ＲＯＢＯエーのひみつ　プロット

　【起】　時は2100年。80年前世界を混乱させた感染症が収束した世界。
　　80年前、感染症患者の看護や自宅療養者の心のケアのため開発された
　　まるで人間のような人工知能を持ったロボット集団がクリスマスイブに集団脱走した。
　　ロボッ達はアルファベットで呼ばれ、26人中実に20人がロボ•サーカスと呼ばれる施設から　
　　逃げ出した。見た目は人間だが歳を取らないロボットたちが、人間世界で生きられるはず　　
　　がないと残った6人のロボットは行方不明のロボットを探すために奮闘している。

　　場面は変わってとある中学校に 季節外れの転校生がやってくる。彼の名は遠井　成。 彼の歌
　　声は天使のように美しいハスキーボイス。浩人は遠井 成を自分のバンドのボーカルに誘う。

　【承】　8年後の夏。学校の授業の ロボット学でロボットのことは学んではいるが、脱走のこと
　　は何年も前の話だからよく知らない。そんなことより友達と遊んだり勉強や習い事に忙しい5
　　年生、晴人。歳の離れた兄は東京で音楽活動をしているが最近はあまり会っていない。
　　そんなときに晴人の家にホームステイでエーという外国人 の女の子がやってくる。年は晴人と 　　同い年。急なことで家族も晴人も戸惑うがエーの可愛らしさや愛嬌の良さで徐々に馴染んでい
　　く。そして晴人が川で溺れかけた時にエーがすごい身体能力で助けてくれたことから、晴人は
　　エーがロボットだと気づく。集団脱走したロボットのうちの1人に違いない。けれどエーが大
　　好きになっていた晴人は、エーが隠しているのだから黙っていることにする。

　【転】　東京観光に行きたがるエー。夏休みに子ども2人だけの東京の旅へ行くことを計画し晴
　　人の兄に世話になることにする。やたらと兄のことを聞いてくるエーに晴人は 兄ももしやロボ
　　ットで、落ち合って人類侵略をしようと企んでいるのではと感じるようになる。どうにかしな
　　ければと思うがなかなかうまく行かない。兄はいまかなり忙しいということで所属する音楽事
　　務所の前に来る様に言われる。前で待っていると事務所関係者の人が大きな商業施設の電光掲
　　示板を見るように言う。すると画面に兄•浩人が映った。晴人は侵略宣言だと卒倒しかける
　　が、隣でエーが叫ぶ。
　「やめなさい！　トーイ！」
　　慌てて事務所に入るエーを追いかける晴人。兄は記者会見を始める様だ。兄の隣にはほかにも
　　同じ歳くらいの男が2人いる。そして、ひとりだけ小さな中学生くらいの男もいる。記者会見
　　場に入ろうとするエーを関係者が止める。その様子をぼんやり見ている晴人。そんな中トーイ
　　と呼ばれた中学生くらいの少年は口を開く。
　「僕は8年前ロボ•サーカスから脱走したロボットのうちの1人です。」

　【結】　あの記者会見の後、兄のバンド がデビュー曲を披露するとたちまち人々はトーイの歌声
　　に魅了された。脱走したロボットということで賛否両論あるようだが、トーイの歌声はそんな
　　批判すら包んでしまうおおらかさがある、いずれみんなが認めるようなアーティストになるだ
　　ろうとテレビでも注目された。そして、兄はロボットではなく、侵略を考えついたわけでもな
　　くロボットはバンド仲間のトーイであり、エーは脱走したロボットを探す残された6名の最年
　　少だと知った 。
　　エーは、周りは年を重ねるのに一人だけ年をとらないロボットたちの今後の苦悩を考えた上で
　　仲間たちをロボ•サーカスへ戻すために旅をしているのだという。そしてトーイが人間界で生
　　きることを高らかに宣言した今、また新たな旅に出るという。
　　「今までも何人かのロボットと コンタクトをとってきたけど無駄だった。みんな、親しい人間
　　と生きることを選ぶの。わたしのしていることは正しいのかわからなくなってきてしまった。
　　わたしは何のために生きて、旅をしているんだろう？」
　　エーの寂しげな表情に、何か言わなきゃと思う晴人。
　「じゃあ、僕のために生きてよ、僕がかっこいい大人になったときに、かっこいいじゃんって言
　　うために」
　　一瞬の沈黙の後、エーが口を開く。
　「わかった。じゃあわたしもかっこいい大人になる」
　この言葉の真意が晴人にはまだピンとこない。
　だけど、いつかエーが僕を見て笑顔になってくれるようにかっこいい大人になろうと誓う。

　ROBOエー。
　僕の子ども時代、そしてこれからの人生を彩る、一生のともだち。