第1話

文字数 26,489文字

世田谷区経堂、人の影は付近に見当たらない、少し空気が淀んでいた。午前9時を少し回った頃、一人の中年のサラリーマン風の男が、一人ゆったりとした足取りで、道を歩んでいく。前から目を付けていた家だ、資産をそこそこ持っていそうだ。この時間は、主婦の友美と言う女が一人いるだけだと、下調べで情報を得た。ゴミ出しに出た隙を狙うか?、それとも2階に洗濯物を干しに行く頃合いに入るか?。その男、関根純造こと、警視庁指定ナンバー2045号は、今朝から活動を始めていた。久し振りの獲物である。ここ2年活動を休止していた。貯金も残り少なくって来ていた、ここで大口の獲物、川口家に入り、金を得ようとしていた。路地へ入り、タバコを一本出して、火を点ける。ここからだと、川口家は、良く見えた。川口家の庭へそれとなく入ってみる。犬は居ない、ここの主人川口誠仁が、大の犬嫌いだと、近所の噂で聞いた。それとなく家の中へ侵入て見る。無論音も出さずに、手には、薄いビニール製の手袋を嵌めている。そっと家に入る。洗濯機の回る音が、風呂場の方から聞こえる。静かに、目出し帽を被り、面体を隠した。居間を避けて、奥の洋間へ入って行く。朝のワイドショーが、大型液晶TVでやっているのをチラリと見る。川口婦人は、ソファーに寝転んで、コーヒーを飲んでいた。洋間の引き出しを、開けて見る。箪笥には何も入ってないと踏んで、2階の寝室へ入ってみる。ここには、金の匂いがする。
 鏡台の引き出しを開けるとクレジットカードに貴金属が、入っていた。ダイヤモンド32カラットは、有るだろうか、18金のネクレス、(少しシケテいる)と、心の中で呟き、ベッドの上に無造作に転がっている、セカンドバッグを、開けてみる。中身をベッドの上にブチマケル。銀行通帳に、郵貯の、キャッシュカード、パールのネクレス。
 上に人が上がってくる気配がした。洗濯物を干しに、上がって来たのか、主婦がベランダへ出ると、後ろから、一階へと降りる。バッグに貴金属と、カード類、通帳を、入れて一階の居間で、辺りを物色する。ノートパッド、ノートPC、それに、脱ぎ散らかした子供物のパジャマが、転がっている。小型手提げ金庫を発見し、そっと家から出る。何気ない顔をして、近所の主婦に会釈を送る。歩いて、小田急線経堂駅から、その地域から出て行く。事件が発覚したのは、この日の昼過ぎ、部屋が荒らされているのを、この家の主婦友美が、気付き、警察に110番通報した。所轄の刑事、大門が、部下3人を連れて、訪れた時は、鑑識が入り、捜査は終わっていた。指紋も証拠も何も残って居なく、この事件は空き巣として、警察署内で据え置かれてた。
  その頃、関根は、茅ヶ崎のアジト・シティーホーム茅ヶ崎Ⅱと言うワンルームアパートで、戦利品を、広げて見ていた。このアパートに住む、根元用介と言う50代の男は、ニヤニヤしながら、今日の戦利品を眺めていた。
 「えーと、銀行通帳が5枚に、キャッシュカード6枚、クレカが3枚か、浜の学さんの所でサバイて貰うか、で、今日も俺に上がりの20%な後はパールのネクレスー」
 関根は黙って手提げ金庫も出す。
 「こいつは、ロックが付いて居るな、サンダーでぶった切っちまうか、今からスカの銀次の所へ行くか、クハハハ」
 根元の車、ハイエースワゴンで、2人は出かけた。車で、20分も走れば、横須賀の、逸見に住むスカの銀次こと、瀬山銀次の住む職人宅へ赴く。スカの銀次は、横須賀を根城にする、ヤクザで、職人の一家を構える任侠である。銀次の家は、新興の造成地の、一番奥に有る、少し小高い丘の上に有った。
 そこは、まるで中世の砦の様に、3方を崖に囲まれてい、南側を川が流れていた。
 車を、銀次の家の前に着け、2人は周りをチラリと見回してから、銀次の家のガレージ、かなり広いガレージに入る。車が4台入っていた。屋根の有るそのガレージには、1番奥にシボレーのピックアップトラックが青くメタリックに輝いて、止まっていた。その右手前には、日産セレナの四駆車が、グリーン、濃緑色と言おうか、鈍い光をたたえて、運転席以外をフルスモークで、覆われて、中は見えず、妖しく佇んでいた。そして、手前左側には、サンダーバードの79年式の、オールドマシンが、赤く、そのそして、下半分が艶の無いブラックな、塗装のツートンカラーのマシンが、厳ついスーパーチャージャーをボンネットに盛り上げて停まっていた。その脇に、各種工具が、置いてあり、転がっている、グラインダーを手に取り、ドラムコンセントに繋ぎ、関根の持ってきた、手提げ金庫を、地面へ置き、グラインダーのスイッチを入れて、その切っ先を金庫のロックに向けて回す。
 「オイ、電源入れるぜ」
 根元用介は、関根の方へ向かい、厳しい顔つきで言う。関根は、黙って金庫を支えて、グラインダーの切っ先を見る。グラインダーは、通称サンダーと言われるように、刃が金属に触れると、火花を散らし、丸で、雷を発するかの様な、火勢が出る。グラインダーは、金庫の3分の2をぶった切り、ロックを破壊する。蓋がパカンと開き、中身が剝き出しになる。中には、100カラットのダイヤ、現金に直すと幾らで有ろうか?、6個入ってい、有価証券が入ってい、IT企業㈱GOYOOの株が3000万円程有る。どうやら、GOYOOの株主らしい。もう一つは、オパールの、指輪が有り、用介は、目を光らした。関根は、素早い動きで、オパールの指輪を手に取る。
 「オイ、それも出せ、2年ぶりのヤマしちゃ大量だな?」
 「これは渡せない、娘の誕生日のプレゼントにやるから・・・・・・」
 「何が娘だよ、あのヤリマン、もう20歳だろ、自分で働かせて稼がせろや」
 なおもオパールの指輪を、掴んで離さない関根の、頬ゲタを根元は殴り付け、オパールの指輪を取り上げる。陽西に傾いて来た。初夏の夏日は去り、野球中継が母屋のラジオから聞こえた。涼しい風が、北西からそよ風の様に吹いた。二人は、スカの銀次のガレージで、次の標的の情報を交換した。次の標的は埼玉県上尾の、宮越と言う家だ。根元の情報だと、宮越の家には金の延べ棒12本眠っていると言う。
 「しかし、金庫どうやって開けたら良いんですか?」
 「頭もっと使え、その為のトカちゃんだろ、脅しでも良いから天井にでも発砲してビビラセテから、女の股座に、お前の自慢の、馬殺しをぶち込んで言う事聞かせてしまえ、まぁ大丈夫だ、俺が駅前で待機してるから、素早く乗って逃げるんだ、わーたか?」
 関根は、この日の上がり40万円を持って、自宅のある、足立区北千住の、マンション、ガレア一番館に向けて、列車に乗る。
列車内では、学生達が、騒ぎ、一つ揺れる度に、隣の席で居眠りをしている、中年の女が、肩を持たれさせ、抱き着くようにして、関根の体に打つかってくる。日暮里駅に列車が入る時、女の手がサッと関根の懐に伸びて来る。関根は、反射的に女の手を掴む。
 「何すんのよ」
 女は小声で関根の耳元で囁く。
 「何するも何も、お前スリだろ、どこの身内の者だ?」
 「どこだって関係ねぇーだろオヤジ」
 女は素早く手を引っ込めて、関根は女の頬を軽く叩いて列車から降りる。人が疎らな駅のプラットホームで、後ろから件の女が着いてくるのを確認する。
 「ねぇ、アンタその道のプロでしょ、アタシと一緒に組んで仕事しない、報酬は五分五分で良いよ」
 その女、上下にスウェットを着、手にはエルメスのセカンドバッグを持ち、左手首には、純金のブレスレッドがブラ下がっていた。腕時計は、ブルガリと見て取った。
 女は、なおも纏わりつき、仕方なく日暮里駅の改札を出て、駅ビルのレストランへと引っ張られて行く。レストランへ、入ると、一番奥の、街が良く見える窓際の席に着く。
 「ねぇー、ウェイトレスの娘、早く注文取りに来てよ」
 女は、名乗った。主に、山手線を縄張りとする、素川鉄郎一家の身内、川村幸子、通称、隼返しの幸・と名乗り、ピンクのルージュを、唇に塗り、ニコリと笑った。
 「俺の名は、関根ってゆーんだ、通称猫見の純て言うのさ」
 「へぇーあの噂の純さんか、アンタ本業はコレでしょ?」
