 どうして、あんな事を言ったの?
 出来もしない事を、どうして自信満々に言えたの?
 最初から私を騙すつもりだったの?

 ……ううん、違う。
 あなたは心の底から「自分なら出来る」と思っていたのよね?
 ただ実力が追いつけなかった。
 いえ、これは〝不幸な出来事〟だったのよね?
 きっと、あなたのせいなんかじゃない。

 だから、もう一度信じてみる。
 あの言葉を……。
 あの自信満々な言葉を……。
 何度でも言っていいよ。
 それでも、私は信じるから……。
 信じ続けるから……。
 何度でも……。
 何度でも…………。

「マジックカット──こちらのどこからでも切れます──」

 その自信満々な言葉を…………。



[終]
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