『白い帽子』を選んだあなたへ
文字数 963文字
公園横の通りには満開の桜が咲いている。
唯人と美咲。
そして、美咲と手を繋いでいた3歳くらいの少女が突然、元気よく走りだした。
美咲は膨らんだ大きなお腹に手をあて、優しく撫でた。
唯人は美咲と繋いでいた手を外し、美咲の膨らんだお腹に手をあて、優しくなでる。
唯人は美咲に舌をペロッと出して、先を走る女の子の元へ走りだす。
唯人は優衣を抱きかかえ、ひょいと肩に乗せた。
美咲はお腹を撫でながら、優しい笑顔でゆっくりと二人を見つめた。
暖かな風が桜の花びらを散らしていく。
肩車をしていた優衣を下ろすと、小さな手の平にピンクの花びらがちょこんとのっていた。
後からゆっくり歩いてきた笑顔の美咲の頭を指差し、ニコニコと笑う娘…
2人の笑顔につられて、こっちまで自然と笑みがこぼれてしまう。
美咲の頭にあるピンクの花びらを手に取り、優衣の小さな手の平にのせた。
小さな指で花びらを一つ一つ指差し、花びらを潰さないように優しく手を握った優衣を僕はやさしく抱きかかえた。
そして…
優衣を抱き上げた反対側の手で、今度は美咲を抱き寄せた。
そう言いながら、照れ臭そうに笑う美咲の頭にくちづける。
美咲がいつも使っているシャンプーの香りが優しく鼻腔をくすぐった。
込み上げてくる『何か』を隠すように、僕は空を見上げ、わざとらしく声を出した。
あぁ…
カミサマ、
ボクハ、イマ、
……