 幸子は、右手人差し指の、第一関節を曲げてクイクイと、伸び縮みさせて、関根の顔を見る。関根は、ニヤリと笑い、2万円を幸子に手渡す。
 「これで、コンビを組むなら、一発打たせてくれ、嫌なら俺は帰るぜ」
 幸子は、2万円をソッと財布に仕舞い、注文したスパゲティーナポリタンを、口に運ぶ。
 「あっ、凄い大きいのねアナタ」
 幸子は、純造の一物を、口に含み、ペロペロと鬼頭を舐め回していた。ここは、日暮里の駅近くに有る、裏町のラヴホテルで有った。純造は、幸子のヴァギナを、指にに唾を付けて、その熟れ切った陰唇をナデル。口を付けて、クリトリスを、指で転がして、強くバキュームする。純造のペニスは、赤く腫れて、カウパー液を幸子は舌で舐め取る。幸子の口の中で、ペニスは喜びの声を上げて、そのフェラチオテクニックで、1回目の射精を、口の中に放出する。
 幸子は、口開けると、精液が糸を引いて、口から少量垂れる。精液を飲み干してゴクリと、喉を鳴らす。
 「ハァ~美味しいわアナタ、もう一回、息子ちゃん起っきさせたげるね」
 もう一度、喉まで飲み込み、ペニスが勃起した、所で、甘いバターの様になった、幸子の中へ、純造は没入させる。直径28センチは有るだろう、純造の通称、馬殺しの、竿が熱く鼓動して、狭く、そして濡れている幸子を貫く。
 「あ~凄い、こ、こんなの初めて・・・・・・」
 「うっ、幸子の中のイボがとても塩梅が良いぞ、これで何人の男を泣かせた?」
「男なんて、3人しか知らないもん、あくぅー又良くなってきたあーふーふーふー」
 激しく2人は抱き合い、幸子はアクメに達して、潮を吹く様にラヴジュースを噴出した。純造は、ハメていたコンドームが、破れる程、激しくピストンし、性汁が、股間で混じり合い、最後の一撃を、純造は発射した。終わった後、純造は、幸子の茶色く染めたロングヘア―を、撫でて、キッスを交わす。
 「ねぇこれで私達、コンビ組めるね、下の名前何てぇーの?」
 「純造だ、関根純造、前光一家の盃を貰ってるが、世間的にはそれは秘密だ」
 「ステキ、ねぇ奥さんとか居るの?」
 「うむ、一応いるがもう8年もしていない」
 「アナタ明日から、私と組んで山手線と京浜東北線で稼ぎましょうよ」
 「次のヤマの下見に行くから一週間後に、さっきのレストランに午前10時に会おう」
埼玉県上尾市上町1丁目に、来ていた。閑静な住宅街を、関根は、ヨレヨレのYシャツを着て、灰色のスラックス姿で、住宅街を歩き回る。昼は、上尾市図書館で遅い昼食を、コンビニでかったオニギリを、頬張りながら食す。昼過ぎ2時の街を又ウロ着く事にした。初夏の暑い太陽が、ジリジリと、半袖の二の腕を焼け尽くす。陽は中天に昇り、6月だと言うのに、気温32℃を記録していた。汗が噴き出る。持っていたタオルで、頬を拭って、先程自販機で買った、清涼飲料水を、一気に飲む。空き容器にのったペットボトルを、持っていたバッグに仕舞う。
 「ごめん下さい、私、大合保険のセールスマンをしている者ですが」
 本命の、宮越家を訪れたのは、午後の3時を少し回った所だった。中から50代であろう主婦が、面倒臭そうな顔をして、出て来る。
 「あら、生命保険なら今、日赤生命に入っているから」
 「いえ、私共大合生命保険は、外資の、アブラックと、提携してがん保険が、他社より掛け金が安く、ガンと診断されたときー」
 関根は、偽造の名刺を出して、この家の、主婦、宮越夕子の信用を得る。夕子は関根の説明に、次第に引き込まれ、日赤生命を、解約しようと考え始めた。夕子は、パンフレットを貰い、家の中へ関根を招じ入れた。関根は、パッドを使い、保険のプランを事細かく説明していた。無論、関根のグループが作った偽の、サイトを使ってだ。
 「で山川さん、解約の違約金全額おたくで持ってくれるのかしら?」
 山川とは、関根の偽名で有り、名刺にもそう記して有った。
 「ハイ、それはもう、ご契約してくれると、今ならキャッシュバックで、2万円分の割引が有りますよ」
 「ハァーそうですか、契約しても良いわ、今印鑑持ってくるから・・・・・・」
 「いえ、まだ印鑑の用意は、しなくても良いです、来週の月曜日に契約書を作成して持ってきます」
 「あら、何時頃になるのかしら?」
 山川事、関根純造は、仮契約書にサインをして貰い、宮越家を後にした。
 関根はひとつ、ここで仕事をして帰ろうと住宅街を散策した。上町2丁目の住宅街を歩く。汗が噴き出る、塩分が欲しくなって来た。自販機でこの日3本目のアクエリアスを買い、ペッドボトルを、片手に持ち、2丁目の酒屋の角で、タバコを吹かしていた。右を見ると小さなアパートが、目に付いた。鉄筋で出来たそのアパートから、主婦が、買い物用のトートバッグを持ち、ドアーに鍵も掛けずに出かけて行った。
 ―良し、今日はあのアパートに決めた。
 心の中で独り言のように呟き、何気ない顔をして、アパートに近付き、階段を上って行く。
 確か、この部屋だな、と、目星をつけておいた、202号室のドアノブを、薄い手術用の手袋を着けて、そっと回す。中ではTVが点いており、今で、中学生くらいの少女が、ポテトチップスを食べながら、ソファーに寝転んでいる。玄関先で目出し帽を被り、中へ忍び足で入って行く。ソファーで寝転ぶ少女の後方へ近付き、後ろから口を手で押さえて、声の出ないようにして、手錠を手を後ろ手で組ませて、口にタオルで、サルグツワを作り、完全に動きを封じる。少女は、足をばたつかせ、足も手錠で拘束し、ソファーに転がす。まず、箪笥の一番上に目をやる。引き出しの中身をブチ撒ける。中には印鑑と銀行通帳が出て来た。次に、額縁に飾ってある表彰状を外し、裏を見る。案の定封筒に入った現ナマが出て来た。次に、寝室に入り、ベッドの布団をはぐる。
 ここにも封筒に入った現ナマが出て来た。そして、鏡台の引き出しから、アクセサリー類を、盗み、持っていた鞄に入れる。
 今でもがいてる少女の腹に一発、パンチを入れて、これを黙らす。そのまま外に出て目出し帽を脱いで、駅まで歩いて行った。この事件は、夕方のニュースになり、警察は、犯罪ナンバー2045号と認定し、捜査の範囲を広めて行った。
「怪盗2045?、あ~昨日TVのニュースでやってた事か」
 「ハイ、正体不明の、泥棒なんですけれど、元は高層ビルや、高層マンション専門に、荒らし回っていた空き巣なんスよ」
 横水一也は、公安生活安全課、課員、田宮と喫茶店で話をしていた。横水は、コーヒーのお替りをして、ショートケーキにフォークを付ける。
 「で、田宮さん、その盗賊の正体何なの?」
 「ハイ、正体は不明何ですけど、15年程前からビル荒らしや、空き巣を繰り返している、窃盗犯何ですよ、2045号は、拘束に手錠を使うんですよ、その手錠に、何時もJSと、イニシャルが刻印されていて、何時も同じメーカーが使われてますー」
 「で、そのJSの正体を、掴めっていうの?、難題だなそれは・・・・・・」
 ハイエースワゴンのコクピットには、根元洋介が座り、一々、車が渋滞するたびに、文句を独り言で言って、ハンドルを、ユサユサと揺する。
 助手席で、居眠りをしている、関根純造は、時折流れる、ラジオのニュースを、聞き、目を開く。
 車は、中山道を走り、上尾市役所前の信号を左折する。そのまま、高崎線・上尾駅前のロータリー手前で、駐車する。
 車が停まると、上尾上町へ、無言で車を降りて進発した。
 「今日も暑いな、汗が止まらないや」
 独り呟き、駅前から住宅街を、ゆっくりとした足取りで歩く。8分ほど歩くと、上町1丁目の、宮越家の門の前に着く。夏の陽光が、容赦なくアスファルトを焦がしていた。
スッと、宮越家の玄関に近付き、ドアーノブを回す。鍵は開いてい、中から朝ご飯の、トーストを焼く匂いがした。家の玄関内へ、土足で足を踏み入れた。洋間になっている居間で、宮越夕子が、下着姿で、朝食をとっている。関根は目出し帽を素早く被り、洋間の中へ入る。そっと宮越夕子の後ろへ回り、口を押さえて、手で塞ぐ。宮越夕子は、体を捩らせて関根の手を、振り解こうともがく。素早く手錠を出して、後ろ手で拘束をする。
