分数の考え方

文字数 1,198文字

「パコ先輩、分数ってなんなんですかね?」
「なんだ、今度は分数か」
「割り算だけでも嫌になるのに、分数で心折れました」
「たいてい分数は、1つの物を切ったイメージで説明するよな」
「そうなんですよ。その切った物も切っていくでしょ。それも2分の1とかになるんですよ」
「それが戸惑う原因なんだ」
「じゃあ、分数ってどう考えればいいんですか?」
「分数は、1つのまとまったものを分けると考えればいい」
「例えば?」
「1箱とか、学校の1クラスとかが1つのまとまったものだよ」
「それだと数はまちまちですね」
「そうだよ。1箱の中に何個入っているかは、そのつど違う」
「それをどう分ければいいんですか?」
「例えば、1箱の中に30個のリンゴが入っていたとする。5個ずつの山盛りにするといくつできる?」
「ああ、それって割り算ですね。パコ先輩に教わったから分かりますよ。6つです」
「そうだ。ということは全部で6分の6、1つの山盛りは6分の1ということになる」
「6の世界の箱ってことですか?」
「分母というのをそう考えてもいいかもしれないな」
「リンゴ1個ずつで考えれば30の世界ですね」
「分子は、その世界の住人で、同じ数なら1箱と考えればいい」
「そういうことか」
「12分の7は、1箱12個のリンゴのうち7個」
「なるほど、それなら分かりやすいです」
「だろ。難しく考えることないんだって」
「そうなのかな?」
「それじゃ、12分の15は?」
「ええっと、1箱12個のリンゴが1箱あって、3個余る」
「その3個を分数で表すと、12分の3だろ」
「はい」
「そこでだ。1箱12個のリンゴを3個ずつの山盛りにしたら、4つの山盛りができる」
「ああ、ということは、12分の3は4分の1になる」
「ほらできた。それが約分だ」
「なるほど、約分ってこういうことか」
「逆に、違う世界を同じにするには、4の世界は12の世界にできるだろ」
「それが12分の3ですね。うむむ、1箱4個のリンゴが3箱。全部たすと12個のリンゴ。それぞれ1箱から1個ずつ取り出せば3個で、これも12分の3になる」
「おお、できるようになったじゃないか」
「なんだか面白くなってきました」
「それじゃ、4分の1と5分の1を同じ世界にするにはどうする?」
「1箱4個のリンゴと1箱5個のリンゴですね。たすと9個」
「おい違うぞ。ほら、4の世界を12の世界にするには、1箱4個のリンゴを3箱用意しなければいけなかっただろ」
「あっ、そうか」
「だから4の世界と5の世界を共通の世界にしないといけないんだよ」
「共通の世界か。12の世界には5の世界はならないか」
「さあどうする?」
「20、20の世界ならどっちもできます」
「ということは?」
「1箱4個のリンゴが5箱と1箱5個のリンゴが4箱で、どちらも20個」
「とすると、4分の1と5分の1はどうなる?」
「20分の5と20分の4になります」
「ほら、通分もできた」
「えへへ」
終わり
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登場人物紹介

後輩ペコ

先輩パコ

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