総集編

文字数 5,116文字

ゴキ・ブリ子


私はゴキ・ブリ子!どこにでもいる普通のゴキブリよ!
最近、新しいすみかを見つけたの。今日からそこで新生活がはじまるわ。
仲間と一緒に新生活!たのしみだわ。食べ物求めて暗いところを隠密行動。
玉ねぎを見つけたわ。誰よりも早く見つけられるなんて私は天才ね!
やっぱり玉ねぎは美味しいわ。私の一番好きな食べ物よ。

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新生活が始まってから一週間ほど経ったわ。私はパートナーも見つけ子供も一人いるわ。
なんて名前にしようかしら。ブリの介?ブリ田?何にするか本当に迷うわ…

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今日も今日とて食べ物探し!仲間と一緒に食べ物探し!今日も玉ねぎ見つかるかな♪
「みんなぁ!逃げr…」
なに?何が起きたの?そう思って声が聞こえた方を振り返ったら人間がいたわ。
とうとう人間が…
ハッ!人間がこっちを見たわ。私は逃げた。全力疾走で。仲間が人間になぎはらわれ殺される…
とうとう追いつかれてしまったわ…仲間も…みんなやられた…人間がスリッパを振り下ろした。
間一髪で避けれたわ…私たちはただ生きているだけなのに…どうして殺されなきゃいけないの?早く、早く逃げないと…ここで死んだらもうあの子に、ブリの介に会えなくなってしまうわ!私が逃げようとしたその瞬間、人間もまたスリッパを振り下ろした。
バシッ!!
「はぁ…本当にゴキブリってキモい…この世から消えればいいのに」


ゴキ・ブリの介


拙者はゴキ・ブリの介。拙者の母上は拙者が物心ついた時からいなかったでござる。
父上に聞いてもごまかされる。母上の顔も知らないし、どんな人だったかも知らないでござる。
けど、ある日父上から呼ばれた。
「お前に話がある。」
「なんでしょうか。父上。」
「お前の母のことだが…」
「母上のこと!?」
「ああ。お前の母は3年ほど前、この家の人間によって殺された。お前の母は食べ物を探しに仲間10人ほどと出かけていた。その時、人間によって殺されたんだ。」
「母上に、そんなことが…」
「ああ。お前にこのことを言ったらとても悲しむと思ったが、実際お前は会ったことがあるわけでもないから大丈夫かなと思ったんだ。」
「いいえ…父上。私はたとえ顔を知らない母上でも、拙者はその母上を殺した人間に痛い目を見せてやります。拙者を産んでくれた母上を…殺しやがって…絶対に…コロス…」
拙者は母上のことを聞いた後、人間へ復讐をすることを誓った。

拙者はゴキ・ブリの介。母上を人間にコロされ、復讐するため修行に出ていた。
拙者には作戦がある。まず、人間の飯に糞を飛ばして病気にする。そして人間が弱ったところで
口から入り内臓を食い破ってコロス、というのが作戦だ。糞の射程距離を伸ばすため、たくさん飯を食って糞を踏ん張って飛ばす、という修行をしている。とりあえず射程距離20mに届くように頑張っている。今は10mしかとばないから、あと5日のうちに飛ばせるよう頑張りたい。それが終わったら、高く飛ぶために別の修行を10日間。15日間で修行を終わらせる予定だ。

糞を飛ばす修行に戻ろう。糞を踏ん張る時、尻の筋肉を硬くして、踏ん張ったことによって起こる衝撃波が糞をより遠くまで出すのに必要なことだ。尻の筋肉の硬さによって衝撃波の強さが大きく変わる。今拙者の筋肉の強さの階級は中の上だ。20mとばすには階級を上まであげなければならない。

尻の筋肉をつけるため、現在はスクワットにはげんでいるでござる。前まで毎日50回でやっているが、今日から100回でやっていこうと思う。では早速はじめよう。
「一…二…三…」
「五十…五十一…五十二…」
流石にそろっときつくなってきた…けど…母上の仇を取るため頑張るでござる…
「きゅう…じゅう、はち…きゅうじゅっ…きゅう…ひゃ、く…」
やっと…やっと達成したでござるこれを毎日続ければ…糞を20m飛ばせるようになるでっござる…

