あと何年(12/4)

文字数 437文字

わたしは
あと何年生きるのだろう?
ふと頭をよぎることが
年に数回ある

しかも
だいたい同じ時期に訪れる

五年日記を書いているので
あっ、一昨年もか
なんて気づくと
笑ってしまう

体と心が疲れる時期は
決まっているようだ
季節の変わり目
仕事の繁忙期前後

百歳にあと四日で亡くなった祖父は
いつも飄々としていた
七人兄弟の六番目で
生まれつき身体が弱く
たぶん成人まで生きないと言われていたのに
誰よりも長生きしたのだから
人生なんて誰にも分からない

髪が淋しくなっても
減ったとは言わずに
額が広がったと喜ぶ
弛んだ腹の肉を掴んで
筋肉が落ちたのではなく
皺が増えたとはしゃぐ

減ることよりも
増えること

誰もが
あと四日生きれば百歳だったのにね
と残念に思ったが
本人は気にしていなかったのではないか
大好物の卵かけご飯を食べて
大好きな畑で倒れてそれきり

じいちゃん
わたしはあと何年生きるのだろうね?

そんな暇があったら
白髪を数えてみろ
だいぶ増えたんでないのか

五十年も生きたんだから
あと何年なんて考えないことだ

わたしは
祖父を思って
独り言する
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