第1話

文字数 1,586文字

ある県の教員採用試験の倍率は約2倍程度とも言われている。

私は、この倍率の中に入れるのか?という疑問が浮かんだ。

私の名前は(宮野梓 都立北大学4年生だ。両親がどちらも小学校教員ということもあり、もの心ついた時から教員の道にいくことを言われていた。そのために書道、塾、水泳教室、英会話教室、ボランティアなど小学校から高校まで私は忙しい学生であったかもしれない。特にやっていて苦ではなかったので、こなしていくうちに自然と小学校教員というのが私の夢へと変わった。でも夢が現実になるのが難しいということは、私はよく分かっていた。それは小学校教員になるために私みたいに習い事もしていて頑張ってきたけれども教員採用試験に通らなければ結局それはただの夢で終わってしまうことが多いということだ。教員採用試験自体が難しいという現実を知っているのに夢ということをこんなに簡単に言ってしまっていいのか?というのが、私が感じている部分だ。だから教育学部の学生にこのことを言ってやりたいという気持ちがある。でも彼らにとって教員が夢であるので、その希望を壊してはいけないという私の中にはあるので一緒に頑張らないといけないかもしれない)



宮森香苗「梓、次の授業教職論だよ」

宮野梓「うん、だね」

彼女は宮森香苗、同じ学部の学生だ。同じように小学校教員を目指している。

宮森香苗「最近なんか暗いよ どうしたの?」

宮野梓「そう?教員採用試験近いからかな?」

宮森香苗「なるほど 試験近いとは思うけど休みながら勉強していったほうがいいよ」

宮野梓「そうだね」

私は彼女の言葉が今の私に当てはまる言葉であったと感じた。


教員採用試験前日


宮森香苗「ついに明日が教員採用試験だね、緊張するよね 梓はまあ大丈夫だと思うよ」

宮野梓「そうかな?英語が苦手だけどね うーんまあお互いなんとか頑張ろう」

宮森香苗「頑張ろう お互い苦手な所を補おう 私は計算とか苦手だからさ 英語教えるよ」

宮野梓「分かった じゃあお互い苦手な部分を教えあおう」

この時の私は本当に香苗の言葉に救われ、軽い気持ちになっていた。


そして教員採用試験一次試験合格発表日


教員採用試験の一次合格発表は午前10時からだ。緊張と手の震えが止まらなかった。

私は、手の震えを抑えながら、手元の受験票の番号と教育委員会のホームページの結果一覧から番号を探した。

すると探している時に、香苗から着信があった。

宮森香苗「あっもしもし梓?今結果を確認したらさ合格してたよ 梓は今確認している所?」

宮野梓「おお おめでとう そうだよ また確認したら伝えるね」

宮森香苗「ありがとう まあ梓なら大丈夫だよ」

宮野梓「うん その言葉信じていくようにする」

彼女からの合格を一足先に伝えられ、私は焦っていた。番号を確認してなかった時に気をつかわれたくはなかった私は、電話を早めに終わらせたのだ。


宮野梓「私の番号は」



私の番号は結果一覧にはなかった。小、中、高からずっとトップの成績で、部活も常に弓道などで個人でいい成績を残してきた私にとってこの結果は最悪であった。


教員という仕事についてもよく分かっていたし、現実的なことも知っていた。現実を分かった上で、さらに皆と同じように努力するようにしていた。

それでも教員という私の夢は叶わなかった。

この時私は「現実」というのも大事だけども、「夢」も見ながらそれを持ち続けていく信念も大事なんだということを学んだ。

香苗が合格できたのも、夢を持ち続けていくという信念があったからこそ合格できたのかもしれない。


私は、教員という夢を叶えるために、また夢を持ち続けるという信念を忘れずに来年の教員採用試験へ挑戦することを誓った。
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