第1話

文字数 1,449文字

「さあ、じぶんでえらんでちょうだい。」
ママは、いろとりどりのきじがならんでいる、きじやさんのまえでいいました。
アイちゃんは、ワクワクしていいました。
「ほんとうに、なんでもすきなのえらんでいいの?」
「ええ、わたしは、アイちゃんににあうものならえらべますけれど、アイちゃんのすきなものはえらべませんもの。あなたなら、じぶんのあたまでかんがえて、よいものをえらべるでしょ?」
「もちろんよ。」

「いらっしゃいませ」
「こんにちは。てんいんさん、いまよろしいですか?」
アイちゃんは、てんいんさんに、れいぎただしくあいさつをしました。
「こんにちは、おじょうさん。ママは?」
「あそこにいます。」
アイちゃんがゆびさしたさきにいるママは、ママようのドレスのきじをさがしていました。アイちゃんは、てんいんさんがとまどっているのをみておもいました。きっと、わたしみたいなちいさいおんなのこが、じぶんできじなんてえらべないとおもっているのね。よーしがんばるぞ。
「わたし、なつやすみにきるブラウスようのきじがほしいんです。したはオカヤマでかったジーンズをあわせるつもりよ。それをきて、うみにいったり、やまにいったり、のはらにいったりしてあそびまくるの。そのためのきじがほしいんです。」
「なつようならば、リネンかコットンがよいですね。どちらがよろしいですか?」
アイちゃんには、どんなきじなのかわかりません。なので、すなおにきくことにしました。
「どんなきじですか?」
てんいんさんは、にしゅるいのきじをもってきて、さらわせてくれました。
リネンはシャリシャリ、コットンはサラサラしています。どちらもきもちのいいきじでしたが、アイちゃんはサラサラのほうがすきだとおもいました。
「コットンがいいです。」
「かしこまりました。どのようながらにしましょう。」
アイちゃんはかんがえました。がらがあったら、ほかのおようふくとあわせづらいんじゃないかしら。てんいんさんにはジーンズと合わせるといいましたが、ほんとうはドットのスカートとも、チェックのキュロットともあわせたいとおもっていたのです。それらにあわせるのなら、がらがないきじのほうが、つごうがよいよいにおもいました。
「がらは、なしでおねがいします。」
「ではむじですね?いろは、なにになさいますか?」
「ピンクがほしいわ。ピンクが大好きなんです。」
てんいんさんは、ピンクいろのきじをみせてくれました。
それがたくさんあるのです。
サーモンピンク、コーラルピンク、シェルピンク、ウォーターメロンピンク、ベビーピンク、ショッキングピンク、マゼンダ、ピギーピンク…。
アイちゃんはまよいましたが、きにいったピンクをかがみのまえで、きじを、かおのしたにもってきて、じぶんがどんなふうにみえるか、かくにんしました。そして、これらのピンクのなかで、いちばんじぶんに、にあったピンクをゆびさしました。
「ポンパドゥールピンクですね?」
「それでおねがいします。」
「わたしも、このピンクがいちばん、おにあいだとおもいましたよ。」
「ありがとうございます。」
ちょうどママも、えらびおわったようです。
「あらアイちゃん、いいのをえらんだわね。きじもなつらしいし、そのピンクのいろみも、あなたににあうとおもうわ。」
「そうでしょう?」
「ブラウスをつくったあとの、きじがあまるでしょうから、それでシュシュやポシェットも作っていいかしら?」
「わーい、たのしみ!ママありがとう!」
アイちゃんは、なつがくるのが、ますますまちどおしくなりました。
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