第1話 あれは誰だ?
文字数 1,857文字
「あれは誰だ?」と聞くと私はデビルマンをイメージします。でも、デビルマンの話ではありません。
名前と顔が一致しない。みんな同じ顔に見える。そう思うことはありませんか?
同年代が「若い子がみんな同じ顔に見える」と言うのを聞きます。でも、これは正確な表現ではない。正確には『見分けがつく若い子、見分けがつかない若い子がいる』のはずです。
おじさんだから若い子がみんな同じ顔に見える、は間違っていると思うのです。
さて、今日の朝、駅の方へ歩いていたら、道路を封鎖して撮影をしていました。テレビなのか映画なのかは分かりません。でも、大勢の警備員やスタッフが、「すいませーん、ちょっとお待ちください」と言いながら撮影のために人と車の通行を止めています。ホテルに出入りするタクシーも止められていました。
待っている人は大きく2種類に分かれます。イライラしている人とイライラしていない人。語彙力の無い人間の表現で申し訳ないです。
割合で言えば、イライラ:非イライラ=2:8くらい。ちなみに、私の住んでいるエリアはほとんど子供が住んでいなくて年齢層は高めです。だから、イライラ率は他のエリアよりも低めでしょう。
この辺りに住んでいる人は撮影自体には慣れています。ただ、今日の撮影は朝の8時台でした。通勤時間帯でなければイライラしている人はほぼゼロだったはず。
通勤の人たちは電車に乗り遅れたら会社に間に合わないかもしれないので、イライラしています。あと、自転車で子供を保育園に送った帰りのお母さん。
ママチャリに乗ったお父さんは余裕があります。でも、ママチャリのお母さんはイライラしています。帰ってから、いろいろやることがあるのかな?
前置きはともかくとして、撮影は若手の女性俳優(中性的な顔立ちの男性俳優?)がダッシュするというもの。撮影がスタートして、俳優がダッシュ。俳優を見たけど、誰それ?です。
私は隣に待っていた人(おじさん)に「誰か分かります?」と聞きましたが、案の定、「誰でしょうね?」と返ってきました。
おじさん、おばさんが若手俳優を見て分かるはずがない。そして、若い人がいないから誰なのか謎のまま・・・。これがテレビの撮影現場の現状です。
最近、誰か分かったのはアンミカさんくらい。若手俳優の撮影に出くわす機会は多くても、ほとんどが知らない人です。
イライラしているママチャリのお母さんは「もう通っていい?」と警備員に聞きます。警備員は「もう少しだけ、もう少しだけお待ちください」とママチャリのお母さんを説得します。
時間に余裕のある私は、ママチャリのお母さんと警備員の小競り合いを観察しています。他の人たちも、他にすることがないので二人の小競り合いを見ています。
きっとママチャリのお母さんはこう思っているでしょう。
『誰か分からない俳優に邪魔されるのが我慢できない!』
私はこう考えました。
―― もし、キムタクだったらお母さんも怒らないのでは?
キムタクでなくてもいいです。誰でも知っている有名な俳優がそこにいたのなら、ママチャリのお母さんも怒らなかったはず。だって、キムタクだったら見たいですよね?
仮に知らなかったとしても、こういう看板をスタッフが持っていたらどうでしょう?
【火曜日の夜9時から放送しているドラマAの撮影をしています。今日撮影している俳優はBです】
この看板を見れば、ドラマAに出演している俳優Bが撮影している、と少なくとも分かります。このエリアには、若い子はいません。だから、俳優Bがいることを知らせても誰も騒ぎません。
通行人は待っている間暇です。だから、きっとスマホでドラマAと俳優Bを検索するでしょう。そうすれば、つい10秒前までの『誰だか知らない俳優』が『ドラマAに出演している俳優B』に置き換わります。
家に帰ったママチャリのお母さんは、在宅の夫にこう話すはずです。
「ねえ、マー君。さっきドラマの撮影してたんだけどさー」
「へー。何てドラマ?
「Aっていうドラマ。知ってる?」
「知らないなー。誰か知ってる人いた?」
「いた! 出演してるBって俳優がいた。かっこよかったわー」
「Bって知らないなー」
「知らないの? 若い子に有名な俳優なのに?」
こういう知ったかぶりができます。妻としては、夫にドヤ顔できて、この上ない喜びです。
【撮影クルーへの提案】
撮影で通行人に待ってもらう場合、番組名と俳優の名前を伝えてはどうでしょうか?