その後、ブリの介は毎日スクワットに励んだ…毎日毎日、風邪をひいても、怪我をしても、ブリの介はスクワットを100回続けた。

今日で糞の修行は終わりでござる。尻の筋肉の硬さはもう上級になったはず。では早速糞を飛ばしてみるでござる。
「糞ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
シューーーーーーーーン………
「やった!!20mどころか23mとんだぞッ!!!」
やった。とうとう目標の射程まで飛ばすことに成功したでござる。
次からは高く飛ぶための修行を始めよう。

さて、ジャンプの修行だが、修行の仕方は単純。足を使って毎日1km走り、その後10回ジャンプし、羽で滑空するというものでござる。単純でござろう。だが、これがなかなか大変。人間からしたら1kmなど短いかもしれないが、拙者たちはゴキブリなのでござる。だから大変なのだ。
では、さっそく始めよう。
ーブリの介は毎日走った…走り始めて5日たった日…ー
「あいつが母上をコロした人間でござるかッ…」
なんと!ブリの介の母、ブリ子をコロした人間を、ブリの介が見つけたのであった!!
「あいつがぁ…母上を…」
その瞬間、ブリの介が人間へ向かって飛びかかった!!
「コロしてやるゥゥゥゥ!!!」
すると人間は、履いていたスリッパを0.5秒の間で脱ぎ、手に持った。そして、ブリの介が半径10cm内にきた時!!人間がスリッパを振り下ろしたッ!!
ブリの介にスリッパが当たると思われたがッ!ブリの介はここでやられるようなやつじゃあないッ!ブリの介は右へ急旋回した!スリッパはブリの介の足をかすめた。だが、ブリの介はそのまま滑空し、自分の住処まで帰った。「チッ…ゴキブリどもが…」

「拙者は…まだまだ人間には歯が立たない…だから、だから絶対…修行して強くなって人間をコロすッッ!それに、人間の身長は165cmはあった…拙者はまだ150cmまでしか飛ぶことができないでござる…あと5日間で…絶対ッ!165まで届くようにするぞッ!」
ブリの介はそう誓い、ブリの介はスリッパがかすった足を痛めながらも、残りの5日間走り続けたのであった。



「やったッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!とうとう人間の口に届くほど飛べるようになったぞッッッッッ!!!!!」
とうとう、ブリの介は165cmまで飛べるようになった。
「3日後は…人間へ復讐だッッ!!」

拙者はゴキ・ブリの介。作戦を練り直すため、今回は偵察しようと思う。
今は午前7時。まだ人間の音はしない。まだ起きていないのでござろう。その間に見やすい位置へ移動しておこう。

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ブリの介は棚の隙間へと入り込み、人間が起きてくるのを待った。
「ふぁぁぁぁ……」
ぬ?人間が起きたのでござるか?ブリの介が少し顔を覗かせると、そこには人間がいた。
「偵察開始でござる。」
人間は、台所の方へ向かった。
「今日の飯は…コンビニで買ってくっかぁ…」
どうやら外出するようだ。
「帰ってきたら…あのゴキカスの対策でも考えるか…」
そう言い残し、人間は外へ出ていった。
「もう…やるしかない…対策を練られたら難しくなるかもしれないでござる…」
ブリの介は覚悟を決めた。
「父上に報告するでござる。」
ブリの介は、父の元へと向かった…

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「父上。」
「ブリの介…とうとう、やるんだな。」
「はい。拙者は今日、ケリをつけます。」
「そうか…ならこれを食べていけ。」
そういって、父は紫色の肉団子のようなものを差し出してきた。
「これは…なんでございますか?」
「これはブリ座右衛門特製の毒だ。」
「毒!?」
「まあそう不安がるな。これは人間にしか効かない。糞を飯に向かって出して弱らせるんだろ?これを食べれば、糞にも毒の効果がつく。」
「そうゆうことでございますか…ありがとうございます。いってまいります。」
「ああ。死ぬなよ…」

