第2話

文字数 2,878文字

2023年10月27日 金曜日 桃園空港→ハノイノイバイ国際空港

 さて30日、今度は台湾出境ベトナム入国となるが、一枚のSIMカードだけで入れ換えることなくベトナムハノイ行ベトジェットエアーの機上の人となる。ついでに言うとやはり満席通路側。
 乗ること2時間50分、機体がドスンと着陸するや否や何も設定していないにGmailやLineのメッセージがガンガン入ってきたのには驚いた。
 ハノイの空港に21時着の便で入国審査はそれほど混雑することなく割とスムーズ、1,000台湾元をベトナムドンにさっさと両替し商売熱心な現地SIMカードを扱うブースを横目で見ながら空港バスターミナルへ向かった。
 市内へ向かう86番バスの車内は無料Wi-Fiがやたら強力、移動中にもかかわらずグーグルマップで絶えず現在位置が示され、初めての道でもおおよそ何処を通過し何処に向かっているのがオンタイムで把握できとても助かった。
 バス停を降りてからも宿まで1キロ程しばらく歩いたが、これも難なく表示され何事もなくスムーズに宿までたどり着けた。この地図アプリの開発者は、たぶんバックパッカーではないかと思えるぐらいハノイでも重宝した。


 ハノイでの回線速度は4Gか3G。時おりアンテナ2本と苦しい時もあるけど、ここぞという時威力を発揮、初めて訪れたハノイの道先案内人になってくれたことは言うまでもなく、ハノイの時点で既に元は取ったのではないかと思うほど。
 ハノイ市内至る所で使用しても問題なくつながり、ハノイ名物迷路のような旧市街の路地もGマップがどこでも見れ、住み慣れた地元の方のように簡単に克服でき、地元に人気のフォー店に難なく着けビアホイと茹でた殻付き落花生を心ゆくまで堪能できた。
 でも日本でも知られている人気フォー店で店の人からパクチーも入れるかどうか聞かれたが、そんなことは構わずどんどん入れてほしいもんだ。パクチーなしのフォーだったら自分で作って日本でも食べられる。


 ベトナムハノイの宿はまだ比較的安い、旧市街に位置しながら今回もバストイレ付きのシングルが一泊1,535円と安く泊まれたのは特筆すべき。部屋は小さいながら窓もあり全体に圧迫感もなく一人では十分な広さ、さらにWi-Fiも完備されハノイでも通信接続で困ったことはなかった。
 こぢんまりとした宿で部屋はただ5階にあって上り下りに少し体力をやはり使わされるが、日頃の運動不足の解消に持ってこいだ。

 5階だから部屋にはほどよく日が差し快適そのもの、さらに宿はハノイ大聖堂のすぐ近くにあり朝5時のミサ開始を合図する鐘の音に起こされるのはとても気分爽快。
 厳粛な鐘の音と共に遠くで鶏の雄叫びも聞こえ、人よっては未明の大音響「なんじゃこりゃあ!」と怒り叫ぶかもしれないが、何百年と受け継がれ脈々と続く地域の営み、この鐘の音と共に一日が始まる。
 地元の赤ちゃんに至っては、おぎゃーと生まれてからずーと耳にしており鐘の音こそが母の鼓動と同音同義、まさに尊くハノイの母の鼓動を全身に受けこれほどまでに不浄に満ちた我々の心が洗われる瞬間はない。まさにこれこそ旅の醍醐味。うーん、いいね!


2023年10月30日 月曜日 ハノイノイバイ国際空港→桃園空港

 旅も折り返しハノイを早朝に発ったベトジェットエアーは、遅滞なく台湾桃園空港に直陸。やはり前回同様に着陸した瞬間にメッセージがガンガン入ってきて、アンテナ4本と通信速度5Gはそのまま表示され続け台湾再入境でも難なく激務をこなし、空港出て台北市内へ向かう。
 台北ではやはり山東水餃の老舗に行かなくてはならず、これもアプリに「農安街」「水餃」と入力すれば、どこに居ようが導いてくれる。幸いにも歩いて行ける範囲なので何はともかく農安街に向かった。

 水餃ひと皿10個そして欠かせないのが酸辣湯、これを一口いただけば薄給に喘いでいた当時を如実に思い出すことができた。薄給は今も変わらないが、この店は以前、森林北路にあってリージェントホテルのすぐ横、今は市民公園になっている場所から移ってきた。
 その界隈は水餃を出す店が軒を連ねていたが、この店は焼き餃子の鍋貼が特に旨く、今回水餃と酸辣湯でお腹が一杯になり、肝心の鍋貼を頼むのを失念してしまった。


 あっ、しまった、排骨飯を食ってなかった!
 どうしよう、もう一泊しようか、既に搭乗手続きが完了しているのに、なぜか未練がましく何とか滞在理由を探そうとする輩がいるかもしれないが、そんな時は出発ロビー階下のコンビニ行けばレンチンだけど排骨飯が99元で売っているので無理な延泊は必要ない。
 その昔50元で腹一杯食えた自助餐でもそうだったように、揚げたての排骨ではなくこれまたうすーい排骨だけど、出発間際の空港で食えるから文句は言えない。


 そんな未練がましく考えているのを他所に、なぜか保安検査場での出境は早く出ていけとばかりにとてもスムーズ。
 帰りの便であるピーチの機体が既に横付けされている搭乗待合室で、旅先での大量の画像も友人や息子たちに送り付けることもでき、もはやこれ以上SIMカードを使う必要がなく、旅に必要な情報を得ら快適な通信環境がどこでも構築でき、あんた言うことないね! 短い間だったけど有難う!

2023年11月1日 水曜日 17:55 那覇空港着

 那覇空港第二滑走路に機体がドスン! コロナ渦中に開通しその利便性をなかなか享受出来なかった第二滑走路、それをようやく利用できた第二滑走路開通して記念すべき初の機体ドスン!も体験でき、さらに帰国後の那覇空港に着いても我がスマホは働き続けメッセージガンガンだった。
 通信は途切れることなく那覇空港に着いてもつながり続け、それどころか翌日もアンテナが4本立並び4G通信状態を維持し続け、結局翌日の11月2日16時までつながり1日多く使用できたのは想定外だった。
 常に情報を引き出すことができる環境をスマホひとつで維持できたのはとても有難く、知らない土地を行く上で欠かせない。もう自宅がある那覇だけど。


 旅に必須なSIMカードがネットで事前に買えなおかつ現地で買うのより安く、さらに日本を含め三国間を行き来する場合にも問題なく使えることが分かった。
 ネットの商品レヴューを見るともちろんネガティブな意見もあり、私が購入した物がたまたま良かっただけかもしれない。でも案ずるより使うが易し、旅のツールのひとつとして考えてみるのも決して悪くない。
 もし地域別で購入した場合、台湾SIM 8日間 1,450円、ベトナムSIM 580円が最安値だから、何度も差し替える手間や価格を考えるとこの旅では最適解だったと言える。

 今後は物理的なSIMカードさえも時代の波に淘汰され、手軽に設定できる海外e-SIMなるものも台湾ではすでにトレンドだという話を、現地桃園在住の友人から台湾ビールと客家料理をおごってもらい宮保鶏丁に汗を噴出しながら聞いた。

 せっかく最強の旅の相棒に出会えたのに、もう時代に淘汰されるのか!



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