 夕子は、口にサルグツワを嵌められて、足払いを掛けられ、転倒する。外で小鳥が鳴き囀っていた。
 「もうすぐ、夏本番だな」
 関根は、頭の中で呟き、汗ばむ体を押して、夕子の体を纏っている、下着を剝いで行く。素っ裸にして、ソファーの上に持ち上げて持って行く。
 50を一つか二つ過ぎている、夕子の体を、マジマジと見て、関根はズボンを降ろして、ペニスを剥き出しにした。通称馬殺しの巨大ペニスは、まだ縮小したままで、直径はそれでも15cmは有る。
 夕子は、恐怖の表情から、その馬殺しを見て、心の底で、期待と不安の入り混じった、心の動きに自分でも戸惑い、そして、関根が手でペニスを、3擦りすると、見る見る巨大になり、勃起した、30cmを超えるそれを見て、思わず、下の口から、粘液滲み出た。女の膣口を、亀頭で少し、撫でる。「う、う、う、」。女は早くの馬殺しを、味わいたく、腰を捩って、ペニス、下の口で受けようと、力み返る。夕子の陰口内に、関根は軽く指を挿入してみる。充分濡れている。更に粘液が入り混じる位、馬殺しを陰口に擦り付ける。馬殺しは、吠えた。一撃で女の子宮付近まで達した。
 「あ、ぐぐぐぐ~」
 夕子は、身を捩らせて、馬殺しを挿入されて悶える。3回膣内を往復すると、中身は、グショグショに濡れて、馬殺しを締め付ける。4回目のピストンを終えると、馬殺しをソッと抜く。ジュルリ、と妙に艶めかしい音を発して、巨大なその馬の根っ子の様な、ペニスは愛液にまみれて、宙空で脈動していた。
 「あ、ん、ん、ん、」
 「どうだ馬殺しの味は?、もっと欲しければ、金庫を開けて貰おうか」
 夕子の、サルグツワ外して解放してやる。
 「ハァ~ン、素敵、もっと欲しい、泥棒さん金庫の物は全部あげる、もっと入れてぇ」
 「フン、ババァ癖に、浅ましいマ〇コだ」
 少し、収縮している関根のペニスが、又大きくなり始めた。夕子の手の戒めも解き、金庫の前へ、運び込み、夕子はダイヤルを、四つん這いで回し始める。その後方から馬殺しを入れる。
 「キャー、ウーン」
 夕子は叫び、馬殺しはバックから、膣の天井目掛けて、抜き入れされる。夕子は目を細めながら、ノロノロと、金庫のロックを解く。
 「やった」。思わず関根は叫ぶ。金庫の中には、オパールやダイヤ、それに、金の延べ棒が、所狭しと並んでいた。関根は、スラストを早くして腰を突き上げる。
 「あ~あ~う~う~あんあん」
 バックから思い切り攻めて、十分程で、夕子のバギナは、固く締まる。その瞬間を逃さず、馬殺しの引き金を絞る。ドクドクと、女自身の中に精液を注ぎ込み気をやる。
 「ハァーハァーハァー」
 夕子は余韻に浸ってる時に、バックから、革袋を取り出して、金の延べ棒、アクセサリー類を入れて、ズボンを履く。外にライトエースワゴンが来ている筈だ。
 「オイ、ババぁの癖に案外良かったぜ」
 「あっ行かないで、もっと、して」
 「この事を警察に言わなきゃ、また来てやるぜ」
 「ほ、本当?」
 「じゃぁな、アバヨ」
 夕子は呆然として、外へ出て行く関根を見つめていた。外にはハイエースワゴンが、エンジンをアイドリングさせて待っていた。大きな革袋を引っ提げて関根は、バックヤードに入れて、助手席に乗り込む。
 ハイエースは、猛ダッシュを掛けて、走り出す。目出し帽を脱ぎ、外の風景を見る。外気は、6月だと言うのに34℃と暑い、関根の体も熱く火照る、今日の仕事は終わった。
 「オイ、お前ぇ女の匂いプンプンだぜ」
 「そうか、帰ってシャワー浴びたいな」。
 スリの道は厳しかった。隼返しの幸と、組んで3日目が経つ。朝6時に、日暮里の山手線プラットホームで落ち合い、昼間はラブホテルで、毎日精を抜かれた。関根純造は、疲れ果てて、家への道を歩いていた。足立区の北千住に有る、関根の住むマンション・ガレア一番館・は、築30年は経つであろう、4階建ての、近所の口の悪い者は、オンボロマンションと言って揶揄していた。403号室が、関根家で、長男、純示は21歳。仕事もせずに、毎日ぶらぶらと、車で何処かへ出掛けていた。長女、雪奈は、20歳、新宿のクラブ、ラ・マドンナで、皿洗いのバイトをしていた。
 妻の八重美は、この年46歳で、体がここ十年で、太って来て、見るも無残なドラム缶体型になり、純造は、抱く気も起こらなくなっていた。関根純造は、家に黙って入り、居間には行かずに、6畳ある寝室のベッドに、横になり、天井を睨んでいた。本日の、収穫は幸子と組んで、財布6枚、現金6万円、クレジットカードが3枚、キャッシュカードが8枚に上った。その内、キャッシュカードとクレカは、上野に住む、ドヤ政と言う男の手に渡り、仲介人の手によって、中国人犯罪組織の手に渡り、換金される。上りは、高が知れていた。純造は、スマートフォンのラインのメッセージを見る。
 工藤君彦からのメッセージで、明日の夕方6時に、【上野の、何時もの場所で待つ】とだけ、記して有った。ベッドの脇の水差しに入った水をコップに注ぎ、疲れてそのまま寝入った。良く朝起きて、髭を当て、洗顔を済ませて、歯を磨く。何時もの開襟シャツに、グレーのスラックスを履き、革靴で決めて、マンションを出た。
 妻も子供たちも、純造の正体を知らない。
 関根純造は、15年前、務めていた電子部品加工会社が、倒産の憂き目に合い、無職になり途方に暮れていた。そんな頃、工藤と言うヤクザと、上野の飲み屋で知り合い、浅草に有る、任侠組織・前光一家の身内になる。密かにヤクザ社会の人間になって行った。そんな工藤は、本職はビル荒らしで、空き巣もこなす稼業人で有った。
 工藤と組んで2年前までに、窃盗1200件、強姦36件、無論殺人も数人した。警察は、彼らを、怪盗2045と指定して、その足跡、行方を追っていた。
  北千住の駅から、電車に乗り、日暮里駅まで出た。改札を潜ると、隼返しの幸が今日は又別の洋服を着て、ニコリと笑い待っていた。夏場だと言うのに、黒い革のベストを着、下は同じ様な革のミニスカートを履き、下着が透けて見えそうなTシャツを着て、そのボリュームの有る胸を誇らしそうに揺すり関根の傍に寄ってく来、左腕を掴んで山手線のプラットホームに立つ。隼返しの幸は、36歳と言う。昔話も身の上話も何もしない女で、純造もそんな事気にも留めない男であったから、互いに干渉はしない、良い仲になって行った。
 一番最初のターゲットは、スーツを着た20代くらいの若い男であった。幸は、満員電車の中で窓際に立つその男に近付いて行く。後ろからバッグのファスナーをそっと開き、手で中を探っていた。「有った・・・・・・」封筒の中に現ナマの感触を、手で確かめてサッと抜く。
 向こうの方で、鉄道公安官の目が光っていた。
サッと幸は、男から離れ、関根の脇に行き、バッグで手を隠し、封筒を手渡す。関根は上野のプラットホームに降りて改札に向かう。喫茶店に入り、封筒の中身を確認した。ザっと、200万円は入っているだろうか、今日はこれだけで終わりにした方が良いと思い、幸に、ラインでメッセージを送った。すぐさまメッセージが返って来て、本日は、品川のプリンスで休憩する事にした。品川の高縄口で、二人は待ち合わせ、関根は、幸とは目を合わさずに、ホテルの方へ歩いて行く。後方から幸もツカツカと足早に付いて来る。ホテルのロビーに入り、6階のスウィートを取り、2人は上階に案内されて昇って行く。
 「ハァ~、あの後公安官の山寺に付き纏われて撒くのが大変だったの」
 「都合200万円有る、当分この仕事を休んだ方が良いんじゃないか?」
 「うん、でももっと稼いでロスに移住したいの、今日は暑いね、シャワー一緒に浴びようよ」
 「うん、ビール一杯飲んだら後から入る、先入っててくれ」
 幸子は、先にシャワーを浴びにバスルームに消えて行った。今日も幸子に精を抜かれて、寝てしまうのか、と思うと、少し自嘲気味に笑ってから、ビールを一気に飲み干す。
 後ろから、シャワーを浴びている、幸子に抱き着く、乳輪を指で弄び、首筋にキッスをする。
