第1話

文字数 226文字

正子は平成の初めに生まれ、青春時代を平成で過ごした。正月はまず父の実家に行くのが恒例で、大体大晦日に帰省した。
父の実家は車で高速道路を使って一時間半かかる場所にあり、正子はいつも随分遠くへ来た気がした。スマートフォンはおろか、携帯電話機も学生には普及しない時代である。家族に恵まれていた正子の関心はもっぱら友人関係にあり、同じ市内にいたところでみんなの動向がわかるわけでもないのに、ここへ来ると逆になんだか一人取り残されたような気持ちになるのだった。
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