第3話 ふつうの道具屋

文字数 1,060文字

……
ふつうの道具屋に行ったらルカがいた。

ちょうどよかった

探す手間が省けた。

ハルトの言う通り、やっぱり狭い村だった。

シイナ、

どうしてここに?

母さんから

買い物頼まれたんだ

何、買うの?
上新粉とススキ
……
今晩、お月見するんだ
月見?
ルカも来るだろ?
も?
俺は行くこと決めてるから
……………………
ルカはしばらく黙って
……行く
と蚊の鳴くような声で言った。
じゃあ、買い物済ませてくる
カウンターに行き、店主のおじさんのところに行く。
上新粉とススキください
はい
白い粉と植物があっさりと出てきた。

細長い緑の葉に、細い茎の先がわしゃわしゃしている変わった植物だった。

……
これが何か聞けなかったけど、お金を払って受け取って三人で店を出た。
……
……
……
白い粉はお金を入れていた袋にしまえたけど、植物はしまえなかったので三人でそれを見る。
白い粉が上新粉ってことなら、

これがススキってことか?

たぶん……
シイナもわかんないのか?
うん
……
……
シイナんちに行って

シイナのお母さんに聞けばわかるんじゃないの?

そうだな
三人で俺の家に向かう。
ルカ
何?
しかるべき時っていつ?
思い出したから聞いてみた。
……話が見えないんだけど
俺が「シイナのお母さんの故郷に行こう」って言ったら

シイナが「しかるべき時に行く」って言ったんだ。

……シイナ、

難しい言葉を言ってみたかったのね

俺もそう思った
一瞬、

私に叱ってもらいたいのかって思っちゃった

叱られるなんてやだよ

なんか、そういう時がくれば、行こうかなって感じで言ってみたんだけど

そういう意味でいいんじゃない?
え?
無理しなくても

自然に行くべき時が来たって感じの時じゃないのかな?

じゃあ、

俺の言葉の使い方、間違ってなかったのか?

珍しく

間違ってなかった

そうだな
ひどくない?
シイナはいつも

カッコつけて変な言葉遣いするから

それは否めなかった。
しかるべき時が来たら

ルカも一緒に母さんの故郷に行こうよ

今じゃないんだ
うん

なんか、今は行きたくない

いいよ

しかるべき時が来たらね

しかるべき時が来たらな
やったー
やっぱりこの二人といるのは楽しい。

今すぐ

冒険に行きたくなったかも

私はいい

しばらく休みたい

俺も
なんで?
お姫様の御守

疲れた

俺も
そうだな
俺たちはあっさりと魔王を倒したけど

その後のお姫様をお城に戻すまでの道のりは困難を極めた。

悪い子じゃなかったんだけどね
面白い子だよね
面白い?
面白くはないけど

悪い子じゃなかった

ルカにとっては

そうだろうね

あ”?
俺は面白かったよ
しばらく村で

ゆっくりしたい

俺もゆっくりしたいかも
じゃあ

今夜はウチで

のんびり月見しようぜ

団子

楽しみ

うん
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登場人物紹介

主人公:シイナ

魔王を倒した勇者見習い。

剣も使えて魔法も使える。

極めているわけではない器用貧乏。

ハルト

シイナとルカの幼馴染で魔王を倒した仲間。

軽いけれど天才肌の魔法使い。

女子からモテる。

ルカ

シイナとハルトの幼馴染で魔王を倒した仲間。

シイナのことが好きだけど言わない。

一緒に冒険がしたかったから戦士になった。

めちゃめちゃ強い。

アリーナ姫

魔王にさらわれていた大国の姫。

生まれながらのお姫様。

シスターになる教育を受けていて治癒魔法が使える。

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