令和四年三月一日

文字数 475文字

雨の隙間を
  少しだけ広げてみたら
  宇宙の匂いがした
    哲学はいらない
    詩も

時を超えていくのは
いつだって観測者だ
  いつの時代も
  明日の夕暮れも

哲学は妄想で
詩は屁理屈で
  ぼくはきみのことが好きだ
  わがままだって言えるきみが

  嘘だと分かっていても
  ぼくたちは空を見上げる
  雨でも降ろうものなら
  言葉すら捨てたくなって

静かだった
  墓参りの歌
    宮沢賢治
    中原中也
      父


  自殺した兄
  蒸発した姉
    夢の中で見た
    小指がドリルになったぼくは

在宅で仕事をしている彼女の隣の部屋で
  いつものように小説を書いたり
    詩を書いたり
  音楽を聴いたり
    本を読んだり
雨を眺めたり
  濡れて帰ってきた娘を
叱ったり
抱きしめたり

  今夜はおでんが食べたい
    愛するということ
ロマンチック
火の中に
  水
(こうやって生きていければ
    いかにも哲学的で
    詩的だ)

だしの匂い
マシュマロを口に投げ入れて
昨日の死を感じながら

 雨の心臓の
   憂鬱と
   理想的なダダイストの
     傲慢な日常風景だ
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み