第1話
文字数 1,558文字
目を覚ますと、そこは真っ暗だった。どこにいるのかも、自分が何なのかも分からない。ただ、自分は死んだのだと言うことは分かっていた。
ここは、死後の世界だろうか。
いや、もしかしたら転生して愉快な異世界生活が始まるのかもしれない。
まだ見ぬ異世界へと思いを馳せていた俺に、一筋の光が届いた。光は俺を照らしている。
来い! 異世界転生.......!
そんな事を考えていた俺の目の前に現れたのは、可愛い獣人でも、えろいエルフでも、ましてやロリっ子な神などでもなかった。巨大な手と、巨大な人間だった。
まさか、巨人族がいる世界に転生してしまったのだろうか。それとも、小人になってしまったのか?
訳も分からず目を白黒させる俺に巨人は真っ直ぐ手を伸ばし、俺を持ち上げた。それはもう、いとも軽々と。巨人は持ち上げた俺を巨大な何かに擦り付けていく。
痛い、痛いよ!
俺が悲痛な叫びを上げているにも関わらず、巨人は俺を擦り付けていく。ハラハラと俺の頭から、白い粉がまるで雪のように降っていく。それを見た瞬間、俺は悟った。
俺、チョークに転生してる!!
悲劇としか言いようがない。話す事も動く事もできない。そのくせ知性と身体の感覚だけはあるから痛みを感じる。そんな事を考えているうちにも、俺はみるみるうちに身体を消耗させられる。
こんな不条理な事があってたまるか! くっ、落ち着け。何かあるはずだ。何か.......。
打開策を見つける為に、俺は周囲を見渡し、そして、ハッとした。どうして今の今まで気が付かなかったのだろう。
俺を手にしているのは、美人教師じゃないか!! 俺は今、美人教師に触れられている状態にあるのだ!
俺が興奮しているのを知ってか知らずか、美人教師は俺を粉受けに置いた。俺も含め粉っぽい。
だが、粉受けからは教室を見渡すことができた。そして、俺は再度ハッとした。
このクラス、女子の顔面偏差値が高い.......! 授業を執り行っている教師の顔が良ければ女子の顔面偏差値も高くなると言うのか!?(※そんな事はありません)
そんな女子高生に俺は触ってもらえるのか。生前俺が女子高生やこの美人教師を触ったら一発アウトで刑務所行きになりかねなかったと言うのに。
チョークへの転生も、異世界ものと同等の価値があるのかもしれない。
美人教師は話を止め、生徒を指名していった。黒板に書かせる気なのだろう、生徒が前に出てくる。席を立つ生徒は心なしか女子の方が多く見える。
これ、俺の時代来ちゃったんじゃない!? さぁ、女子達! 俺を使え!!
一人の生徒が俺を持ち上げた。期待に沿わず、ゴツくて固い手だった。
俺は恐る恐る、俺を使っている奴の顔を見た。
男じゃねぇか! お前はお呼びじゃねぇんだよ、すっこんでろ!!
思わず叫んでしまった。しかし、男子生徒は構わず俺を黒板に擦り付ける。
痛ぇ、痛ぇんだよ。お前、筆圧濃すぎんだろ。そんなに押し付けたら.......
ボキッと鈍い音を上げて俺は中程から真っ二つになって折れた。そのまま落下していく。
嘘、だろ.......? まだ女子高生達に触れられてもいないよ? ぶっちゃけ転生してから一時間も経ってないよ? 俺の人生短すぎない?
床に落ちると同時に、俺は粉々になった。もう、上半分は使えない。
でもまだだ! 下半分は残っている。まだ、終わりじゃない!
「あ〜あ。短いし、これもいいや」
そう言って男子生徒は、俺の下半分をゴミ箱へ放り捨てた。綺麗に入ったのがまた憎たらしい。
やったわ〜、俺も学生の頃同じ事したわ〜。短いと使いづらいからね。.......だからって捨てるなよ、 もうちょい粘れよ! やっぱりチョークは嫌だ。次は人間に転生した〜い!
