プロット

起）
私立中学一年生の蓮（れん）はクールビューティで有名な女の子。一度ついたそのイメージを崩せず、本当の自分を誰にも見せられないでいた。蓮の趣味はハンドメイドで、可愛いものが大好き。ミシンや羊毛フェルトなどで作った自身の作品や作成の様子を動画にして、SNSにアップするのが日課。そこでは「はーたん」と名乗っていた。（蓮→ハスの花→はーたん）
フォロワー数もそこそこいて、ここではイメージを気にせず好きなものを好きと言える。もちろん、顔出しはしていない。ある日、同じハンドメイドでSNS投稿している人気インフルエンサーの「えいにゃん」からコラボしないかとのDMが届く。ずっと憧れていた人とのコラボをやってみたいけれど勇気が出せなくて悩む蓮。

承）
そんな時、同じクラスの遥に自分が作ったポーチを偶然見られてしまう。遥は可愛いもの大好きなふわふわジェンダーレス男子で、それを隠すこともなくみんなから受け入れられていて、蓮はそれを密かに羨ましいと思っていた。蓮は勢いで遥に「身代わり」を頼む。悩んでいる蓮の様子に、遥はそれを受け入れる。代わりに、蓮の部屋を見せてほしいとも。
いかにも女の子という雰囲気のふりふりで可愛い部屋を見せることに不安を抱いた蓮だったが、実際に見ても遥は全く馬鹿にしない。それどころか目をキラキラと輝かせ自分の作品を褒める遥を見て、蓮は彼に好印象を抱く。

転）
「えいにゃん」と会うことになり、蓮と遥は蓮の家で頻繁に打ち合わせ。そして当日になり待ち合わせ場所に行くと、えいにゃんは動画でみた通りのふわふわで可愛らしい女子高校生。「はーたん」が男子であることに驚く様子もなく、すんなりと受け入れてくれる。付き添いという名目の蓮のことも、特に気にする様子はなかった。彼女と言われ、それを否定しない遥にもドキドキしっぱなしの蓮。
コラボ動画は無事終わり、編集やアップは「えいにゃん」の方でしてくれるという彼女に遥はお礼を言う。大体二週間ほどでアップされるということだった。その帰り道、遥は蓮に「本当にこれでいいのか」と問いかける。動画がアップされてしまえば、みんなは「はーたん」のことを蓮ではなく遥だと思う。遥の顔は隠される予定だが、それでも男子だということは隠せない。ひとつひとつ心を込めて作ってきた作品のことも、それを楽しく見てくれていたフォロワーのことも、そして自分自身のことも、騙すことになる。本当にそれでいいのか、と。
蓮は「最後まで協力してくれるといったくせに」と遥を責め、以降彼を避けるように。けれど彼から言われた言葉の数々や、自分の作ったものを心から褒めてくれる姿、そしてこの間のまっすぐな言葉を思い出し、蓮は決意する。

結）
「えいにゃん」にもう一度連絡を取り、全てを正直に話した蓮。心から謝罪し、えいにゃんもその気持ちに寄り添ってくれた。遥は彼氏ではなく協力者だと説明する蓮だが、彼はきっと蓮の為にあんなに真剣に動画撮影に取り組んでくれたのではないかと話す。
覚悟を決めた蓮は、遥に「今日の夜えいにゃんチャンネルにアップされる動画を見てほしい」とメッセージを送る。その動画は撮り直されたもので、えいにゃんと蓮が共同で人形用のハンドメイドドレスを作成している動画だった。蓮の顔はお面で隠されていたが、それでも彼女にとってはかなり勇気を出したことだった。
そして次の日、なんと蓮はフリルのついたリボンで髪を結び登校。遥を呼び出し、変われたのはあなたのおかげだと告白する。遥は泣きながら「よく頑張った」と蓮を褒めて、そのままの蓮が大好きだと告げた。