 幸子は口元が笑いながら、馬殺しを後ろ手で揉む。馬殺しは、青筋を立てて、幸子の熟れた肌に突き刺さる。幸子はそれを感じて、ピクンと反応した。シャワーの湯が舞い落ちる中で、2人は抱き合い、馬殺しを受け入れる。
 「あんんぐ~、あ~今日も良い良い~」
 馬殺しは、いきり立ち、今日は強烈に締め付けて来る幸子に、2分で放出する。
 「幸さん、段々味が良くなって来たね、うっそれもう一回だ」
 2人は互いの体に溺れて行き、この日午後4時まで5回気をやっていた。
 「それじや、俺、用が有るから行くな、金は払ってあるからゆっくりして行けよ」
 「うん、純さんも気を付けて帰ってね」
 品川駅に向かう。山手線内回りに乗り、上野に向かう。外は、夏化粧した木々が、緑に映えて夏草が所々に生い茂り、日はまだ高く、女子高生の白い制服を見て、改めて季節を感じる。
 上野駅前に、飲食店が立ち並ぶエリアが有る。その中の一軒・ノンベ屋・と言う居酒屋に入って行く。店の中へ入ると、カウンターで一人の体の大きな男が焼酎を片手に、ツクネを食べていた。
 「よう純造さん、久し振り」
 関根は、黙ってその男の脇に座る。
 「オヤジ、ビールに軟骨3本だ」
 「純造さん、折り入って頼みが有る、後で俺の家まで付き合ってくれ」
 2人は黙々と、酒を飲み、杯を重ねて行く。カウンター席は午後9時に、満杯状態になり、後ろの席も座る余地も無くなって来た。
 「あのさ、オジサン、もうちょっと席詰めてよ」
 後ろから、20台と思しきOL風の女が一人で入って来て、関根の横に座る。
 「じゃ、純造さん、俺の家まで付いて来てくんない」
 二人は、浅草橋まで歩き、工藤の住む、一軒の借家まで歩く。工藤は、この年58歳、噂によると、前の妻とは別れ、新たに23歳の若妻を娶ったらしい。工藤の家は、平屋の借家になっており、周囲の家も、それに近い佇まいである。
 「じゃ、家に上がっていってくれ」
 「お邪魔します」
 中へ入ると、6畳間と4畳半の2間しかなく、噂に聞いた若妻は居なく、それとなく、工藤に聞くと、OLをしてい、夜が遅いと言う。
  中へ上がると、工藤はエアコンを付けて、部屋を急冷する。2人は汗を拭って冷えたビールと、枝豆で一杯やる。
 「折り入って頼みって工藤さん何?」
 「実はな、息子が事故起こして、つまり、人を撥ねちまったのよ、相手は全治6か月の重傷で、1500万ばかり必要なんだ」
 「そりゃ大変だな、で、またヤマを踏むのか?」
 「そう、目黒で一つ1500万相当の仕事がしたい、しかし空き巣狙いじゃ埒が明かねえ、お前さんの、馬殺しで一つ落として貰いたい女が居る」
 工藤は枝豆を、3つ程摘まむと、ビールを、グイと一杯一気に飲む。
 「で、その女って、のが金持ちなのか?」
 「ああ、旧華族って知ってっか?、その子孫で、黒田みゆって若い女なんだ」
 「その若い女が何で金になるんだ?」
 「実は、その女もう家に来てるんだよ」
 工藤は奥の四畳半の部屋の襖を開け放つと、女が一人、素肌で、両手両足を、縛られて寝ていた。下にはブルーシートが、敷かれて悪臭が漂っていた。
 「何だ、浚って来てたのか、サツに嗅ぎつかれたら事だ、バラして埋めるしか無いぞ」
 関根は驚き、そして呆れもし、女の尿の匂いで少しだけ咽る。
 「それがな・・・・・・」
 工藤が語る所によると、この女みゆは、時価二億になる、ルビー・レッド・スカイ・を何処かに隠し持ってい、その在り処を、もう3日監禁し、拷問を加えても吐かない。
 「そこで、お前さんの馬殺しの出番って訳だ」
 関根は、半ば呆れて、この匂いどうにかならないか、とボヤク。
 「じゃぁ、女は、風呂に入れるから、後は頼まぁ」
 深夜2時それは行われた。両手両足の、戒めを取り、工藤が風呂に入れてやり、関根は、スタミナドリンクを、5本飲む。風呂から上がってきた、みゆは、疲れ切り、少し憔悴している風にも見える。工藤は、インスタントラーメンを、作ってやり、みゆは、貪る様にそれを食べる。
 3人は、しばしの沈黙の後、6畳間に敷き述べられた布団の上に、みゆは仰臥し、その若くて白い肌を、曝け出して、股を広げて、関根純造を、挑発的な目で睨み、言った。か細い声で。
 「アナタ達には、宝石は渡せないの、祖父の形見ですもの、幾ら私を攻めても、無駄よ、アハハハ」
 その笑い声は、力無く、まだ空腹の様でいて、旧華族のプライドを賭けてSEXをすると言い切った。
 「私をイカセルペニスは、日本人には、居ないわ、やって見なさい濡れもしないんだから」
 「そんなに言うなら、やっても良い、工藤さん、馬殺しの威力、見せてやる時が来たね」
 関根純造は、下半身から服を脱ぎ、上に着ていた開襟シャツの、ボタンを外す。まだ関根のペニスは垂れ下がり、それでも20cmは有るだろう。それを見て、みゆは、少し顔を赤らめて生唾を飲み込む。関根は、自らのペニスを3擦りした。見る見るそのペニスは怒張して、馬殺しの異名を取る29cm以上あるイチモツが、青筋を立てて、赤黒く腫れて行く。
 「みゆって呼んで、優しくして・・・・・・」
 黒田みゆは、その馬殺しに、魅せられて、股間から水の様に、ラヴジュースが、涌き出る。
 関根はしたりと笑い、みゆの淫口をに、亀頭を擦り付けて、愛液が滲み出るのを促す。
 「あ、ハァ、まだ濡れただけ、中に入れないと、私の味分からないわよ」
 「フンッ、さっきの自身はどうした、馬殺しを、受けて見ろ」
 女の股を押し開き、馬殺しの、30cmを超えるペニスが、脈動しながら、みゆ、を貫く。
 「あ~ひぃー、ウワー」
 中へ没入させて、30秒ほど動きを止めた。
 熱く液体をホトばらしながら膣内で、怒張をしていく。少し、腰を捻り、中で膣と共に、ペニスを動かした。みっしりと、淫口内で密着した馬殺しは、みゆの体内を、蹂躙して、女のツボを、馬殺しは捉える。5分、10分と、射精せず、みゆの中で暴れる。工藤が関根の肩を叩き、目顔で合図を送って来て、濡れそぼった馬殺しを引き抜く。馬殺しのペニスから、大量の液体が糸を引いて垂れ、哀れな目付きで関根を見つめる。
 「そんな・・・もっと、もっと」
 「そいつは、お預けだな、宝石の在り処を、言ったら最後までしてやるぜ」
 関根は、残忍に笑い、みゆの、頬を馬殺しで叩く。「あっもっと入れて」。関根は又みゆの中へ、没入させスラストを早めたり、止めたりして、みゆの中で、縦横無尽に、陰口内を攻める。 
 みゆは、小水を垂れ流して、涎で顔半分を、濡らしていた。
 頃合いを、見計らい、工藤は、又関根の肩をポンと叩く。工藤は引き抜かれた馬殺しに、便乗して自らのペニスをみゆに、入れる。工藤はみゆの、股座に、オイルを塗り滑らかに滑る、みゆの肌を堪能していた。1分程で射精して、外で出す。
 「あ、あ、さっきの大きいの頂戴」
 「まだ駄目だ、ルビー、レッド・スカイの在り処を吐いちまいな」
 「言ったら、一杯してくれる?、おじ様頂戴」
 みゆは、吐いた。ルビーレッド・スカイは、みゆの身辺警護を、していたSPの彼氏、川端建誠と言う、30代の男が持っていると言う。
 川端建誠の家は、港区のマンションに有り、ルビーはその男が何時もバッグに入れて、持ち歩いてると言う。
 「その川端は、今は何をしている?」
 「あっはー、もう何回もしてくれたら言うわ」
 関根は、左手で、又ペニスを3回シゴイた。見る見る内に、馬殺しは、回復し、怒張した、イチモツは、30cmを、超える大きさになり、みゆは、しゃぶり付いてきた。みゆは、自白し始めて来た。川端は、今は、市谷に有る、公安分室で、働いてると言う。
 「公安と言うと、スパイ狩りでもしているのか?」
 関根の馬殺しは、みゆの、子宮を、刺激し、奥の院まで届き、みゆは白目を剥いて口から泡を吹いていた。
 「あ、あ、そ、そう、スパイ狩りと言うより、密偵ね、あ~又イキそう、アナタ達なんか、ピストルで殺されてしまえ~あ~でも、このペニス素敵だわ・・・・・・」
