第1話

文字数 1,253文字

 アイちゃんは、ブラウスのボタンがとれて、なくなっていることにきがつきました。
「ボタンがないわ。しかもふたつも。」
ボタンがなくなってしまったことはしかたがありませんが、ブラウスはまだじゅうぶんにつかえます。シミもよごれもほつれもない、まっしろなままです。アイちゃんにとって、おきにいりのブラウスです。このまますててしまうのは、あまりにももったいないとおもいました。
「あたらしいボタンをかいにいこう。」
アイちゃんは、さっそくボタンやさんにいくことにしました。
ボタンやさんには、さまざまなボタンがならんでいます。
いろとりどりのプラスチックボタン、かわいくてじょうひんなくるみボタン、すいぎゅうのツノやほねからつくられた、すいぎゅうボタン、かいがらからつくられた、かいボタン、きからつくられたウッドボタン、きんぞくからつくられたメタルボタンもあります。
 なにがいいかしら。あのあかいプラスチックのハートがたのボタンをつけたら、とってもかわいくなるだろうなあ。ともだちとあそびにいくときにピッタリね。ブラウスとおなじ、ホワイトのきじでくるまれたくるみボタンだったら、がっこうへいくのにふさわしい、かわいいけれどきちんとしたものになりそうだわ。すいぎゅうボタンだったら、あたたかみのあるいろあいだから、じょうひんでやさしいイメージのブラウスになるだろうなあ。ウッドボタンも、ぬくもりのあるそぼくなかんじで、ピクニックのときにきるとよさそう。メタルボタンだと、エスエフみたいなみらいてきでカッコイイブラウスになりそうだわ。
 どれもステキなのでめうつりしていましたが、ふとレインボーカラーにかがやく、それはうつくしいボタンがめにはいりました。
「まあ、なんてきれいなボタンかしら。」
おもわずこえにだすと、
「それは、てんねんのかいボタンですよ。きれいでしょう?」
と、てんいんさんがこえをかけてくれました。
「このボタンは、しんじゅがいからつくられたんですよ。しんじゅがいにもいろいろあるのですが、そのなかでもこれはシロチョウガイという、かいからつくられたものです。」
「こんなにきれいなかいボタン、はじめてみました。わたし、このブラウスのボタンをさがしているのですが、このシロチョウガイのかいボタンがほしいとおもいました。サイズはありますか?」
「ええありますよ。そのブラウスについているボタンはホワイトのプラスチックボタンですね。それはそれでいろがあっていてよいとおもいますが、このシロチョウガイのかいボタンをつければ、みちがえたようにエレガントなブラウスになるとおもいますよ。」
「わたしもそうおもいます。ありがとうございます。」
「こちらこそありがとうございます。」

アイちゃんは、いえにかえるとさっそくボタンをつけかえ、かがみのまえできてみました。
 まっしろなブラウスにおぎょうぎよくならんだかいボタンは、おひさまのひかりにはんしゃしてキラキラとかがやいています。
アイちゃんは、これをきてどこへいこうかとむねをふくらませました。
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