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ブリの介はまた、棚の隙間に隠れた。5分ほど経ったあと、とうとう人間が帰ってきた。
「あーさっさと飯食うかー」
人間が弁当の蓋を開けた。
「いまだッッ!!」
ブリの介は勢いよく飛び出し、糞を飛ばした。
「なんだッ?」
人間がブリの介の方を振り返る。
「あのゴキカスゥ…今日こそコロしてやるゥ!」
人間がスリッパをもって追いかけてきた。
「効果が現れるまで逃げろォ!」
ブリの介は逃げた。人間の足が速い。もう少しで追いつかれそうだ。
「ここでェ!左へ急カーブゥゥゥゥ!!」
ブリの介は左へカーブし、少しの時間を稼いだ。
「あのゴキカス…こざかしいッ!!」
人間はブリの介が急カーブした、わずか0.7秒後ブリの介と同じ方向へ向き直した。
「この人間ッ!人間じゃあないッッッッッ!!」
普通なら30秒で効くはずの毒もまだ効果が少しも現れない。この人間、本当に人間か?
もう1分は経っている。
「なんでッ!効かないんだァァ!足も痛くなってきたッ!もう飛ぶしかない!」
ブリの介はもう走って逃げるのは難しいと思い、ジャンプし滑空を始めた。
「この体力じゃあ飛べて15秒ッ!その間に隠れるんだ!」
「コイツゥ!飛びやがってッ!」
ヒューーーン……
ブリの介は廊下の方へ飛び、そこにあった電話機の下へ潜り込んだ。
「ゴキカスゥ…どこへいったァァ…」
なんとか隠れられたようだ。
「ふう…これで一息つける…ここに隠れて体力を回復しながら、毒の効果が出るまで待つでござる。」人間は、ブリの介を探し歩いている。
「どこダァ…ゴキカスゥ…」
人間は棚を持ち上げたりしながら探している。ブリの介が見つかるのも時間の問題だ…
人間がリビングを探し終わったその時だった!
「グッッッッッッ!!」
やっと毒の効果が効き始めたそうだ。
「グゥゥ…ゴキカスめぇぇ…苦しいぃ…動けない…」
「よぉし、今度こそ仕留めるでござるよ!」
ブリの介は電話機の置いてある台から飛び降り、人間の方へと向かった。
「無様でござる…」
人間は床に倒れていた。
「くうぅ…ゴキカスメェ…」
「お前をコロス。」
ブリの介が口の中へ入り込もうとしたその瞬間、人間が立ち上がった!やっぱり人間じゃないな。
「ゴキカスゥ…」
人間は虚な目をしている。かなり限界が近いのだろう。
「まだ立つでござるか!ここで、今、決着をつけるでござるよ!」
ブリの介はとんだ。いつもよりもガチだ。ブリの介は口元あたりまでくると、滑空し一気に口の中まで入り込んだ。
「モゴゴモゴ、モゴゴッゴ!ー…(ゴキカスゥ!きったねぇ!)」
ブリの介は喉まで入り、胃まできた。
「ここから食い破ってコロしてやるゥ!」
ブリの介は胃にかじりついた。流石に痛みを感じたのか、人間はうめき始めた。
「ゴキカスゥ…ゴキカスゥ…」
すると、人間は自分の腹を殴り始めた。ゴッ!ゴッ!
「なんでござるか。この前から殴られるような感じは…」
人間の殴る強さはまだまだ強くなっていく。ゴッ!!ゴッ!!
「い、痛いでござる!もしや…人間が自分の腹を殴っているでござるか!?このまま出たら巻き込まれてしまうかもしれないでござる…アッ!ここでまた糞をすれば毒がまた効くかもしれないでござる!」
ブリの介はまた、糞をした。果たして効くのだろうか?
「ぬんッッ!!ぬんッッ!!」
人間はまだ腹を殴り続けている。
「胃を食い破っていけばいずれ力尽きるでござろう!」
ブリの介は殴られつつも食い始めている。
「母上の復讐のためッ!負けてたまるかァァ!!」
「ぬんッ!ぬn…」
人間の動きが止まった。流石にもうダメだったか。
「動きが…止まった?力尽きたのでござるか?」
ブリの介は食い破って出てきた。
「死んだ…のか?」
人間は息をしていない。どうやら死んでしまったようだ。
「やった!復讐完了だ!これですみかに戻れるでござる。」
ブリの介は、すみかへ戻っていった…

ブリの介は人間への復讐を果たし、すみかへ戻った。
「やったで…ござるよ…」
「おお!ブリの介!」
「ブリの介!」
「ありがとう…ありがとう…」
ブリの介は仲間たちに祝福された。
「父上の元にいかなければ…」

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「ブリの介…やったんだな…」
「はい。父上。やっと、やっと人間に復讐することができたでござる…」
「ああ。今日はブリの介を祝って、宴会だ!!」
その後、ブリの介は仲間たちと朝まで歌って、踊って、楽しんだ。その後、ブリの介達はその家の主となった……

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