第1話

文字数 1,599文字

 まちのはずれに、ぽつんと、いっけんのようふくやさんがありました。そこには、ららというおんなのこが、くらしていました。
 ららのゆめは、てづくりのようふくを、たくさんのひとにきてもらうこと。
 しかし、まちのはずれにあるせいで、おきゃくさんはだれもきません。

 あるひ、ららのおみせに、りすがやってきました。
 どうやら、ちかくのもりからきたようです。
「すてきなようふくだね。このあおいふく、きてみてもいいかな?」
「もちろん!」
 ららは、りすに、あおいふくをかぶせました。
 ところが、ふくがおおきすぎて、きることができません。
「りすさんには、おおきすぎるわね」
「ぼくにぴったりのふくは、ないかな?」
「ここにはないけど、わたしがつくってみるわ!」
 りすにぴったりのちいさなふくなんて、いままで、つくったことがありません。
 それでもららは、りすのからだのおおきさにあわせて、いっしょうけんめい、あおいふくをつくりました。
 できあがったふくをみて、りすは、おおよろこび。
 ごきげんなようすで、かえっていきました。

 つぎのひ、ららのおみせに、きつねがやってきました。
「きつねさん、どうしたの?」
「きのう、りすくんが、すてきなふくをきていたのをみたんだ。それで、りすくんに、ここをおしえてもらったのさ」
「あなたも、ふくがほしいの?」
 ららがたずねると、きつねは、くびをよこにふります。
「ううん。ぼくは、ぼうしがほしいんだ。ぼくににあうぼうしを、つくってくれないかい?」
「まかせて!」
 ららは、みみのところにあながあいている、きつねにぴったりの、あかいぼうしを、つくりました。
「ありがとう!とってもきにいったよ!」
 きつねは、うれしそうにぼうしをかぶります。
「どういたしまして。よろこんでもらえると、わたしもうれしくなるわ」

 それからも、ららは、おみせにやってきたどうぶつたちに、ふくやぼうしをつくってあげました。
 そのなかには、なんと、くまや、おおかみもいましたが、ららは、ちっともこわくありません。
 いつしか、ららのおみせは、どうぶつたちから、だいにんきになったのです。

 あるひ、おみせのまえに、きりんがやってきて、いいました。
「こんにちは。わたしは、あなたにマフラーをつくってほしくて、とおくのそうげんから、やってきたの」
 ららは、たいへんこまりました。
 だって、きりんのくびは、ぐーんとながいんですもの。そんなにながいマフラーをつくるのは、はじめてのことです。
 でも、ららは、けっしてあきらめませんでした。
 まず、たくさんのけいとを、まちでかってきて、ながいマフラーをあみました。
 しかし、まだまだながさがたりません。
 つぎに、たくさんのぬのをかってきて、つなぎあわせました。それでも、ながさはたりません。

 ららがこまっていると、りすがやってきました。
「もしよかったら、このようふくをつかってくれないか」と、りすはいいます。
「でも、それは、りすさんのものよ」
「ぼくには、またこんど、あたらしいようふくをつくってほしいんだ。これは、マフラーにつかって」
 ららは、りすのふくを、マフラーにつなぎあわせました。ようやく、あともうすこしです。
 ららのおみせには、たくさんのどうぶつたちが、つぎからつぎへとやってきました。
 みんな、これまでららに、ふくやぼうしをつくってもらった、どうぶつたちです。
 ららのことをたすけるために、ぬのをもってきてくれたのです。
「みんな、ありがとう」
 そして、どうにか、ながいながいマフラーができあがりました。
 あお、あか、ピンク。いろとりどりのマフラーをみて、きりんはにっこり。
 マフラーをまいているきりんのすがたは、まちのひとびとからも、みえました。
 それからというもの、おみせは、どうぶつだけでなく、まちのひとたちからもだいにんきになって、ららは、まいにちおおいそがしとなりました。
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