 翌日の朝まで、この宴は続き、関根は、腰に力が入らなくなる程に、精を抜かれた。
 みゆは、解放してやり、戒めを解いて、自由にしてやる。3人は、昼頃目を覚まして、昼食を食べに、浅草のスカイツリーの近くにある、とんかつ屋・カツ重・に行く。みゆは、関根に纏わり着き、帰っても良いと言うのに、帰らないで、傍から離れない。
 「ねぇ、関根のおじ様、お家どこなの?」
 「え?、家教えたら、警察のお縄になる、教えられん」
 「奥さんてどんな人?」
 「お仕事は、なにしてるの?」
 立て続けに質問をぶつけられて、関根は辟易していた。
 「オイ、みゆちゃん、さっさと帰ってくれ、俺のヤサは、明日までに引き払う、今日でオサラバしてくれ」
 みゆは、関根と携帯の番号を、交換して、家へ帰って行った。翌日、工藤は、家を引き払い、東京の郊外に有る、小金井のアパートに入った。
 関根は、工藤のお供をして、小金井の前原町に有る、工藤の隠れ家に入る。
 前原町に有るアパートに、関根と工藤が入って2日目が経つ。2人は、その間、港区の青山にある、川端建誠のマンション、ハイツ青山二丁目の、見張りをしていた。工藤は、車を用意して、目立たぬ様に、密かに潜伏し、ハイツ青山二丁目の脇に居た。2日見張って、川端の動きが掴めて来た。夜の11時頃家に帰ってき、朝の4時頃、又出掛けて行く。
 朝4時、自家用車のアウディのA1に乗り、出掛けて行く。何時も茶色い革のバッグを持ち、重そうに右手にぶら下げて居た。
 行先は、市谷の公安分室が入っている、ビルの6階、大東亜企画と言う、会社の中へ入って行くのを確認した。1日中中に居ると思うと、そうでは無い日もある。行先は、決まって、川崎のソープランドで有った。バッグは車の中に置き、財布だけ持って歩いている様だ。
 4日が経つ、そろそろ、工藤もシビレを切らして来た頃だった。
 「押し込んでバラしちまうか?」
 「そんな事すると、警察から恨みを買うぞ、もっとスマートにやらなきゃな」
 「どうスマートにやらなきゃ行けないんだ、奴はサツの犬だぞ、殺らなきゃルビーは盗れねぇーだろ?」
 2人は、相談したが、堂々巡りで埒が明かなかった。
 「奴子さんと同じ、ソープに入って、偵察して見るか、女を買収して、奴に付け馬として着けるか?」
 工藤は、案が無く、関根も途方に暮れていた。
 では、一体どうしたら良いのか、まだ尾行は続いた。5日目の朝が来た、工藤が、車で尾行を開始した。関根は屋上に上がり、ロープで、川端の自宅、7階の3号室のベランダに降りる。
 ベランダの戸は開いていた。スッと中へ入ると、女が一人、ベッドで寝ていた。関根は、ソッと動き、川端の寝室と思しき、6畳間に潜入した。バッグは4つあり、全ての中身をベッドの上に吐き出す。
面白い物を見つけた。有名女優達の、ヌード写真と、住所録で有った。さっきの女も、きっと芸能人で有ろう。中には、DVDや、ブルーレイディスクも有る。「何だろう、一応貰っていくか」。関根は、腰にぶら下げて有る、ポーチに入れると、次の部屋へ入る。
 次に間は、応接ルームになっている。ここには何もなさそうなので、ノータッチで行く。
 書斎に入って見た。デスクトップのPCが、3台、ノーとPCが、2台、パッドがテーブルの上に3機並べられている。中を見ずにUSBメモリと、SDメモリを抜き取り、ポーチに仕舞う。PCを一台立ち上げてみる。デスクトップ上に、女の裸体の写真が並べられている。若手のアイドルアナウンサー、若宮チサの、開帳の写真で有った。関根は、持っていた、自前のUSBメモリに、データを吸い込み、更に部屋を物色した。財布がここにもあり、中身を見る。
 金15万円程入っていた。これを失敬して、部屋を出る。
 先程、女の寝ていた部屋へそっと入る。女は、寝ている。香水の匂いと、SEXの匂いの入り混じった匂いで胸がつかえる。
 関根はそっと出て行こうとした時、後ろで気配がした。女が、拳銃を構えて関根を狙っていた。
 「ホールドアップよ、泥棒さん、こっち来て」
 「何だ、起きていたのか?」
 関根は、横に転がり、女に接近して、女に組み付く。
 「こちとら、命懸け何だ、変な玩具仕舞って大人しくしていな」
 「う、う、私が今通報したら、お前なんか、う・・・・・・」
 関根は、渾身の力を振り絞り、女の腹に、一撃当身を入れる。女は、口から少量胃液を戻し、手早く、関根は強力テープで、女の体を拘束する。
 (馬殺しでイカセテ眠らしちまうか・・・・・・)
 よく見ると、良い女で有った。腰に吊って有った、小型ライトで、顔を照らす。TVMのアナウンサー、吉岡美貴である。
 「こいつぁー驚いたね、ミキティー姫じゃ無いか、川端の女道楽も大した物だな」
 「んグググウーウー」
 関根は、黒いジャージのズボンを脱ぎ、イチモツを出す。美貴の手は後ろ手で縛られてい、息を呑んでいた。イチモツはまだ、20cm位、左手で3擦りすると、馬殺しが、頭をもたげて、30cm以上のペニスがそそり上がる。女は、目を白黒させて、呻き声を発する。女のパンティーをハグル。中身をライトで見ると、紅色にヌラヌラと光、蠢いていた。馬殺しは咆哮する。亀頭の部分で美貴の、陰部の入り口部分を弄る。
 久し振りの女なので、入り口部分に、精をブチマケル。女はその時目が笑った。
 関根は、冷静にして確実に、ペニスを回復する。馬殺しは女の、まだ濡れ始めても居ない、ヴァギナの入り口で、ゴリゴリと、擦り付ける。
 女は、股を開き、奥から液を滲み出してきた。
 馬殺しを、ゆっくり正確に女の中へ入れる。
 「ウぐ~ウーン」
 関根は、美貴の口に貼って有るテープを取ってやる。馬殺しは奥の院に達した。1分ほど動きを止めた。脈動するペニスを、呑んでアナウンサーの美貴は、眉根を寄せて、自らの腰を動かし出す。
 「ハァーハァ~、アーアーアンアン」
 関根は、一緒に腰を律動させる。美貴は、口から泡を吹き、関根に抱き着いてくる。
 「段々声が良くなって来たな、何時もTVで見てるよ美貴・・・・・・」
 関根は、腰をグイと美貴の奥へ押し込む、美貴も腰をグイと上げる。
 「アウゥ~イイ、もっと奥に入れて~」
 ハスキーな声を上げて、額から汗が滴り落ちる。エアコンは動いていた。
 「美貴ちゃん、あの川端とどう言った関係?」
 「はぁん、川端に、脅されてSEXの道具にされてたの、もう良いでしょそんな事」
 美貴は、声のトーンを上げて、少女の様な声で喘ぐ。馬殺しは、美貴の子宮に撫でられて、中身をグッと出す。まだ衰えない馬殺しは、律動する。美貴は、2回目のアクメに達して、小水を迸らせる。生温かい小水を浴びて、馬殺しは中で蠢く、美貴の女を捉えた。美貴は、関根にしがみつき、唇を求めてきた。2人は、深くキッスを交わし、唾液を美貴は吸い込む。
 「あっあっもっと~して、あの男は夜まで帰らないから、イイイイ~」
 馬殺しは、3回目の射精をした。美貴は、馬乗りになり、腰をグラインドさせて、振り回す。
 馬殺しは、美貴を下から突き、子宮を一撃撫でる。「アッふーん、もっともっと・・・・・・」、美貴は白目を剥き、グッタリとなる。関根は、終わったと思い、美貴から体を抜こうとした。
 美貴の内部が、今度は、馬殺しを上下に撫で摩り始めた。馬殺しは、悲鳴を上げて、美貴の内部で果てる。ザーメンが大量に放たれて、美貴の股間から溢れ出る。馬殺しは、縮小し、美貴の中から、ヌルリと出て来た。
 「フゥ―、やっと終わったか・・・・・・」
 「あ、嫌、帰らないで泥棒さん、私これから局に行くの一緒に居て・・・・・・」
 美貴は、関根の唇を求めて、又、ディープキスを交わす。頭を撫でてやり、美貴を暫く寝かせてやる。関根は、目出し帽が汗でじっとりと濡れて、少し気持ち悪い。
 美貴は、シャワーを浴びて来ると言って、バスルームに入る。
 「ねぇ、泥棒さん、顔、一目で良いから見せて」
 関根は、目出し帽を取り、美貴に笑いかけた。
 美貴もニコリと笑い、バスルームに入って行く。
 「そろそろ、引き上げるか・・・・・・」
