第１話

全部、全部、諦めきれたら、どれだけ楽になれるだろうか。
夢も人間関係も、生きることさえも。
目を閉じてしまえば、息を止めてしまえば、私は楽になれるかな。
どれだけ画面をスクロールしても私の名前が出てくることはない。
これで何本目だろうか。
才能が、あったらよかったのに。
私にはなにもない。
やる気だけは人一倍あったはずだ。
けど、才能はない。努力しても実は結ばれない。
そんな状況が何年も続けば、やる気だって削がれていく。
このこと一つに集中しすぎた。
他人と上手く接することができなくなった。
どれだけ頑張ってみても、最後には顔を歪ませてしまう。
元々、少なかった持ち物がどんどん減っていく。
私の目の前に広がる道はいくつもある。
私次第でこの人生は変わる。けれど、変えようと思えない。その気力すらなくなっていた。
今まで、色々なものを諦めてきた。
それと同じように、この人生を諦めてしまってもいいだろうか。
ため息がこぼれる。
けれど、心配してくれる人はどこにもいない。
私はずっと独りだ。
もう、この人生を諦めてしまってもいいだろう。
次の人生では、笑顔になれるといい。