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文字数 1,276文字

『父』は神である。
『子』 は村人である。
私は村人である。
私は魔術師でない
私は神でない。


さて、現実逃避はここまでにして出来ることをしよう。
私のジョブは村人だった。故に魔術師のように魔法を扱うのは絶望的である。
しかし、「激昂する村人」というスキルを得た。

使ってみる他あるまい。

スキルを使うと言っても実際に何をすれば良いのか分からないので、とりあえずそれっぽく「激昂する村人」を使うと念じてみる。
すると、体から何かが溢れ出る感覚がした。これはすごい。
見よ、侮る者よ、驚け。滅び去れ。わたしは、お前たちの時代に一つの事を行う。人が詳しく説明しても、お前たちにはとうてい信じられない事を。
あっ……魔力切れ………。




おはよう。
スキル発動から特に何もしなくても数秒も保たず魔力切れがおこり、魔力が切れると気絶するように眠くなることが分かった。お腹は空いているが、すっかり寝たら元通り、むしろ魔力を活用出来ている自覚がある分少し調子が良い位である。体調的には問題はない。糞尿も垂れ流したが、まだ赤ちゃんなので問題はない。


腹ごなしを済ませ、魔力を使う練習に入る。
しかし、以前と違い魔力を纏っている感覚はあっても、相変わらず全く操作出来る気がしない。
仕方がないので再度「激昂する村人」を使う。
前回と同様に体から何かが、おそらく魔力が溢れ出る感覚がした。ここからは時間の勝負である。
まず魔力を操作出来ないか試すため、右手に魔力を集中するイメージをする。成功。
はい。魔力切れ。おやすみなさい。




おはよう。
前回の試行でスキル発動中であれば自由に魔力を操作出来ることが分かった。
体調は元気で何も問題はない。また漏らしたけれど、赤ちゃんなので当然であり、やはり問題はない。

次はスキルの威力を確かめたい所であるが、これには問題がある。
威力が分からない以上、下手に攻撃をすれば予想外の被害を生みかねない。また、私は未だ赤子用の柵付ベッドの中に居るので対象が非常に限られる。はやく自由に行動がしたいものである。

そもそも1歳になって柵付ベッドに入れたままというのは少しおかしいように思うかも知れないが、これは仕方のないことなのだ。
1歳になる前には、既にベッドから外に出して貰って一人遊びをしていたことがある。
しかし、私の場合は遊ぶのではなく思考していることが多い。すると無意識に何かを口に入れる。悪気があるわけでも何がしたいわけでもないが、口の中に何かを入れるのである。
赤ちゃんだから仕方がないことなのだ。
口に異物を入れては叱られ吐き出すことを何度か繰り返した後、最終的に虫を口に咥えたことで、私は柵付ベッドの上という牢屋へ入れられた。赤ちゃんだから仕方がない。ばぶー。

話は逸れたが、ベッドの上に破壊可であろう物がなく、移動するのに十二分なスペースもないので、スキルの威力のチェックは先送りである。
取り敢えず、スキルを発動させ魔力を自由に動かす練習を繰り返すことにする。

おやすみなさい。


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