通行人が協力的になっていいと思うんですけど、ダメですかね?
名前と顔が一致しない。みんな同じ顔に見える。そう思うことはありませんか?
同年代が「若い子がみんな同じ顔に見える」と言うのを聞きます。でも、これは正確な表現ではない。正確には『見分けがつく若い子、見分けがつかない若い子がいる』のはずです。
おじさんだから若い子がみんな同じ顔に見える、は間違っていると思うのです。
さて、今日の朝、駅の方へ歩いていたら、道路を封鎖して撮影をしていました。テレビなのか映画なのかは分かりません。でも、大勢の警備員やスタッフが、「すいませーん、ちょっとお待ちください」と言いながら撮影のために人と車の通行を止めています。ホテルに出入りするタクシーも止められていました。
待っている人は大きく2種類に分かれます。イライラしている人とイライラしていない人。語彙力の無い人間の表現で申し訳ないです。
割合で言えば、イライラ:非イライラ=2:8くらい。ちなみに、私の住んでいるエリアはほとんど子供が住んでいなくて年齢層は高めです。だから、イライラ率は他のエリアよりも低めでしょう。
この辺りに住んでいる人は撮影自体には慣れています。ただ、今日の撮影は朝の8時台でした。通勤時間帯でなければイライラしている人はほぼゼロだったはず。
通勤の人たちは電車に乗り遅れたら会社に間に合わないかもしれないので、イライラしています。あと、自転車で子供を保育園に送った帰りのお母さん。
ママチャリに乗ったお父さんは余裕があります。でも、ママチャリのお母さんはイライラしています。帰ってから、いろいろやることがあるのかな?
前置きはともかくとして、撮影は若手の女性俳優(中性的な顔立ちの男性俳優?)がダッシュするというもの。撮影がスタートして、俳優がダッシュ。俳優を見たけど、誰それ?です。
私は隣に待っていた人(おじさん)に「誰か分かります?」と聞きましたが、案の定、「誰でしょうね?」と返ってきました。
おじさん、おばさんが若手俳優を見て分かるはずがない。そして、若い人がいないから誰なのか謎のまま・・・。これがテレビの撮影現場の現状です。
最近、誰か分かったのはアンミカさんくらい。若手俳優の撮影に出くわす機会は多くても、ほとんどが知らない人です。
イライラしているママチャリのお母さんは「もう通っていい?」と警備員に聞きます。警備員は「もう少しだけ、もう少しだけお待ちください」とママチャリのお母さんを説得します。
時間に余裕のある私は、ママチャリのお母さんと警備員の小競り合いを観察しています。他の人たちも、他にすることがないので二人の小競り合いを見ています。
きっとママチャリのお母さんはこう思っているでしょう。
『誰か分からない俳優に邪魔されるのが我慢できない!』
私はこう考えました。
―― もし、キムタクだったらお母さんも怒らないのでは?
キムタクでなくてもいいです。誰でも知っている有名な俳優がそこにいたのなら、ママチャリのお母さんも怒らなかったはず。だって、キムタクだったら見たいですよね?
仮に知らなかったとしても、こういう看板をスタッフが持っていたらどうでしょう?
【火曜日の夜9時から放送しているドラマAの撮影をしています。今日撮影している俳優はBです】
この看板を見れば、ドラマAに出演している俳優Bが撮影している、と少なくとも分かります。このエリアには、若い子はいません。だから、俳優Bがいることを知らせても誰も騒ぎません。
通行人は待っている間暇です。だから、きっとスマホでドラマAと俳優Bを検索するでしょう。そうすれば、つい10秒前までの『誰だか知らない俳優』が『ドラマAに出演している俳優B』に置き換わります。
家に帰ったママチャリのお母さんは、在宅の夫にこう話すはずです。
「ねえ、マー君。さっきドラマの撮影してたんだけどさー」
「へー。何てドラマ?
「Aっていうドラマ。知ってる?」
「知らないなー。誰か知ってる人いた?」
「いた! 出演してるBって俳優がいた。かっこよかったわー」
「Bって知らないなー」
「知らないの? 若い子に有名な俳優なのに?」
こういう知ったかぶりができます。妻としては、夫にドヤ顔できて、この上ない喜びです。
【撮影クルーへの提案】
撮影で通行人に待ってもらう場合、番組名と俳優の名前を伝えてはどうでしょうか?
通行人が協力的になっていいと思うんですけど、ダメですかね?