第1話

文字数 1,832文字

5月5日、ゴールデンウィーク最終日。
久しぶりに名古屋天狼院書店へ赴いた。

ライティング・ゼミを受講しているおかげなのか、天狼院書店には(勝手に)親近感を覚えているものの、実は店舗に向かうのは4ヶ月ぶり。
今年始めに衝撃的な体験をした、秘めフォトぶりだった。

「秘めフォト」は脱皮のようなもの という記事でも書いた通り、秘めフォトをきっかけに前向きになり、自分を好きになれた。
そして今はライティング・ゼミを受講することで、今まで考えていた「文章を書くこと」とは違った観点でライティングのことを捉えられている。

そうやって、天狼院書店のイベントやゼミに参加するたびに、既存の考え方をいい意味で壊される。
今までは当たり前に受け入れていた思考や、ものの見方が変わっているように感じるのだ。

さすが、【「本」だけでなく、その先にある「体験」までを提供する次世代型書店】、と堂々と謳っているだけのことはある。


秘めフォトが最たる例なのだが、基本的にわたしは撮られる側に立っている。
自分で写真を撮るということには、正直、全然興味がなかった。

例えばランチの写真を撮るのも、Foodieというスマートフォンのアプリ一択。
そのアプリ内のフィルターを変えて撮るだけで、満足していた。
Instagramを始めて5年ほど、とにかくインスタ映えが狙えたらそれでいいと思っていた。

そんな矢先に見つけた、名古屋天狼院のフォト散歩企画。
普段ならあまり引き寄せられないはずの、写真にスポットを当てたイベント。
それなのに気になったのは、「スマートフォン限定回」というタイトルだったから、だと思う。


わたしの手元にあるカメラといえば、CASIOのコンデジのみ。
周りが一眼レフやミラーレスを買ったと聞くたび、そもそも一体どう違うの? コンデジで、いや、スマートフォンで充分じゃない? 今まではそう思っていた。
わたしのスマートフォン、SONYのXPERIAだし。安心安定の画質だもん、と。

これは完全に偏見だが、本格的な一眼レフやミラーレスを買った人は、なぜか上から目線で来る気がして(※本当に偏見です)、少し拒否反応を示していた。
周りが本格派なのに、自分だけコンデジだとおこがましいし。
しかし今回はスマートフォン限定回と聞き、それならわたしでもいけるかも…! と思い、参加を決意した。


その日はあいにくの雨。
名古屋天狼院のある久屋大通公園や、地下にあるセントラルパークという専門店街、オアシス21など……を歩きながら、スマートフォンで撮影した。
無料のアプリ・Lightroomでの編集・加工も教えていただき、どんどん楽しんでいる自分がいた。

撮影しているうちに、日常のあらゆるものが被写体になるのだと気づいた。
今までだったら見逃していた、花壇の花。植物。専門店街の店の並び。地下鉄の改札。
当たり前のような背景全てを、写真として切り取って残すことができるのだ。

今までも鮮やかな色はこの世界にあったはずなのに、わたしはそれをずっと見逃していた。


もっと味がある写真を撮りたい。フォト散歩のあと、そう思った。
このイベント参加がきっかけでカメラに興味を持ち、ここ数日、ずっと自分に合うカメラを探していた。
一眼レフよりは、持ち歩きやすいミラーレス。初心者でも扱いやすいもの。
ネットで調べ、さらには家電量販店で実物に触れてきた。
そして決めた。CANONのミラーレスを、買った。

これまでのわたしも、ほしいものを我慢できないタチだった。
楽器も財布も腕時計も雑貨も、勢いのまま買っていた。だからお金が貯まらないのだけど。笑

今回もそう、勢いだ。
お金を払ったのだから続けるという意思だけは、ここに記しておく。


今月末には、フォト散歩のときに同じく1人参加だった方と一緒に、フォト部基礎講座に参加する。
フォト散歩のあとに、名古屋天狼院のこたつ席で仲良くなったのだ。

こうやって、偶然その日に天狼院書店で集まった、という共通点だけで広がる人脈も楽しい。
秘めフォトのときもそうだった。同じ回に参加した方と、Facebookで繋がっている。


きっとこれからわたしは、カメラ沼に落ちるのだろう。
撮る側のポイントがわかれば、自分が撮られるときにも活かせることがある気がする。
いつかポートレートも撮ってみたいし、撮られたい。

日曜日の夜に勢いで買った、ミラーレス。
これからわたしに、どんな景色を見せてくれるのか。
新たな世界の入り口に立った今、とにかくわくわくが止まらない。
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