二股だって悪くない

文字数 969文字


「俊介くん!ごめんね。遅くなっちゃった。」
「大丈夫だよ。俺も今きたところなんだから。」
「そっか…。優しいね…。私はそんな俊介くんが大好きだよ!」
「照れるなあ。そんな真っ正面から言われちゃうとね…。」

 彼女は西谷雫という。
 付き合ってもう6年になるだろう。
 
 高校の時の同級生で、雫は学校一の美女と呼ばれていたほどだ。
 この前の同窓会でも元クラスメイトたちからすごい羨ましがられたなぁ

「ここくるの久しぶりだね。」
「そうだな…。綺麗だなこの風景。」

 俺たちは高校時代お金はなかった。
 だからこうして、学校の近くの丘にきて夜まで喋っていたなあ。

 横を見ると、月の明かりに照らされた雫が何倍にも美しく見えた。

 俺はそんな雫をずっと一筋で…、愛してきたわけではない。
 実際現在浮気をしている。

 大学の後輩だが、とても可愛く、猛烈なアプローチを受け、ついOKしてしまった。

 その場ではすぐに別れようと思っていたのだが…。
 浮気したままの方が都合が良すぎた。

 愛の量も2倍だし、キスの量も2倍だし、もちろんあれの量も…。

 まあまあ、とにかく今は浮気して、2人の女の子から愛情を注がれているのがたまらないのだ。

 さて…。それは置いといて…。僕たちは家に帰ってきた。

「ねえ俊介くん。誕生日プレゼントだよ。」
「おうありがとう。」
「俊介くんの大好きな焼き芋だよ。」
「まじかあ!」

 そんな時だった。

 浮気相手から連絡が入った。

『ねえ今からうちに来れますか?しゅんくんのお誕生日をお祝いしたいです。』

 おおまじか。これに行けば誕生日プレゼントが2個もらえる…?
 いや行くしかないっしょ。

『今から行くよ。』
『本当ですか?嬉しい!』

 おいおいかわいいなあ。

 そうだそうだ。
 雫に言い訳してででかないと。

「なあ雫。」
「どうしたの?」
「急に体調が悪くなっちゃった患者さんがいて、出勤しないと行けなくなっちゃった。多分5時間ぐらいで帰って来れるんじゃないかな。」
「じゃあ晩御飯作って待ってるね。」
「ありがとう。」

 ははーん。ちょろいな。
 俺も医者だし、これも浮気を簡単にしている要因だなぁ。

 俺はウキウキしながら浮気相手の家に行く。

 そしてプレゼントを受け取ってその子と体を重ね合わせようとしたその時だった。

「しゅ〜ん〜す〜けぇぇぇぇ〜?」

 聞き覚えのある声がした

 雫だ…。
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