キャンプ用品店を探していた

文字数 1,441文字

糞っ、無いな。地図が違ってたのか? それとも潰れたのかな
すみません
えっ?
ちょっとお願いが有るんですが……
俺ですか?
20シリングくれませんか?
(ぽっかーん)
私に、20シリングを、くれませんか?
えっと……
んーと、何で?
実は私、仕事が無くて。
うん、そうなんだ。
でもごめんね、俺も今はノージョブなんだ。
だからお金も全然持ってないしあげられないよ。
本当ごめんね。
フン、カスが
(えっ、ええーっ)
(スタスタスタ)
なんだアイツ。
ああ、物乞いか。
ナイロビってヨハネスブルグの次に治安が悪いって聞いてたけど、みんな本当に仕事が無いんだな。
でも俺だって今は無職。
仕事は辞めてきた。
無職を舐めんな!?
今まで頑張って貯めたお金で異世界(アフリカ)に転移して、貧乏旅行をしているんだ。
人に恵むほど持ってないんだから。
今日だって、宿泊費を削るためにテントを安く買いに行こうって思って、宿から歩いて来たんだ。

でも、店、無い!
Hi friend!
Yeah men! What's up?
(誰だコイツ。何か黄色い水飲んでるよ、お酒かな。それにしても汚い格好してんなあ。うわっ、臭っ!)
チャイニーズかい?
何だコノヤロー。違うよ一緒にすんな、俺は日本人だよ。
(ケニアじゃ金儲けが得意な中国人はすごい嫌われてるって聞いたし、そこははっきりしとかないとね)
そうか良かった。
格闘技とか出来るのか?
当然だろ!
空手道不動会の茶帯だぜ?
見せてやろうか?
ほら、
アチョー!!
テイッ!!
すげーや!
ジャッキーチェンみたいだ!
(それチャイニーズだけどな。まあよく間違われるよね)
お願いがあるんだ。
俺に格闘技を教えてくれないか?
何でだよ?(やだよ面倒くさい)
見てくれ、この傷。
いつもみんなにやられるんだ。
俺、別に何にも悪い事してないのにさ。
(ホントだ。よく見たら顔中に、まだ治ってない傷跡が幾つも付いてる)
なっ、頼むよ。お願いだ。
俺、強くなりたいんだよ。
(そんな事言われても、俺茶帯だしなー)
……(ワクワク)
よし分かった。
だが何であえて戦おうとするんだ?

敵わないと思ったら、逃げればいい。
まず話し合って、次に逃げて、それでもダメなら仕方なく抵抗したらいいんじゃないのか?
情けない話だけどさ、俺いつも道で寝てるんだ。
お金が無くてどこにも泊まれないんだ。
そうやって寝てたら、みんなに邪魔だって怒られて、殴ったり蹴られたりするんだよ
(こいつ馬鹿じゃないの
そこでやり返しちゃったら、お前絶対もっと酷い目に合うって)

アチョー!
こうですか、先生。
トエエエイ!
……よし分かった。まずは足腰を鍛えるんだ。一日最低10キロはランニングしろ。
強靭な身体は基礎体力から作られるんだ。
そして出来ればまずは逃げろ。
(て言うかコイツは黒人だったな。
基礎体力なんか日本人の比じゃないよな。10キロなんて甘かったか?)
えーっ! そ、そんなに!?
体力ねーのかよ!
(ちょっとカワイイなコイツ。そんなに嫌ってやる事もないか)
俺の名前はケンっていうんだ
俺はツヅキ。よろしくな、ケン。
スズキか。先生、バイクみたいでかっこいいぜ!
Nice to see ya!
(それもちょっと違うけどな。よく間違われるけど。
  わっ。てかハグしてきたよ。臭えよ!)
今日はちょっと付いて行ってもいいかい?
ダメだ。俺は忙しい。
今日はここまでだ、ではさらば!
(テクテク)
うん分かった、こっちに行くんだな?(テクテク)
(分かってねえじゃねーか!
  テメーッ、付いてくるんじゃねえ!!
  ってか、コイツどこまで……)
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登場人物紹介

モブ女

俺くん

ケン

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