関谷の別荘 1

文字数 1,963文字

「先生ェー、先生ェーいないんですかい?」
ああ、皆さん来てくださったんですね。
鍵は開いているのでどうぞ。
ああ、じゃあ先生ェ入りやすよ。
やあ皆さん来てくれたんですね、急に申し訳ない。
そりゃあ来ますよウチの常連さんだからねぇ。
先生もロクな知り合いがいないねぇ
出席率良いねえ
………夜になると聞こえてくるんです、恐ろしい唸り声が。
それで御用聞きに頼んで、電報を送ってもらってからはずっと身を潜めているんです。皆さんに助けて貰おうと思って。
唸り声ってのはこの辺から聞こえてくる?
ええ、此処に来て暫くしてから。
家から出れば良いんじゃないですかい?
何で外に出ないんです?
実は此処の別荘は僕と横井君という画家で借りていたんです。
……信じて貰えないかも知れませんが横井君は鳴き声の主の恐ろしい犬の様な化物に喰い殺されて何処かへ行ってしまったんです。
先生ェそれはいつの話ですかい?
一昨日の夜なんだ。
へぇー、大きな犬ですか。
そりぁ犬なんですかい?
そいつは目を輝かせて何処かへ消えてしまって。
へえへえへえ。
お二人とも折角頭が良いのに小説とか読まないんですか?
まあ、何ですかい小説家の先生がそんな比喩を使うって事は、よっぽどの事があったって事ですかい?
ああ、あれは夢だと思いたいがきっと本当に横井君は消えてしまったんだ。
先生は犬を見てないんですか?
いや、見た。
しかし大きな犬なんてうちの小屋でも見るでしょう先生ェ?
そんなモノでは、もっとおぞましい奴で、、
待って下さい皆さん、それは妖怪の仕業です。
この妖怪図鑑に書いてあるんです!。
妖怪ねぇ。
まぁ、ありましたけどねぇ。
先の戦争でも死なない兵士がいるだの何だの、でもこの科学隆盛の時代にねぇ、先生?。
いやしかしこれは犬神という妖怪のしわさですよ。
呪術で作られたような、まあ私も聞いた話ですが。
先生見たんですよね、横井って人は喰殺されちまったんですよねえ?。
ああ、遠吠えのようなものが聞こえていたんだけどどんどんどんどん近づいてきて。
へへへ先生三文小説なら先生が犯人ですぜえ。
ははあ確かにスケさん。
もうどこかへ逃げればいいんじゃないですか?
残る理由があるんですか?。
僕は、この原因がどうしても知りたいんです!。
その横井って画家はどうやって死んだのかね?
……彼はぼろ雑巾のように引き裂かれて
ほおボロ雑巾ねぇー。
何処で殺されたんですかい?
納屋の近くだったと思うけど、
それで何処へ逃げたんですか?
恐らく森の方に、
ははぁ、そいつは家の中には入って来なかったんですかい?。
ええ納屋の前で殺されてしまって
うーむ、横井君はどうして納屋にいたのかな?
横井君は納屋の方で何か作業をしていたんだね。
じゃあ見に行こうかな。
一行は納屋の前にまで来た。


納屋の中を見てみると、横井はここ最近は根詰めて作業していたようだ。

イーゼルには書き掛けの軽井沢の風景や町の風景がそのまま残っている。
ほう、此れはなかなかのモノなのじゃないかな。
見ると作りかけの石膏像、漆喰の入り口、ノコギリ、カンナ、ノミなどがあった。
ふむ、恐怖達磨君はこういうの詳しいんじゃない?
あーうん、これはね、私の方が上手い。

⬛️⬛️⬛️
関谷君は納屋の外で襲われた様で……

⬛️⬛️⬛️
外は雑草の生い茂った草むらて血痕の跡は無かった。

納屋の入り口の辺りをよく見ると、大きな獣の足跡、そして草むらを少し掻き分けた所に緑色の宝石があった。
あ?先生そりゃなんですかい。

それは良くできた翡翠細工、翼を持った猟犬の小さい彫像だった。

猟犬の台座には奇妙な文字が掘ってあり、底にはドクロの模様が掘られている。


見る者の心理にゾクリと迫るようだった
これは!
いやぁ、ますます妖怪の仕業である可能性がでてきましたね。
私のこの図鑑によりますと……
えぇ?その図鑑ちょっと見せてくださいよ。
いやぁ、この図鑑は大切な物なので見せられないです
⬛️⬛️⬛️
チガウ!!見たことない文字!!

⬛️⬛️⬛️
どれどれ私にもその翡翠像見せてくださいよ。

…あぁ確か、翡翠は古くから副葬品として重宝されて来ました。
中国のお墓にもあるらしいじゃない?
いやー、これは貴重なものだ。

⬛️⬛️⬛️
関谷は恐怖の為屋敷の中から出てこなかった。
…ああ皆さん、納屋の様子はどうでしたか?
何か巨大な足跡があったよ。
ひぃぃぃ!。
…僕もあいつに喉元を食い破られて殺されてしまうんだ。
でも血はなかったよ。
血痕はなかったんですか?。
でも霊も足跡を残すことがあると書いてありますよ。
ほんとに?。
見せられないですよ。
みてえなあ達磨君?。
いいから像の話しましょうよ。

その翡翠像をじっと見ていると五人は気持ちが悪くなってきた。

スケキヨ君の顔より気持ち悪いな。

いやあこれはたいがいですねえ。
これはろくなもんじゃねえなぁ

そう感想を漏らす淫太郎の股間は激しく怒張していた
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登場人物紹介

大山田かつお

絶頂亭淫太郎

アナカラ ドバニコフ

大神スケキヨ

恐怖達磨

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