 関根は、黒いジャージの上下を、着けて、荷物を持ち、屋上から垂れ下がっているロープを外して、玄関から出て行く。
 それから3日程経った。青山を見張る為に、乗ってきた、ベンツのタイプSが、警察にマークされている気配がする。夜の巡回のパトカーに、職質を受ける事3回。何とかその場をやり過ごすが、最近チラチラと川端が、こちらを注意して見る事が有る。一体どうしたら良いのか2人は協議した結果、人攫いの専門家、群馬の大田に居る川島と言う男に仕事を依頼する事にした。工藤が連絡すると、川島は直ぐ様東京青山にやって来た。近くのレストランでその夜落ち合う事になった。川島は、子分2人連れてやって来ていた。川島は、一見優男に見える、風采の上がらない平凡そうな男であった。後の二人は、若い女が一人、若い男が一人着いてきていた。車は、3人3台で来ていた。一台は、川島の乗る、R32スカイラインGTRだ。もう一台は、少し広いBOXタイプのホンダオデッセイで有る。もう一台は、軽のミニカで有った。この3人は、上下緑色の作業服を着ていた。
 川島は、まず、仕事の前に、今回の上がりの、30%を、報酬を要求して来た。それに工藤は難色を示した。
 「じゃぁ、他当たってくんな、俺達は良心的にやってんだ、他所ならお前らの上がり、全部頂きって寸法だよ、今嫌なら、断ってくれても良い、しかし、ルビーレッド・スカイは、俺達が横から頂く事にするぜ」
 川島は、言い切って、ビーフシチューを、スプーンで人啜りして、工藤の目を見据える。
 「分かった、30%で手を打とう、手付の支度金、100万払う」
 工藤は、スマホでネットバンクの、自分の口座から、即金で川島の口座へ送った。
 川島は、ネットバンクを開き、100万円振り込まれているのを確認して、握手を求めた。
 これで、契約は成立した。工藤の残金は、600万円になって、軽く溜息を付く。
 川端は、夜の10時に、仕事をハネテ、川崎堀之内の歓楽街へとアウディA1を走らせていた。川崎街道を、走り人気のない新川崎駅の、ガードを潜る頃合いを見計らい、オデッセイが、アウディーの進路上を塞ぐ。
 「何やってんだあの野郎」
 アウディーA1は、急ブレーキングを掛けて、横滑りしながら、ガード下のガードレールに突き刺さる。後ろから、R32スカイラインGTRが、着け、エアバッグに埋もれている川端に銃を突きつける。
 「良し、ホールドアップだ、様奈、こいつの所持しているもの全部取り上げろ」
 アウディーは、フロントが滅茶苦茶に潰れて、自走不能になっていた。川端のスーツの上下を、剥ぎ、バッグ、ダッシュボードの中身を、全部引っさらい、川端の所持物を全部貰い受けて、オデッセイ、GTRの順に走り去って行った。
 GTRもオデッセイも、偽造ナンバーを付けているからMシステムにも監視カメラにも引っ掛からずに、川崎の街道から、秩父連山の、山奥まで、走り抜けた。オデッセイは、山奥で、焼かれGTRはナンバーを取り換えて、小金井の前原町に有る、工藤のヤサに、入った。奪った戦利品を持って、川島は、現れた。全部、金品からキャッシュカード、クレカ、身分証明証までばら撒き、一つ一つ検品して行く。赤く光る、ルビーが小さな箱に入って出て来た。3人は、目を輝かせて、そのルビーを凝視した。
 「このルビーが恐らくレッド・スカイ」
 「そうだな、明日アメ横の、時田宝石店に行って鑑定して貰おう」
 昨夜、起こった川島のグループの強盗事件は、マスコミには出ず、新聞のどこを見ても、TVを見てもやっていなかった。この事件に付いては、3人は不気味に思った。翌日の昼、早々、時田宝石店に、ルビーを、鑑定しに行った。時田宝石店は、アメ横の一番奥の方に有り、小さなビルのテナントとして入っていた。無論、闇の貴金属も扱っていた。
 中では、主人の時田が、タバコを吹かしていた。このご時世タバコは嫌われ者の代名詞で有るのに、まだ街角でも吸っていた。
 時田英夫は、この年60を3つ超えた年頃で有る。その昔は、金庫荒らしをして、今の店を貯えで買ったので有った。その時田は、工藤の顔を見て、渋い顔をして、ルビーを手渡されて、早々と、鑑定に入った。時田は顕微鏡でルビーを見つめる。20分、時間が経った。徐にルビーを置き、渋い顔を作ったまま言った。
 「これは、偽物ですな、時価はせいぜい6万、って所ですな、一体こんな物持ち込んで何したいの?」
 「何、偽物?ちゃんと調べてみろ、時価2億は下らない筈だぜ、いい加減なこと言うと刺すぞ」
 工藤は、刺身包丁を出して、時田の喉元に、突き出す。しかし、時田は微動だにせずに、工藤に言った。
 「これは、真っ赤な偽物だよ、この宝石、私が売れば、600万位になる、預けてくれれば600万、耳を揃えて払いましょう」
 工藤は仕方なく、600万円で時田に預ける事にした。3人は上野の焼肉、コラン・ボンでヤケ酒大会を開くことにした。
 「しかし何であんなインチキそうな時田に預けたんだ?」
 「仕方ない、この辺で、闇で売買している宝石店は時田くらいしか無いんだ、確かにインチキ臭いな、川島さんこの恩は忘れません、又稼いで大きな仕事頼みますよ」
 結局、時田から一週間後600万円貰い、泣き寝入り気味にこの事から手を引いた。その次の日、関根は高円寺の安ホテルで、黒田みゆと、会い、逢瀬を楽しんだ。終わった後みゆは、シャワーを浴びにバスに入って行った、今日みゆの、指にはめていた、赤く光るルビーが気になった。それとなく、バスの脱衣所にみゆの持っていた、手荷物を探った。床にポトリと、一個赤いルビーの指輪が、落ちた。「これは?」赤いルビーをそっとポケットに仕舞い、バッグを元に戻して脱衣所から出る。関根は、ルビーをまじまじと見る。眼鏡を掛けて、イニシャルらしき物が入っているのを確認する。そこには、フランス語で、レッド・スカイと刻印されていた。
朝8時、満員電車で揺られていた。新宿駅で京王線に乗り換えて、又、列車に揺られる。8月に入ってから、又、地獄の様な暑さが日本列島を焼け尽くす。京王線に乗ると、皆無防備に近い状態で、脇を上げていた。
 中には、内ポケットの財布をチラつかせ、盗ってくれとばかりに、皆無神経で居た。関根純造は、前で行われてる行為を、凝視する。
 前では、サラリーマン風の中年の男が、スポーツ新聞で右手を隠して、次々に、財布を抜いて行っていた。財布を抜く手は早く、中身をサッと見て、現金だけを抜いて、又元に戻す。男は、序とばかり、女子高生の尻にタッチして揉んでいた。男と、調布を過ぎたあたりで目が合う。鋭い目をこちらに向けて、又、ソッポを向いて、ドアーの脇に立っていた。次は目的地の、東府中で有る。関根はスッと、ドアーに寄り、出口を確保していた。件のスリは、関根の目の前に居る。列車は、東府中のプラットホームに吸い込まれて行き、停止線で停まる。ドアーが開くと、人波がドッと出て行き、また人が列車に入って行く。肩を後ろから叩かれた。後ろを向くと、件のスリが、関根の方を向いて笑い掛けてきた。
 「ちょっと、そこまで良いーかな?」
 「何ですか?イキナリ」
 プラットホームに有る、男子用トイレに、2人は入って行く。男は振り向きざま、関根の顎に右ストレートを入れる。
 「一体、イキナリ何すんですか?」
 関根は、口から少量血を流し、ハンカチで拭う。
 「お前公安官だろ、俺の手口を見て何もしなかったろ?」
 関根は、無言で頷き男の顔を睨む。
 「公安官が何やってんだ、俺は八王子署の安裏ってモンだ今すぐパクって見ろよえー?」
 安裏は、懐から拳銃をチラリと見せて、又仕舞う。関根は呆れ顔で後ろを振り向き去って行った。
 ―あんな奴に関わってたら仕事も出来やしねぇ、まさか刑事だとはな・・・・・・。
 「待てよオイー」
 関根は走って改札を潜って行った。東府中北口を歩き、若松町に出る。今日は、天気も良く、洗濯日和で有った。しかし気温は、36℃と、うだる様な暑さは続いていた。
 街を一周歩き、又駅前に戻って行く。人波が多く、皆日傘をさしていた。一軒喫茶を見つけて、休憩することにする。中で、アイスティーを頼み、噴き出る汗を拭う。ホットケーキとジンジャエールも頼み、エネルギーを補給する。