その後、俺は男子生徒に捨てられた。
ここは、死後の世界だろうか。
いや、もしかしたら転生して愉快な異世界生活が始まるのかもしれない。
まだ見ぬ異世界へと思いを馳せていた俺に、一筋の光が届いた。光は俺を照らしている。
来い! 異世界転生.......!
そんな事を考えていた俺の目の前に現れたのは、可愛い獣人でも、えろいエルフでも、ましてやロリっ子な神などでもなかった。巨大な手と、巨大な人間だった。
まさか、巨人族がいる世界に転生してしまったのだろうか。それとも、小人になってしまったのか?
訳も分からず目を白黒させる俺に巨人は真っ直ぐ手を伸ばし、俺を持ち上げた。それはもう、いとも軽々と。巨人は持ち上げた俺を巨大な何かに擦り付けていく。
痛い、痛いよ!
俺が悲痛な叫びを上げているにも関わらず、巨人は俺を擦り付けていく。ハラハラと俺の頭から、白い粉がまるで雪のように降っていく。それを見た瞬間、俺は悟った。
俺、チョークに転生してる!!
悲劇としか言いようがない。話す事も動く事もできない。そのくせ知性と身体の感覚だけはあるから痛みを感じる。そんな事を考えているうちにも、俺はみるみるうちに身体を消耗させられる。
こんな不条理な事があってたまるか! くっ、落ち着け。何かあるはずだ。何か.......。
打開策を見つける為に、俺は周囲を見渡し、そして、ハッとした。どうして今の今まで気が付かなかったのだろう。
俺を手にしているのは、美人教師じゃないか!! 俺は今、美人教師に触れられている状態にあるのだ!
俺が興奮しているのを知ってか知らずか、美人教師は俺を粉受けに置いた。俺も含め粉っぽい。
だが、粉受けからは教室を見渡すことができた。そして、俺は再度ハッとした。
このクラス、女子の顔面偏差値が高い.......! 授業を執り行っている教師の顔が良ければ女子の顔面偏差値も高くなると言うのか!?(※そんな事はありません)
そんな女子高生に俺は触ってもらえるのか。生前俺が女子高生やこの美人教師を触ったら一発アウトで刑務所行きになりかねなかったと言うのに。
チョークへの転生も、異世界ものと同等の価値があるのかもしれない。
美人教師は話を止め、生徒を指名していった。黒板に書かせる気なのだろう、生徒が前に出てくる。席を立つ生徒は心なしか女子の方が多く見える。
これ、俺の時代来ちゃったんじゃない!? さぁ、女子達! 俺を使え!!
一人の生徒が俺を持ち上げた。期待に沿わず、ゴツくて固い手だった。
俺は恐る恐る、俺を使っている奴の顔を見た。
男じゃねぇか! お前はお呼びじゃねぇんだよ、すっこんでろ!!
思わず叫んでしまった。しかし、男子生徒は構わず俺を黒板に擦り付ける。
痛ぇ、痛ぇんだよ。お前、筆圧濃すぎんだろ。そんなに押し付けたら.......
ボキッと鈍い音を上げて俺は中程から真っ二つになって折れた。そのまま落下していく。
嘘、だろ.......? まだ女子高生達に触れられてもいないよ? ぶっちゃけ転生してから一時間も経ってないよ? 俺の人生短すぎない?
床に落ちると同時に、俺は粉々になった。もう、上半分は使えない。
でもまだだ! 下半分は残っている。まだ、終わりじゃない!
「あ〜あ。短いし、これもいいや」
そう言って男子生徒は、俺の下半分をゴミ箱へ放り捨てた。綺麗に入ったのがまた憎たらしい。
やったわ〜、俺も学生の頃同じ事したわ〜。短いと使いづらいからね。.......だからって捨てるなよ、 もうちょい粘れよ! やっぱりチョークは嫌だ。次は人間に転生した〜い!
その後、俺は男子生徒に捨てられた。