あめのふるまちのてるちゃん

文字数 1,599文字

いつもあめばかりふるまちに、てるちゃんというおんなのこが、びょうきのおかあさんとくらしていました。
てるちゃんは、おかあさんといっしょに、とおくまでおでかけするのがゆめでした。

「あのくもがなくなって、おひさまのひかりがまちにとどいたら、びょうきがよくなるかもしれないわ」

てるちゃんは、おてんきをはれにすることにきめました。

どうしたら、あのくもがなくなるのだろう?
てるちゃんは、レインコートをきてこうえんにいき、いちばんたかいジャングルジムにのぼりました。そして、りょうてをめいっぱいのばしてみます。けれど、くもにはとどきません。
どうしたら、あめがやむのだろう?
てるちゃんは、まちでいちばんものしりなおじいさんに、きいてみようとおもいました。

おじいさんのいえにいくとちゅうで、おおきなカラスが、まちのこどもたちにいじめられているのをみました。てるちゃんは、まちのこどもたちにおこり、おおきなカラスをたすけました。
おおきなカラスは、てるちゃんにおれいをいうと、そらたかくとびたっていきました。

おじいさんのいえにつくと、てるちゃんはたずねました。おじいさんは、こういいました。

「くものうえには、まものがすんでいて、そいつがあめをふらしているんだ」

てるちゃんは、まものとたたかうことにしました。

まいにち、こうえんにいってジャングルジムにのぼり、くものうえにいるまものにむかって、おおきなこえでいいました。

「まものさん、わたしとたたかってよ。わたしがかったら、このまちをはれにして」

あるひ。くもがひとつ、てるちゃんのまえにおりてきました。

「ぼくにのってください。まものさんがよんでいます」

てるちゃんは、くもにのって、そらたかくとんでいきました。

くものうえには、おじいさんのいうとおり、おおきなまものがいました。
おおきなまものは、しくしくとないていました。
いつもふっているあめは、おおきなまもののなみだだったのです。

「どうしてないているの?」

てるちゃんがきくと、おおきなまものはいいました。

「いつもひとりでさみしいんだ」

てるちゃんは、おおきなまものとあそぶことにしました。
あそんでいると、おおきなまものは、えがおになりました。

「ずっとここでぼくとあそんでほしいな」

おおきなまものがいうと、てるちゃんは、くびをよこにふりました。

「おかあさんのところにかえらなくちゃ」

おおきなまものは、またないてしまいました。

「どうして? ぼくのことがきらいなの?」

「まものさんと、もっといっしょにあそびたいよ。だから、まちへいこうよ」

「にんげんはきらいなんだ。ぼくのことを、こわがるから」

それで、そらいっぱいにくもをつくり、みをかくしていたのでした。

「だいじょうぶだよ。このまちのひとたちは、みんなとってもやさしいから」

おおきなまものはおこりました。

「もういいよ。そんなにかえりたいなら、かえればいい」

おおきなまものがくもをたたくと、てるちゃんのしたに、あながあきました。てるちゃんは、まちへおっこちていきます。

「きゃあっ!」

そのとき、おおきなカラスがとんできて、てるちゃんをうけとめました。

「このまえ、たすけてくれたおれいだよ」

「ありがとう。カラスさん」

それからてるちゃんは、まちのひとたちに、おおきなまものとあったことをはなしました。まちのひとたちは、てるちゃんのはなしをきいて、おおきなまものとあってみたいとおもいました。
まちのみんなで、まいにち、そらにむかってはなしかけました。
すると、あるひ。おおきなまものがまちへおりてきました。

「てるちゃん、ごめんね。これからもぼくとなかよくてくれる?」

「もちろんだよ」

おおきなまものは、まちのひとたちのために、よくはたらきました。
まちは、いつもはれるようになり、とってもにぎわいました。
てるちゃんは、げんきになったおかあさんとまいにちおでかけして、しあわせにくらしましたとさ。
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