視点

文字数 1,122文字



さむい。

ここはどこだろう。


ぼくは何をしているのだろう。


何日たったのか、この暗闇と遠くから聞こえる・・・

音?

声?

壁の向こうから聞こえるがはっきりしない。

となりのやつも
目の前のやつも

もう何も発しようともしない。

眠り続けているのだろうか。

はたまた運命を察しているのだろうか。

こんなきついところに押し込められ、息苦しいように思う。


あれから何日、こんな日が続いたのか。

誰か教えてくれ!


狭い空間に押しつぶされるように詰め込まれた。

なすすべなくレールに揺られ、どこへ行くのか。

ほんの一瞬、下界を臨めた気がした。

でもそれも一瞬だった。

整列を余儀なくされ順番を待つのは永遠に続くように思える。

さらに寒さが増した。

いつまで突っ立ったままでいなければならないのか。

行列はいつしか長くなり、僕は入口を通り抜け後ろにもうつろな奴らが並んでいる。

いつまで耐えられるだろう。

そういえば、やたら寒いのはこの行列が始まり機械音が大きくなってからだ。


レールはどこまで続くのか。

この道が正しいのかはすでに僕たちの考える範疇じゃないのかもしれない。

でも、前に進むしかない。

その先に光が見えるまで、ただひたすら前に進むしか手立てがないのだ。


そしてまた、どのくらい時間が過ぎたかわからないうちに次が自分の番のようだ。

長かったのか、短かったのか。

それすらわからない。

その瞬間は突然だった。


夢を見て落ちたような衝撃とともに、この前見たような明るい光のもとにさらけ出された。


暴力的に扱われたショックも癒されぬまま、暗闇から解放されつつも乱暴に扱われた。

全く見知らぬ風景がそこにはあった。

そして、急に身体が上下した。

ありがたかったのは、寒さから解放されたことくらいだった。

でも、次の瞬間頭に衝撃が走り、その意識が僕の最後の記憶・・・


*****************************************


今日の外回りは、暑かった。

この夏一番の暑さだというから、私の汗だくも致し方がないだろう。


朝はいやいや入る自分の部署のある部屋の自分の席は、外回りの後にはその日一番のオアシスになる。

そうだ、今日はさっき全部持っていた飲み物全部飲んじゃったんだった。

いまから外に行くのも億劫だから、あまり好きな飲み物がないがそこの自販機で我慢しよう。

コーヒーとかお茶はさすがに今日は売り切れらしい。

甘いものは、今はいらないな。

さてどうしたものか。

あまり好きじゃないが仕方がない、麦茶にしよう。

水を買うのは古い人間だから、少し抵抗がある。

コインを入れて、押す。

ガチャン、ガタッ。

いい具合に冷えている。

キャップを回す。

乾ききったのどに一気に流し込んだ。
はぁ~、生きかえる。

よし、仕事の続きをするか・・・。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み