 2時間冷房の効いた店で、過ごし、午前10時半に店を出て、若松町の1丁目から攻めてみる事にした。まず、大き目の一軒家を狙い、玄関口に近付いてみる。
 ドアーを手術用ビニールの手袋をはめた手で、ノブを回してみる。
 「開かない・・・・・・」
 施錠されている。関根は持っていた、バッグから、2本の細い針金を出す。一本は末端が尖っていて、もう一本は、小さく平らになっていた。一本を鍵穴に入れる、もう一本でロックを外した。(カチャリ)と、子気味良い音を発して、ドアーが開く。
 ソッとドアーを開ける。居間ではこの家の主婦と思しき中年の女が、ソファーで寝転び、TVを見ている。2階へ上がって見た。
 この家の娘で有ろう女子高生位の年恰好の娘が、ヘッドセットを着けて、机に向かって勉強をしていた。2階の奥の寝室にソッと入って行く。靴は脱いでいない。奥の部屋へ入ると、キラリと刃物が突き付けられた。短刀の様である。
 関根は、身を縮めて刃物の方へ眼をやる。
 「大人しくしろ、てかお前、その覆面同業者か?」
 「あ~、名乗るもちょっとこの状態じゃおこがましいが、浅草の方になわばりを持つ、猫見の純ってもんです」
 男は、にぃと笑い、関根から短刀を外して言う。
 「アッシは、東海道三州の生まれの、吉之助、ヤッパの吉ってモンです、去年まで九州で仕事をしてましたが、面が割れて関東に飛んで来たのでごぜーやす」
 ヤッパの吉は、頬被りを取り、この家で今、盗ろうとしていた、金の小さな仏を、懐に仕舞い言った。
 「お前さんもその覆面取って、面拝ませてくんな」
 関根は、目出し帽を取ると、吉之助に、素顔を晒す。吉之助は、相当老いぼれて居て、年齢は80は超えて居る様に見えた。
 「お前さん、この家は、もう盗る物はござーせんよ、金のこの仏像位の物ですよ」
 懐に仕舞った金の仏像を、大切にハンカチで包み、又懐に仕舞った。
 「そうですか、この近辺で、目ぼしい家は有りますか?」
 「ウーンと、2丁目の角の前川さんの家は現ナマが相当有るって噂ですよ」
 2人は、そっとベランダから外の庭に、降りて行く。「今日はシケテますね」、笑いながら関根は庭からエスケープして行く。
 「じゃぁ、前川の家狙って見ますかい?」
 ヤッパの吉は、背広に着替え、2人は若松町二丁目の公園から出て行く。前川家の、前に二人は立って、玄関を覗いてみた。
 門の上の方にウェブカメラが目を光らせていた。ヤッパの吉は、懐からパチンコを出して、良く狙いをつけて。カメラに攻撃した。カメラは粉々に砕け、近所の犬が、吠えたくる。「じゃぁ行きますか」関根は、目出し帽を被り、家の軒に隠れる。ヤッパの吉は、ドアーのロックを、万能キィーで開けて、中へソッと入る。頬被りを、股被る。前川家は、広く、大十畳の居間に、一階は6部屋ある。
 吉之助は、寝室を漁る事にし、関根は居間でTVを見ているこの家の主婦、美代子を、フン縛る役を買って出ていた。関根は、美代子の後方から接近して、口を押える。40女の美代子は、体をばたつかせ、腰を捻り藻掻く。後ろ手に手錠をし、足にもそれを嵌める。吉之助は、金庫には手を出さずに、引き出しを次々と開いて行く。中から、封筒に入った香典袋が大量に出て来た。
 「ウフ、何百万有るか知らんな」
 中身を、開封せず、吉之助は、バッグに入れて行く。その間、関根は2階に上がり、子供部屋をスルーして、奥の寝室目指して歩いて行く。
 吉之助は、本棚の本をブチマケル、本棚を動かして、裏を見る。何もなかった。
 部屋に掛かっている、額縁を一個一個外して裏を見る。「有った」。額縁の裏には大きな封筒が、貼り付けて有り、中身を見ると、旧一万円札で、五百万程の金額が、眠っていた。全部で10枚、封筒が有った。都合一千万円程の金を持つ、吉之助は2階へ上がって行く。2階では、関根も色々な物を発見し、手提げバッグに詰めている最中であった。
 「何か有ったか?」
 「はい、切手の類と、株が少々、後、最後はアノ箪笥だけです」
 2人は、洋箪笥を引っ繰り返し、中から、ダイヤ、オパール、サファイアのネクレスを、20個ほど手にして、鞄に詰めて行く。
 前川邸から、脱出して行った。次にもう一軒、行こうと言う事になり、若松町3丁目の、金田邸に入る事にした。陽は中天に昇り、暑さは益々増すばかりで有る。汗が滴り落ち、手拭いはグショグショに濡れて、何回か取り換える。金田邸の前に、パトロールカーが、停まっていて、金田邸は諦める事にした。通り掛かりに、中を見ると、空き巣の仲間である、有名な、吉田の建さん事、吉田建が、手錠を嵌められ連行されていった。
 「で、このブツのサバキ場所、純さんに任すから、ルートを紹介してください」
 公園で二人は話し込み、茅ヶ崎の、根元用介の所まで、八王子に出て、タクシーで行く事に決めた。車中二人は、無言で通して2時間掛けて、茅ヶ崎のワンルームマンション・シティーホーム茅ヶ崎Ⅱに降り立つ。1階の根元の部屋へ、2人は入って行く。夕日が眩しく、眼に痛かった。「今夜は、焼肉にすっか」中へ入ると、根元が上機嫌で言う。
8月のお盆15日、朝から晴天で、気温は午前中からグッと高く、32℃を超えていた。
 ダラダラと家で過ごしていた。この所、金目の仕事が無く、開店休業中で有る。妻の八重美は、実家の墓参りで、富山に帰っていた。息子の純示は、昼頃車で出掛けて行った。
 娘の、雪奈は、友達を連れて来て、4人麻雀をして、徹夜をして部屋で今でも眠っている。
 純造は、軒行灯宜しく、昼間からビールをやり、居間でTVを見ている。
 午後1時、娘が起きて来た。
 「オヤジィ、海行きてぇ―、車出してくんない?」
 「何だ起きて来るなり、お父さんは昨夜お前等が煩くて、寝れなかったんだぞ」
 後ろから雪奈の友人3人が、代わる代わるトイレに入り、居間に入ってきた。
 「おっはース、おじさん海行きてえ、うち等今日車出せないんだ、メッチャ暑いし、体火照りそう」
 雪奈の親友、明応に通う、代美が、純造のソファーの脇に座り、甘え顔で頼み込む。
 後の二人は、大東洋文私大の、2年、吉江と、中華料理屋の店員をしている、ジャーミー吉岡の、何時ものメンバーで有った。
 「ねぇん、オジ様、うち等水着持って来てるしぃ、連れてって―ん」
 代美は、何時も純造に妙に馴れ馴れしくて雪奈は少しウザッタク感じていた。この3人は、雪奈の小学生からの友人で、純造の車で良く旅行などに連れて行っていた。
 「お兄ちゃんに連れてって貰いなさい、お父さんは今日上野に飲みに行くから」
 「えっー、アイツ彼女のミキって娘と、毎日車(シャ)デーしてんのよ、何時帰って来るか分かんねぇーしぃ、代美にセクハラするし、嫌だよアンナの」
 仕方なく純造は30数年来乗り続けている、愛車ローレルメダリストの、エンジンの調子を見に、下の駐車場へ、降りて行く。後ろから代美が着いてきて、他の3人は朝食を食べていた。
 「何だ、代美、飯食わねーのか?」
 「うん、私今ダイエット中で、彼氏募集中何だ、アチョー」
 代美はふざけて、純造の尻を蹴る。代美は空手の有段者で何時もふざけて純造を叩く。純造はマンションの一番端の駐車スペースに置いて有る、ローレルのドアーを、キィーで開けて、ボンネットを開く。
 「ちょー懐かしいぃー、この車で北海道とか、えーと・・・・・・」
 「うーん、タイヤの空気圧が下がってんな、代美ちょっと角のガソリンスタンド行くから帰ってなさい」
 「えーやだ、じゃースタンドに付いて行くぅ」
 エンジンを掛けると、ファンベルトにも鳴きが有る。代美を助手席に乗せて走って3分のガソリンスタンドに向かう。
 角のガソリンスタンド、出光の近藤石油に車を乗り付ける。代美は薄着のタンクトップから、汗を滲ませて、ローレルのダッシュボードの上に置いて有ったタオルで拭う。
 「くっさー、これ臭いよオジサン」
 「馬鹿野郎、このタオル窓拭き用のだ」
