プロット

文字数 1,629文字

 

【起】中学二年生の小羽(こはね)は、明るく元気な女の子。アイドルとして活動していたのだが、人気投票でビリになったことを機に、所属していたグループをクビになってしまう。
「自分が推したアイドルは絶対に売れる」と自負していた小羽だが、どうにも自分自身にはアイドルとしての才能はなかったようだ。
落胆しながら事務所を出ようとしたとき、ボーイズグループのオーディション選考から落ちた三人の男の子と遭遇する。
歌の成績がビリで落ちた颯(はやて)、ダンスの成績がビリで落ちた乃蒼(のあ)、愛嬌の成績がビリで落ちた玲央(れお)。それぞれタイプの違うイケメン中学生たちで、小羽は「この三人がグループを作れば絶対に売れる!」と、ひと目見て確信する。
「私にあなたたちをプロデュースさせて!」
小羽は半ば強引に三人をスカウトし、『ビリたちを集めた』超人気ボーイズグループを作ることを決意した。


【承】小羽の勢いに押されてグループを結成することになったものの、三人は小羽に対して疑心暗鬼でいた。
学校終わりに海の近くにある大きな公園に集まった四人は、これからのことについて話し合っていく。
三人はビリの成績を持つ自分たちでは、人気ボーイズグループになんてなれるわけがないと言うが、「今の時代、アイドルに必要なのは親近感と共感力よ!」と小羽は断言し、三人の駄目なところ(ビリな部分)を隠さずにSNSで発信していくことを決める。
それから放課後は四人で集まり、それぞれが必死に自分の苦手を克服しようと練習を重ねる動画や写真を撮り、SNSにアップしていく。しかし、「歌、下手すぎw」「ダンス、くそヘボいじゃんw」「一人、表情筋死んでね?w」など、三人を攻撃するアンチが湧くようになってしまう。


【転】SNSでのアンチからの攻撃に耐えられず、三人はグループを辞めることを決意。小羽に解散を申し出るが、「ここで逃げたら卑怯なアンチに負けたことになるけど、それでもいいの?」と言われて踏みとどまる。
「あと一ヶ月だけやってみて、ダメなら解散」という条件をつけ、三人はもう一度気持ちを奮い立たせ、練習に励みだした。
すると、自分の苦手を克服しようと頑張る三人を応援する人たちが徐々に現れ始め、SNSのフォロワーも増え、ある日の投稿がバズってネット記事のインタビューを受けられることになった。
インタビュー記事の掲載後、三人の人気は急上昇。
けれど、三人の躍進が気に食わない『三人がオーディションを受けていたボーイズグループのエースメンバー・斗真(とうま)』に、三人に関する悪質なデマをSNSで流されて、三人の人気がまた下がり始めてしまった。


【結】SNSの心無い言葉に傷つけられる三人を見た小羽は、三人に「もうやめよう、グループは解散しよう」と持ちかける。けれど三人は、以前小羽が三人に言った「ここで逃げたら卑怯な奴らに負けたことになる」という言葉を小羽に告げ、グループの継続を宣言した。
その直後、悪質なデマを流していた斗真が自分の本アカウントに三人に対するヘイトスピーチを誤爆投稿してしまい、三人へ向けられていた疑念が晴らされ、グループのSNSには謝罪と応援の声が殺到した。 
みんなの言葉を読み、涙を浮かべながら、改めて三人を人気ボーイズグループにすることを誓う小羽。
「そういえば、そろそろグループの正式な名前を決めてほしいってメッセージがたくさん来てるけど」
玲央のその言葉に小羽は目に浮かんだ涙を拭って、
「グループ名はもう決めてるの! 《 ビリ ✕ ビリ 》だよ!」と、笑顔で答える。
ビリの元アイドルJCが、ビリの男の子たちと一緒に作り上げるボーイズグループ。
そして日本中に、いや、いずれは世界を震撼させる。《ビリビリ》とファンたちを痺れさせるボーイズグループになるようにと願いを込めた名前だった。
「いいじゃん、それ」
小羽が決めたグループ名に笑顔で賛成する三人。
四人は円陣を組み、改めて大きな夢に向かって歩み始めた。

 
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