砂糖大盛り

文字数 708文字

「出来たっ!」

 たった今、執筆中の小説を書き終えた。

 思わず腕を伸ばして体を伸ばし、体をほぐしていく。

 私は現在、先輩と一緒に小説を作っている。

 私は書く担当で、先輩は誤字脱字をチェックする係。

 私は先輩に書き終えた部分の原稿を渡す。

「先輩、書き終えました!」

「ふぁあぁ、おつかれー」

 先輩は大きなあくびをしながら口に手を当てて口内を隠していく。

 私は硬い笑みを作りながら呟いた。

「先輩もお疲れのようですね」

「さすがにもう夜も遅いしねー」

「大丈夫ですか?」

「分からないけど、がんばるしかないでしょ」

「締め切りまでまだ余裕あるので、焦らないでくださいね」

「でも、余裕があった方が精神的に楽でしょ。やるよ」

 先輩は胸の前で握りこぶしを二つ握っていく。

 そして私も胸の前で軽く手を叩いて、部屋の中に軽い衝突音を鳴り響かせていった。

「そこまで張り切らなくても……あ、私コーヒー買ってきますよ!」

「本当に? ありがとう」

「はい。それじゃ、行ってきます!」

 私は近くに置いてあった携帯端末を拾い上げ、ポケットにしまい込む。

 そしてそのまま玄関を出て、真っ暗闇の町中に出かけるのだった。

 近くの自動販売機で缶コーヒーを買おうか。

 いや、せっかく私のために頑張ってくれているのだから、少し豪華なコーヒーを買ってあげたい。

 ちょっとだけ遠いコンビニエンスストアによって行こう。

 私は夜闇を照らしている灯りを目指して歩を進めていく。





 数十分後、コーヒーが入ったマイバッグを引っ提げて自分の部屋に戻ると、先ほどと雰囲気が違うことに気が付いた。

 私の計算は甘かった。

 先輩の眠気は予想以上に強かった。

 先輩は机に突っ伏して寝息を立てている。
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