 車は、給油機の横に付けて、パワーウィンドウで窓を開ける。店主の近藤正貴が、近付いてきて窓を拭く。
 「オヤジ、レギュラー満タンに、空気圧見てくれ、後ファンベルト鳴いてるからそっちも」
 「ヘイ、レギュラー満タン入ります、オイ川路、空気圧見ろ」
 2人は車から降り、待合所で、コーラを買って飲んだ。
 「あ、電話だ、ちょっとオジサン外で話して来るね」
 関根純造は、向こう向きに座っている、男に見覚えが有った。白いTシャツに、USJのロゴが入っており、Tシャツは腿まで垂れ下がり、破れたジーンズを履いた、デブで、金の大きなネクレスをしていた。頭髪は、脇を刈り上げて、上は茶色く染めていた。
 「オイ、南藤君じゃないか?」
 男はこちらを振り向き、鋭い目付きで関根を睨む。
 「あ、オジサンお久さース、今何してんの」
 「あぁ、車の調整しにな、君は仕事してんの?」
 「ア~、そうっすね、会社持って金融業してます」
 南藤卓馬は、この年22歳になるだろうか、息子の中学の先輩で、息子、純示を、暴走族に引き入れて、毎日暴走行為を繰り返し、息子のバイクで千住大橋で、事故を起こし、未だにその賠償金を、払って貰えてなかった。
 「お金の都合の方付いた?」
 「ア~?アレはもう時効でしょ、刑法にも有るでしょ、請求が無ければ時効って」
 「そうだっけか、何れ返してくれるとか、気持ちは無いの?」
 「ハァー、気持ちって純示の、フュージョンが、突然バーストしたんだし、オタクに責任あんじゃねぇ?」
 関根は、立ち上がり、南藤は、ピクリと、反応する。純造はタバコの自販機に行き、ハイライトを一箱買う。
 「じゃぁ、俺行きます又今度・・・・・・」
 南藤は立ち上がり、日産ラルゴに近付き去って行った。
 十分程、長話をして、代美が戻ってきた。
 「ねぇオジサン、男振るってどうしたら良いの?」
 「えっ、只会わなきゃ良いんじゃないか?」
 外でメンテナンスをしていた、ローレルメダリストが、出来上がり、店主の近藤から説明を受けていた。
 「もうタイヤのヤマも無いし、オイルも固まってて、交換しましたよ、後トルコンもオイルが腐ってて、それも交換したし、たまには車乗ってくださいよもぅ」
 〆て、2万5千円取られて、家路についた。
 TVで、高校野球の中継が流れていた。3人の女は、高校野球を見て、キャッキャと騒いでいる。純造は、部屋へ入り、ソファーに持たれてビールを雪奈に持って来て貰い一杯やる。
 「ねぇ、何時頃出発する?」
 「夜行けば海岸ガラガラかもよ」
 「そんな甘くねぇーぞ、夕方から行ってようやく場所が確保できるんだよ、今から行っても間に合わないから夜出るとするか」
 純造は、昼寝を決め込み、夕方6時まで寝ていた。4人の女の子達はインターネットで検索して、何処の海に行くか、胸を踊らせて騒いでいた。午後7時近くの天ぷら屋の天丼を、5人前頼み夕ご飯とした。
 「ねぇーねぇー何時に出るのオヤジィ」
 「9時過ぎには、出掛けるか、父さんの知り合いが、茅ヶ崎に居るからそこで朝まで待機しよう」
 天丼を、食べ終えると、玄関がガチャリと開く音がした。息子の純示で有った。日産NVキャラバンを、下の駐車スペースに置き、今は美容室に行ったのか、スッキリとした顔で、少し短くなった髪の毛を自らの手で撫でて部屋を見る。
 「オヤジ、どっか行くのか?」
 「海行くんだけどお前も行くか?」
 「何で又、海に行くんだよ、俺今日、九十九里行ったけど、込んでて中へ入れなかったぜ俺はパスするよ」
 純示は、自分の部屋へ引き籠り、パソコンを立ち上げてマウスを手に持っていた。
 「ムカツクゥー、アイツ仕事もしねぇー癖に生意気なんだよ」
 雪奈は、持って行く荷物をバッグに入れて、他の3人と無駄話をしていた。午後9時、ローレルメダリストに5人乗り、代美は助手席に、ちゃっかり座り、車を純造はスタートさせた。
 カーステから、米米CLUBの、曲が流れて、純造はボリュームを下げる。
 「オヤジ、古りぃー、まだカセットなのアハハハ」
 車は、首都高速に入り、80キロをキープしながら走る。湾岸を経て横横道を走る。新西湘バイパスを経て、茅ヶ崎海岸ICで、下道へ降りる。旭丘に位置する、シティーホーム茅ヶ崎Ⅱと言う根元の住む、ワンルームマンションの駐車場へ入れる。1階の根元の部屋のドアーの呼び鈴を押す。
 「ハイどなた?」
 「あの~関根ッスけど今夜泊めて貰えませんか?」
 ドアーがガチャリと開き、中から根元が、顔を覗かす。
 「何だこんな夜中に、その娘達は?」
 「ウチの子にその友達です」
 「んちゃー、一晩泊めて下さい」
 「しょうがねぇーな、中へ入れ」
 根元は、口元を綻ばせながら、5人を中へ入れた。中には、PCの電子パーツが散らかり、根元は、大急ぎで片付ける。
 「何だい、根本さん、パソコン弄ってたの?」
 「まぁな、で、その娘達海に行くのかい?」
 「ハイ、明日の朝まで泊めて下さい」
 雪奈が答えると、後の3人も頼み込む。6畳一間のワンルームで6人はビールを飲んで語らった。
 「何だか嬉しいねぇ昔を思い出すよ」
 根元は、目元に涙を溜めてショートホープを一服吹かす。
 「昔しゃー俺も、北大の狼って言われて、革丸派のメンバーだったんだぜ」
 「へぇーオジサン北大の出身なんだぁー」
 「それにな、22歳の時ポルシェを買って、随分街でブイブイ言わせた物だ」
 四方山話が続き、関根は横になり、根元からショートホープを貰い、プカリと吹かしていた。
 翌朝、根元のハイエースワゴンに、皆で乗り、茅ヶ崎の海岸まで出る。朝5時半、日の出は早い。マシーンは海岸の有料駐車場へ入り、皆各々車の中で水着に着替える。
 関根と根元は、浴衣に着替えてゴザに使うブルーシートを持って砂浜に敷く。
 4人の娘達は、バッグに着ていた洋服を仕舞って、車から降りて、水辺に走り出す。
 「よう、雪奈ちゃん水着似合ってるよ」
 根元は声を掛けて、股間を少し揉む。
 朝日が昇り切り、オレンジ色の太陽が、砂を焼き、少し冷たかった空気が熱せられて行く。
 遠くで磯釣りをしている人々の影が見える。
 近くをヨットが横切って行く。
 浜辺に海水浴客が、十数組もう出てきて、ビート版を持ち、沖の方まで泳いで行く。
 朝10時に、海の家が開く。それを合図の様に、海水浴客が、ドッと増えて行く。昼頃まで関根と根元が、ビールをやり、沖を見つめていた。根元がポツリと呟いた。
 「お前さんは、子と一緒に遊べて良いね」
 「何でだい、別れた奥さんの所に居る娘さんの事か?」
 「ああ、今年の秋に結婚するんだとさ」
 2人はしばらく沈黙し、ビールをグイと一息に呑む。
 「一つ、仕事してくっか相棒?」
 「え?こんな所でやるんですか?」
 「まぁな、車上荒らして、何か土産にして持って帰れや」
 2人は、浜辺から海の防波堤の上に停まっている車を物色し始めた。2人とも、ビニールの薄い手袋を嵌めていた。
 「オイ、純さんちょっと来てくれ」
 根元は、ベンツのドアーを開けてダッシュボード内を漁っていた。ダイヤの指輪と、金のネクレスを奪って懐に仕舞う。
 「根本さん、こっちも開くよ」
 関根は、ETCカードは取らずに、ダッシュボードからロレックスの腕時計を見つけて素早く懐に仕舞う。近くで、警察無線の音が聞こえた。警官が見回りに来て、パトロールカーに戻って行く。2人はベンツの車内に居て、怪しまれなかった。次はメルセデスタイプRが停まってる、スペースに行く。中を覗くと後部座席で、中年の男女が、絡み合っていた。
 「純さん、もう仕舞いにしようか」
 「そうですね、また今度にしましょうアハハ」
 2人は、浜辺に戻り、照り付ける太陽の元、足首だけ水に浴びた。
 「ねぇ、オヤジ、腹減った」
 「さっき、食ったじゃねーかバカヤロウ」
 8月の太陽は、まだまだ浜辺を焼く。4人の娘も、2人の中年も日に焼けて行った。











 


 


 


 

 

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